【感想・ネタバレ】プシコ ナウティカ――イタリア精神医療の人類学のレビュー

あらすじ

なぜ精神病院を廃絶したのか?精神病院から地域への移行で何が生じたか。地域精神保健サービスの現場でいま何が行なわれているのか。イタリア精神医療の歴史と現状を展望し、「人間」を中心にすえた、地域での集合的な生のかたちを描く。

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Posted by ブクログ

今のところ、今年1番!

人と人の間で生きるのが人間。
誰もが、そこにいるだけで価値がある。

そんなことを、身体で感じた。
語るのに1週間かかる。

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2021年08月15日

Posted by ブクログ

読前と読後で、人間と社会の関係についての考え方が決定的に変わった一冊。著者のイタリアに対する深い愛と尊敬が全編を通して感じられる。

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2020年02月07日

Posted by ブクログ

イタリアでいかに精神科病院を廃絶して、病気を持つものたちがその人らしく地域で生活できるようになり、現在どのような実践がなされているかが詳細に書かれている。所々哲学者達の言葉が引用されているところがやや難解だが、何度か読み直せば理解できる。精神医療を批判するだけではダメで、精神病に罹患した人間をいかに受け入れていくかという社会の側の問題であり、病気もあって生きる生き方も人としての一つの生き方であるという本書の指摘が日本でも実践できれば、イタリアほどではなくとも、不要な精神科病院を無くしていくことはできるだろう。

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2015年02月11日

Posted by ブクログ

イタリア精神医療の人類学と副題がついている通りイタリアの精神保健の歴史を深く学ぶことができる。
興味深いのは、イタリアでは精神医療から精神保健への転回が行われたということ。
具体的には、精神病院が1978年に開放され地域で生きることをサポートする取り組みがなされてきたというもの。
改革を先導していたフランコ・バザーリア(精神科医)の精神疾患のとらえ方にはっとさせられた。
問題なのは統合失調症などの「病気」ではなく「人生の危機」であり、その時に必要なのは薬ではなく自分らしく生きるための関係性と環境を整えること。
問題を危機とみるか診断とみるのかは別問題であるから病気を一旦「」に入れる。
実際の地域保健のスタッフと患者の実際のエピソードがちりばめられているのも興味深く読めるポイント。
生きることをどう支援するか、という視点での取り組みは理想的だと思う。
精神病院と社会は鏡の関係にあるという一文に深く頷くほかない。「社会を治す」ことが精神病院を開放につながるのだと理解はできるが・・・
イタリアの精神保健のモットー「近づいてみれば誰一人まともな人はいない」確かに、正常と異常くっきり分けることはできない複雑な生き物が私たちなのだろうと思う。

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2024年06月24日

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