【感想・ネタバレ】東北新幹線沿線の不思議と謎のレビュー

あらすじ

日本最速・東北新幹線と北海道新幹線の車窓の気になるあれこれ。歴史と地図的興味に鉄道事情を絡めて沿線をより深く知る本。

上野~大宮間はトンネルのはずだった? 北東北を二分した「西回りルート」って何?
さまざまな経緯でいまの姿となった東北新幹線と、「その先」の北海道新幹線をもっと興味深く乗れるようになる本。
車窓の気になる山や建物も織り交ぜての沿線紹介も充実。

【主な内容】
第1章 東北新幹線ルートの不思議

本当は計画になかった上野駅
長大トンネルで駆け抜けるはずだった? 上野~大宮間
上越新幹線との分岐点はどうして大宮から遠いのか
新幹線から分岐する不思議な非電化路線
ルート候補はなんと11通り! 位置と名前でもめた那須塩原駅
事実上の日本最長ストレートがある白石蔵王~仙台間
新幹線駅直結!になるかもしれなかった東北楽天イーグルスの本拠地
「スワン駅」が誕生する可能性もあった? くりこま高原駅命名秘話
映画にもなった! 水沢江刺駅と新花巻駅の誘致大作戦
北東北を二分する大論争! 知られざる「西回りルート」
盛岡以北の新幹線は「いわて沼宮内~八戸間」しか作られないはずだった
青函トンネルが遠回りな津軽半島経由になった理由
少しでも函館に近づけようとした? 新函館北斗駅の大カーブ


第2章 列車の不思議

停車駅では区分できない、東北・北海道新幹線の愛称の謎
JR北海道のH5系が北海道新幹線を滅多に走らない理由
本当は新幹線ではない? 山形・秋田新幹線が採用した「ミニ新幹線」
東北新幹線ならではの「多層建て列車」
グランクラスを安くたっぷり楽しむ裏ワザ
車窓と日差しで決める座席選びのテクニック
なにより大事なコンセントはどこにある?
トンネルでも携帯の電波が届くのはトンネル内に基地局があるから

第3章 沿線の不思議

東北新幹線は山岳展望新幹線! おすすめの山の眺望はここ
東北新幹線建設がきっかけで生まれた宇都宮タワー
令和の世に開業する次世代路面電車 宇都宮ライトレール
仙台市民が「帰ってきた」と感じる3本のテレビ塔
宮城の高級米・ササニシキは今どこへ?
沿線にある二つの「遺跡」がたどった道 世界文化遺産と太陽光発電施設
廃止から十数年を経て今も生きている「くりはら田園鉄道」
どうして北東北には「戸」のつく地名が多いのか
新青森駅が医療都市に変貌!新幹線と病院の意外な関係
現存最古のセメント工場

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Posted by ブクログ

ひょっとしたらガチンコの鉄道ファンには物足りないのかも知れないけども、わたしにとっては物凄く楽しく読めた一冊。
鉄道ファンには撮り鉄・乗り鉄・模型鉄・時刻表鉄などなど様々な細分ジャンルがあると思うのだけども、沿線地域の発展史だとか車輌装備や路線開業にまつわる豆知識だとか、広く浅くの感じがとてもちょうど良かった。ここから興味を惹かれた分野を深掘っていくのもよいかも知れない。

私自身、仕事で東北に出入りする機会が数年前までは頻繁にあり、しょっちゅう東北新幹線に乗っていたので多少なり聞き馴染みがあるのも面白く感じた一因かも。

《上越新幹線との分岐点はどうして大宮から遠いのか》…失礼ながらすごく地味な着眼だと思いきや、思いの外に大きな裏話が隠れていた。まだ日本が元気いっぱいだった頃、東北新幹線と上越新幹線を互いに乗り入れさせようというプランがあり、しかも大宮駅は当時さほど重視されていなかったのでスルーして上尾あたりで線路をクロスさせるつもりだったが景気後退によってそれどころでなくなった…というやるせない理由。と同時に、高度経済成長期に郊外に住む人口が増えたために大宮駅の重要度が高まったとの背景もあるようだ。こういう話好き。

《「スワン駅」が誕生する可能性もあった?くりこま高原駅命名秘話》…くりこま高原駅については後述(p164)でも詳しく触れられるが、結構謎の多い新幹線駅。とにかく田んぼの真ん中にある、という点が強調されている。高原といいつつ高原でない。駅名を決めるにあたって「地元の意向を最大限に尊重したい」(p49)とし駅名の一般公募まで行ったJRは地元が示した候補を全く無視して自分で決めたのであった。高輪ゲートウェイ駅もそうだが公募ってなんなのか。

《宮城の高級米・ササニシキは今どこへ?》…本書で一番面白かったかも。「古川駅前には女性と子どもがなぜか裸でササニシキを掲げる「ササニシキ顕彰碑」がある」(p123)って、なぜかとか言わないであげてよ。さておき、ササニシキはたくさん獲れて病気には強かったが寒さに弱く、1993年の大冷害という決定打により「作付面積は宮城県の稲作の1%以下にまで低下してしまった。」(同)のである。衝撃。何年か前、仙台へ旅行に行った際にササニシキの新米炊き立てご飯を頂いたことがあったけど、日本酒に合うシャープなお米ってなかなかないよね。また食べに行きたい。

《見どころの多い新幹線の秘境駅 奥津軽いまべつ駅》…あるのは知ってるけど、言われてみれば降りたことがない駅。「駅前には広場以外何もない」(p186)という身も蓋もない紹介だが、実際に調べると確かになんにもないかも…。1軒、カフェのような食堂のようなお店がありちょっと行ってみたい。東京方面から龍飛崎を訪ねるにはここで降りて隣接の津軽線・津軽二股駅から三厩駅に行くのがよいのでは。三厩からもまだあるけど。それはそうと、津軽線の停車駅名は味わいがあって素敵。「オリオン美容院」とか「浜名五十嵐理容院」ってふたつも散髪屋さんがある。よく読んだら津軽線ってバスなの?
謎が多い…!家族は付いてきてくれないからいつか一人旅してみたい。

いやー、旅ってほんといいもんですね。妄想でも楽しい。
栗原先生の著作シリーズは集めたくなりました。


1刷
2025.10.18

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2025年10月18日

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