あらすじ
胃痛、胸やけ、酸っぱいものが込み上げる……その理由は?
胃が痛い、胸やけがする、食べると重苦しい、酸っぱいものが込み上げる……そんな胃の症状で悩む人はとても多い。
しかし実は、胃はほとんど加齢の影響を受けない臓器である。
胃の不調や疲労は、胃そのものの異常によって起こるのではなく、別の原因があるのだ。
さらに「機能性ディスペプシア」(検査で異常は見られないが胃痛や胃もたれが続く病気)や、患者数が急増している「逆流性食道炎」、また突然痛む「胃潰瘍」などについて、消化器内科の権威がその謎を解明。
適切な治療とセルフケアで、健康不安を解消する情報を網羅する。
【主な内容】
胃の最大の働きは「消化」と「送り出し」
加齢ではない、胃の老化の原因1 ピロリ菌
加齢ではない、胃の老化の原因2 自律神経
検査で異常なしでも「気のせい」ではない
強い胃酸が逆流してくる原因は?
ピロリ菌を治療すると逆流性食道炎になる!?
ストレスは胃潰瘍の原因なのか?
市販薬の選び方のポイント
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
通常、胃は老化しない臓器だが、老化することもある。その原因は2つ。ピロリ菌と自律神経の乱れである。
著者の三輪氏は、機能性ディスペプシアの診療ガイドラインを作成した医師。また、逆流性食道炎の診療ガイドラインを作成したメンバーの1人とのこと。(p18)
ガイドラインはエビデンスレベルが最も高いので、この2つの病気の記述は、信頼性が高い。症状と原因、治療法について、詳しく書かれている。
近年、腸活が流行ったこともあり、胃腸の本は数多く出ている。本書は一般向けの新書なので読みづらいことはない。しかし、よくあるムック本と比べると、イラストや図表が少ないため、とっつきにくさを感じるかもしれない。
視覚的にわかりやすい入門書を何冊か読んだあとのほうが、理解しやすいだろう。
内容は、まずはピロリ菌について。機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、胃潰瘍と続き、セルフケアで終わる。
第6章、第7章の「胃不調・胃疲労のセルフケア」は、下記のような一般的に知られていることだけで、特別な方法は載っていない。
・腹八分目で食事を終了する
・消化に良いものを食べる
・寝る3時間前は食事をしない
・猫背の改善
・深呼吸をする
本書は、腸については書かれていない。丸一冊、胃だけである。
胃に不調を感じている人は一読する価値がある。
以下に参考として目次を挙げておく。
【はじめに】胃に悩まされない幸福な日常を
【第1章】胃は歳をとらない臓器──では何が老化をまねくのか
【第2章】胃の老化と「ピロリ菌」の関係
【第3章】胃もたれがつらいのに異常なし「機能性ディスペプシア」の現実
【第4章】胸やけ、胃液こみ上げ、吐き気……逆流性食道炎を治す
【第5章】急な胃痛、おう吐……胃潰瘍は治る
【第6章】胃不調・胃疲労のセルフケア──市販薬・食事編
【第7章】胃不調・胃疲労のセルフケア──姿勢・運動・生活動作編
【おわりに】健康不安を乗り越える
Posted by ブクログ
「胃が衰える原因はピロリ菌。
ピロリ菌さえなければ、胃は歳をとらない。」
が主な主張。
ストレスや煙草も胃には悪いけれど、最大の悪玉はピロリ菌、といってよさそうです。
個人的には、胃の薬(市販薬)について
・胃酸の働きを抑える薬の主成分は、水に溶けると弱アルカリ性を示す
炭酸水素ナトリウムや炭酸マグネシウム
・胃の消化を助ける薬の主成分は、
リパーゼやジアスターゼのような酵素
という点に、「驚いた」というか、「そりゃそうだよな」と思いました。
あとは、胃の健康のためには、良い姿勢・腹八分目・刺激物の摂取は控える、あたりを気を付ければよさそうです。
そして、異変を感じたら、医師に相談。
そういう意味では、当たり前のことしか書かれていない本ですが、その当たり前を、改めて確認できた本でした。