【感想・ネタバレ】官邸は今日も間違える(新潮新書)のレビュー

あらすじ

コロナ禍の日本政治は迷走が続いた。突然発表された全国一斉休校に、閣議決定をやり直した一律給付金、アベノマスクと揶揄された布マスクの配布……。現場に混乱を生み、国民の信頼を損なう政策はなぜ生まれたのか。原因は「官僚主導」から「官邸主導」への変化に、政治の仕組みが対応できていないことにある。元厚労省キャリアが、もつれた糸を解きほぐし、政治と官僚、国民のあるべき姿を提示する。

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Posted by ブクログ

筆者の本を読むのは「ブラック霞が関」に次いで2冊目です。この本はコロナ禍で実施された小中高の一斉休校や布マスクの配布などの政策について、官邸でどのような経緯で決まったのか、また、どうすればよかったのかが良く分かる本です。印象に残った部分は「特にコロナ禍のように、「すべての国民に不都合のない結論」が出せないような場面では、国のトップがどのようなメッセージを国民に向けて出すかが、強く問われる。」(124P)という部分です。『「不都合なことであっても将来のため、あるいは、より大きなリスクを避けるために、説明して何とか理解してもらう」という姿勢が必要だ。』(127P)です。コロナ禍を振り返りたい方にはお薦めします。

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2024年06月23日

Posted by ブクログ

2022.6
政策起業家研究として。
・政治の意思決定は利益の再分配から不利益の再分配へ
・それに伴い全ての人が満足できない政策決定へのアップデートが必要。

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

民間から某庁にきて役人に囲まれて仕事をして一年。よくわからなかった組織の力学を、千正さん教えてくれてありがとう。

日本で最も(学力的に)優秀な人たちが仕切ったって、日本は変わらない。

省庁の意思決定について歴史的な経緯が興味深い。これまでは中間団体と政治家のつながりでものごとが決まっていたけれど、中間団体が弱体化していると。よって官邸主導になっているわけだけども、それをささえる官僚組織がブラック過ぎて脆いということ。

民間もそうだけど、組織は腐る。そして自浄作用はない。変わるとすれば、外圧か、絶体絶命の危機や混乱の時。

わたしは個人としての生き残りのために努力をしてきたけど、たぶんそれでよかった。

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2022年02月11日

Posted by ブクログ

小泉政権以降、日本の政治・政策決定は、「政治主導」「官邸主導」の方向に変化したと言われているが、それには一長一短がある。筆者は、2001年から2019年まで厚生労働省に勤務していたキャリア官僚であり、その一長一短を、自身の経験を踏まえて本書で記している。
一長一短の「一短」の方で言えば、まずは内閣の支持率至上主義ということがあげられる。これにより、人気取りのための政策が、根回しや実現可能性の詰めなしに行われる。例えば「アベノマスク」がこれにあたるだろうが、実際には、「人気取りにもならず」「迅速には実行できず」「高コストの形で」1人2枚の使いにくいマスクが配布されてしまい、配布された時点ではマスク不足も収まっているというような、馬鹿なことが起こってしまう。そういったことは、枚挙にいとまがないようであり、それが、本書の題名の「官邸は今日も間違える」に繋がっているのである。特にコロナ対応の際に、「一長一短」の「一短」が目立つことになった。
もちろん、うまく運用できれば、「意思決定が早くなる」「既得権益への配慮なく、抜本的な改革が可能」などの「一長」もあり得るのであるが、それが実感できる形の政治になっていないのは残念である。

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2025年02月18日

Posted by ブクログ

官僚の人たちは高学歴が多く、難しい長文が苦にならないし、理解できる。
しかも怒られることを嫌うから完璧な文章を作る。
だから彼らが作る書類は難解になる。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

日経書評で「日本のコロナ対策を検証」した3冊のうちの1冊として紹介されていた本。

タイトルが、そのとおりだよね、と。
オビの「バラマキ給付、アベノマスク、接触アプリ、GoToトラベル、欲しかったのは、これじゃない!」ってフレーズ、まさしくそのとおり!
じゃあ、なんでそうなっちゃったの?ということを論じた本。

政策の意思決定は、小泉劇場型政治などを経て、官僚主導から官邸主導へと変わってきている。政策は大きく早く動くようなった。
特に国民の注目度の高い政策は、①権力の集中した官邸が、②国民の人気を気にして、③少数の人間で急いで決めるようになった。

政治は、小選挙区制導入などで「支持率至上主義」 が加速化され、それがSNS時代の到来により、どんどん短期的な人気取りに陥ってきている。
実務的に業務がちゃんと回るかということを考えずに意思決定がされ、ミスは繰り返され、官僚の実務担当者や自治体、委託先の民間企業が、過重労働で疲弊する。そしてそれにもかかわらず、国民には政策の効果が届かない構図は続いていく。

…トホホな図式だ。

経済が右肩上がりの時代は、基本的には利益を分配するのが政治の役割だったが、今は誰かに負担や我慢をお願いする形での意思決定が必要だ。全員に不都合のない結論を出すことは難しく、政治家にとっても難しい時代だ。

コロナ禍の政策決定には、日本の政治が抱えている「不都合なことを意思決定できない」問題が色濃く出たものといえる。

なんというか、悲観的になってしまうのだけど…
霞ヶ関改革や国会改革、国民のできることについても書かれているので、自分のできることを地道に一歩一歩進めていくしかないなあ、と。

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2022年03月27日

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