【感想・ネタバレ】地球の中身 何があるのか、何が起きているのかのレビュー

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Posted by ブクログ

壮大なスケールで世界を見直すきっかけになるような本。読んで良かった。意味もなく、読後、空を見上げる。小さな自分もこの宇宙に繋がっていて、この広い宇宙のどこかに必ず生命がいるだろうと、そんな空想に耽る。

地球の中身は大きく3つの層、地殻、マントル、コアに分けられる。地殻は卵の殻、マントルは白身、コアは君のようなもの。地殻とマントルは岩石、コアは金属のかたまり。コアの外核は液体、内核は固体だが、どちらも鉄。

距離感を数字で掴む。人類が地球に開けた最も深い穴の深さは12kmで、地球の中心までの距離のわずか0.2%に過ぎない。地球の中心までは6400km。エベレストの標高が8.8km、最も深いマリアナ海溝の水深10.9km。飛行機の高さは、約10km。国際宇宙ステーションが存在する熱圏は高度 400km。地底人を想像した映画や漫画が作られる程、その距離の差にロマンがある。

岩にも詳しくなる。初期の海は塩酸や硫酸などを多く含み酸性だった。この酸性の海水が岩石のナトリウムを溶かし出して塩濃度が高くなった。地球を代表する岩石の1つが花崗岩。マグマがゆっくり冷え固まってできる。花崗岩ができるのは水のある惑星。もう一つの岩石が玄武岩。マグマは急速に冷え固まってできる。富士山を作っているのも玄武岩、ハワイの溶岩も玄武岩。玄武岩は月にも火星にも太陽系内の岩石でできた天体の表面には必ずあるもの。月の黒い部分、うさぎに例えられる部分は玄武岩。白い部分は、斜長石と言う鉱物を主体とする斜長岩。世界で最古の岩石、片麻岩。

木星の衛星には表面が厚い氷で覆われていてその内側に海があると言われている。土星の衛星も表面が氷で覆われていることが確認されていて、冥王星の内部にも海があることがわかってきた。地球の生命とは異なるセントラルドグマ。その海に、生命がいたりするのだろうか。これが、何故かノスタルジックに読後の余韻となった。

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2023年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

想像もつかない超高温、超高圧の下での物性を知ることで、サンプルが取れないコアの組成まで論じることができているのに感動する。そして、そのことは生命発生にも関係してくるかもしれない。わかりやすい説明で知的興奮を引き出してくれたことに感謝。

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2022年11月16日

Posted by ブクログ

好奇心がくすぐられる題名。わくわくしながら読みました。

本書は半径6,400kmの地球の中身を最新の研究で論じる学術的な科学読み物。地球を表面から見ると岩石から成る「地殻」と「マントル」があり、中心には鉄でできた「コア」があります。子どもの頃から、どうしてそんなことがわかるんだと不思議に思っていました。実際、人類が地球に開けたもっとも深い穴の深さはたった12kmですから、地球の中身の観測は不可能です。
中身を知るのに地震波のP波とS波の習性を利用することは聞いたことがあります。ただ、それだけでは地球の深部を構成する岩石はわかりません。そこで「高圧高温実験」が登場します。たとえば、上部マントルの底近辺、深さ410kmの環境は、圧力15万気圧、温度本書1500°Cです。高圧高温実験とは、上記の環境を作り、その環境での岩石を「人工的に作って」しまおうというもの。
著者の廣瀬敬さんの専門は高圧地球科学、地球内部物質学。実際、マントル最下部の主要鉱物ポストペロフスカイを作り出した実績を持ちます。したがい、説明がわかりやすいだけでなく、好奇心も刺激されぐいぐいと本書に引き込まれました。
地球内部の各層は複雑な構造をもち、動き回っています。そして本書は地球をひとつのシステムとし、海の存在→プレート運動→外核の対流→磁場の形成→大気の保持→海の維持を説明します。磁場があるから地球は宇宙線から保護され、大気や海が保持されるという一連のシステムにより、地球内部の動きにより生命が維持されていることが理解できます。
本書の後半では、地球の誕生プロセスと初期の地球に起きたイベント、すなわち火星サイズの天体との衝突(ジャイアント・インパクト)や地球全体を覆ったマグマの海(マグマオーシャン)の形成、コアとマントルの分離(コアの形成)などを紹介しながら、他の惑星との相違、そして地球の生命の誕生も論じます。地球だけでなく、火星や金星の中身まで推理するスケールの大きな内容です。

何度でも読み返したくなるようなブルーバックス。「できれば近い将来、地球の深部の姿から太陽系における地球の起源を明らかにして」続編を書きたいとあとがきにあります。これは期待してしまいます。私自身がボケる前に是非読みたいです。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

地球科学がどこまで進んでいるのかをまとめて教えてくれる流石ブルーバックスな一冊。プレートテクトニクス論について知りたくて読んだのだけど、他も色々面白かった。高圧高温実験によって、地球や他の惑星の成り立ちについてこれだけわかってきているのだなと新鮮な気持ちで読めた。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

地球の中身は、地殻、マントル、外核、内核と分かっているつもりだったが、本書は大気や海を含め、プレートテクトニクスや熱対流・組成対流といった物質の動き、そして、地球誕生から現在までの歴史についても、最近の知見に基づいて解説されている。中でも、著者の専門分野である超高圧・高温下における物質の組成変化など詳しく記されていて面白い。それに、外核が液体金属であり、その動きによるダイナモ効果で地球磁場が存在することは知っていたが、外核内の液体金属の動き方など初めて知ることも多かった。
本書によれば、現在のような生物が存在できる惑星の条件は限られているが、これも永続するものではなく、何らかの原因による地場の消失とか、それによる大気の消失とかを考えると、中々に貴重な環境にあることが実感される。

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2022年02月05日

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