あらすじ
――おれは怪談師
幽霊を祓う力なんてあるわけないだろ
霊の姿を見、声を聞くことのできる怪談師・夜見の要求は怪談を集めることだった――
家賃の安さに惹かれ、とあるアパートに引っ越した西野明里。その日の晩から壁を叩く音が鳴り響く。不動産屋からは事故物件でもなく、隣室は空き部屋だと知らされていたのだが。1週間その音に悩まされ、高校の同級生の美佳に愚痴を吐いたところ、本当に霊感を持つというイケメン怪談師・夜見を紹介される。夜見に相談するために、実際に会って自身に起こったことを話すが――
アオジマイコ・装画
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
二見ホラーミステリ文庫作品としては割とマイルドな方かなと思っていたら、なかなかどうして。
最後の展開は想定外かつ衝撃的で大変驚いた。
他の幽霊騒動は命の危険性までは感じなかったが、最後の話は物理的に危なかったし、某キャラの設定が明らかになったときも本当に衝撃的で、二重に驚かされたからだろうか。
他は基本的に毒舌らしきものを吐きながらも面倒見のいい夜見さんのツンデレ対応をニヤニヤしながら読んでいたので、怖さに震えるより面白くて笑いながらの読書となった。
喫茶店での夜見さんの評判急降下な展開が何回もあって、その度に本当に笑わせていただいた。
彼が悪い訳ではないのに。
それでいて明里のことを見捨てないのだから、本当にいい人である、夜見さん。
ホラーなので勿論幽霊が絡むが、ミステリの謎解きもしっかり味わえる。
この謎解きも面白かった。
事故物件ではないのに幽霊が出るのは何故。
自殺した幽霊の、その自殺の方法とは。
「ついてきて」しまった幽霊に隠された謎とは。
そして、明里を物理的に危険を招いたその場所に関わる真実とは。
謎解きもしっかり練られた話なので、怪談話を楽しみつつ謎解きもできる、何とも贅沢な物語だった。
まさにホラーミステリ文庫な物語。
ひやっと怖い話なので、ホラー苦手な人でも触れやすい話だと思う。
……いや、黒焦げ幽霊出てきたりするから、そうでもないの、か?
自分の基準が曖昧……