【感想・ネタバレ】付加価値の法則――社長がブランディングを知れば、会社が変わる!のレビュー

あらすじ

【内容紹介】

「ブランド」シリーズ累計38万部突破!

新時代のブランド戦略「成功新方程式」が、この一冊でわかる


変化の渦中にいると、これが時代の節目だと気がつくことができない。

だが、今がまさに、時代の節目といえる。

SNSやYouTubeの隆盛と既存メディアの衰退、テレワークが当たり前になったビジネスパーソン、ウーバーイーツの自転車、受付に置かれた消毒用アルコール、映画館やイベント会場の人数制限、外飲みからZoom飲み、街から消えた外国人、どこでもマスク着用、環境やエネルギー問題に対する関心の高まり……など、わずか数年で、日常は激変した。


ただ、これらの変化は一時的ではない。

デジタル化や社会問題に起因する変化が、それ以前の状態に立ち返ることなど、絶対にあり得ない。

そして、変わったのは日常の景色だけではない。

企業経営を進める方程式も、同じように変わっている。

それなのに、トップが無自覚に、かつてのやり方を繰り返していたら、会社は必ず誤った方向に進み、やがて立ちゆかなくなる。


だからこそ、会社を率いる社長は、常に正しい方向を見て、適切な判断を下さなければならない。

そのための武器こそが、「ブランディング」といえる。

ただ、コロナ禍を境に、ブランディングの本質が大きく進化している。

これから会社が生き残っていくには、社会に対し価値を提供するだけでは十分ではない。

なぜこの社会に必要なのかということを、社内に対しても、社外に対しても常に知らしめ、さらにそれが認知されているという事実が必要なのです。


これこそが、本書のタイトルとした「付加価値の法則」だといえる。

これからの時代に効果的なブランディングとは何か、また、なぜそれが経営の武器になるのか、そして、付加価値の意味とはどういうことか、こういったことを本書が解説していく。

【著者紹介】

[著]関野 吉記(せきの・よしき)

株式会社イマジナ代表取締役社長。

London International School of Acting卒業後、イマジネコミュニカツオネに入社し、サムソナイトなど多くのコマーシャル、映画製作を手がける。

その後、ビジネスの領域に転換、ステージを舞台や演出から企業へとシフトする。投資部門に出向し、アジア統括マネージャーなどを歴任。経営において企業ブランディングの必要性を痛感し、株式会社イマジナを設立。

映像制作で身に付けたクリエイティブ手法を活かし、アウターとインナーを結びつけたブランドコンサルティングで、すでに2,700社以上の実績を挙げている。

最近では活躍の場を地方自治体や伝統工芸にまで広げ、ジャパンブランドのグローバルブランド化を推し進めている。

【目次抜粋】

Chapter1/デキる社長は、今こそ変わる

Chapter2/企業永続への“武器”とは?

Chapter3/組織強化のインナーブランディング

Chapter4/成長戦略としての“ブランド”とは?

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Posted by ブクログ

本来なら国のリーダーは、「私はこれが正解だと思うからこれを実行する。その代わり、間違えたら責任をとる」と国民に宣言するべきなのです。
(引用)社長がブランディングを知れば、会社が変わる! 付加価値の法則、著者:関野吉記、発行所:株式会社プレジデント社、2021年、59

新型コロナ感染症の最初の患者が中国の武漢で原因不明の肺炎を発症した2019年12月から、早2年半という月日が経過した。未だ終息が見えない新型コロナウイルス感染拡大は、世界を一変させた。新型コロナウイルスの蔓延とともに、50歳を過ぎた私は、自分の新人時代と比較し、働き方やトップの考え方、そして企業のあり方を変えていかないと肌で感じている。つまり、リモートワークを導入する企業が増加しているが、コミュニケーションが不足する中、これからの働き方とはどのようなものか。また、新たな環境下において、どのようにイノベーションを起こし、企業を創造していくのか。その解を模索すべく、株式会社イマジナの代表取締役社長であり、最近では地方自治体や伝統工芸にまで活躍の場を広げるブランドコンサルティングの第一人者、関野吉記氏の「付加価値の法則(株式会社プレジデント社、2021年)を拝読させていただくことにした。

著者の関野氏は、コロナ禍における世界の変容に対して、「ブランディング」という切り口で新たな時代の企業戦略を提案する。大学時代、私はマーケティングを学んできたが、「ブランディング」とは、言うまでもなく、その企業の商品やサービス、そして企業自体に対する消費者のイメージを高め、他社と差別化を図る戦略のことである。トヨタは、従来のブランドから脱して、新たに高級・革新的なレクサスブランドを立ち上げた。では、なぜ、いま「ブランディング」なのだろうか。

一気に読み終えた感想として、本書は、社長向けに書かれた書籍であるが、企業や自治体の管理職が読んでも大いに役に立つ内容だと感じた。そして、この書籍は、単なるブランド戦略のものではないと気付かされる。なぜかというと、ブランドには社内に向けた「インナーブランディング」と、社外に向けて行う「アウターブランディング」がある。インナーブランディングといえば、本書でも稲盛和夫氏のエピソードなどが登場するが、稲盛流に言えばフィロソフィー(哲学)、つまり企業の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」を構築し、社内に浸透させることが重要であると感じた。と同時に、全員が創業の原点に立ち返ったうえで、時代と社会に沿っていることが大切であると関野氏は指摘していたことは、同感であった。

時代に即したというのは、コロナ禍において、従来のように、会議室に集まり、「声の大きい」社員の意見が通る時代は、終焉を迎えつつある。かつて私は、小学校の授業参観に訪れた際、ある先生から次のようなことを伺った。「今までは、手を挙げる子の意見で授業が進んでいました。しかし、一人1台のタブレット端末が導入されたことにより、瞬時にクラス全員の児童の意見が端末上に出てきます。これにより、手を挙げられなかった子たちの意見も把握することができて、より子どもたちの理解力を知ることができるようになりました」。
リモートワークも学校と同様であり、ただ「声の大きい」社員ではなく、「自ら価値を生まない」社員は、要らなくなる。

冒頭、リーダーのあるべき姿を引用した。失敗を恐れ、支持率が下がることばかり考えていれば、政権はもたない。コミュニケーションが取りづらく、大きな転換期を迎えた現代においては、トップの内外に向けた説明責任が重要になってくるのではないだろうか。そのためには、「ブランディング」を用い、「付加価値」作りを目指しながら、企業や自治体を進化させていく。本書の後半には、具体的なビジョンマップの作成手順も紹介されている。私は、本書にも登場する大前研一氏が指摘するように、「自分が社長であれば、この先どのように事業展開するか」といったことを踏まえながらビジョンを構築していきたいと思う。関野氏の書籍を拝読し、これからの時代は、「ブランディング」、そして「付加価値」づくりを意識した経営が求められるのだということを理解した。そして私は、日々の仕事でおざなりになりがちなブランディングについて、自社や自治体の“未来への投資”だと意識することから実践していこうと感じた。

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2022年08月07日

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