【感想・ネタバレ】ハーバードの美意識を磨く授業のレビュー

あらすじ

ハーバード・ビジネス・スクールの超人気講義を完全収録! なぜ、世界最高の知性が、こぞって「美意識」を学ぶのか?LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの北米地域社長を務めた著者によるスリリングな学びに満ちた本。 ―――山口周これからの時代に必要な「知的センス」と「洞察力」とは――?◇人が「高い料金を払ってもいい」と快く思う時◇「アップルストア」が道行く人の視線を集める理由◇アマゾンの「ロゴ」に表われたコミットメント◇エルメスのコードが喚起する「欲望」と「空想」◇スタートアップ企業が「狭き門」をくぐり抜ける方法◇何が「衰退」と「発展」を分けるのか◇業界の「熾烈な戦い」を制するために大切なこと◇なぜ金融の世界にも「美意識」が求められるのか◇「倫理的義務」から目を背けてはならない◇「言葉にできる」という途方もない価値

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ハーバードでは、美意識に基づくポーリーンブラウン教授の美意識の授業がある。モエヘネシーの北米代表など、マーケ絡みの責任者を歴任してきた著者の経験からくる論理でもある。ビジネスの世界にある意味対極的と過去から思われてきたアートの重要性、美意識というものが介在しているのか、そしてそれを活用することがいかに大事なのか、を説く。
筆者は、美意識をビジネスに活かすスキルをAesthetic Intelligenceと呼び、頭文字をとって第二のAIと名付けた。テクノロージーと美意識、人間にできることで、経済と社会のサステナビリティに貢献できると。シャンパーニュ、ロゼを生み出したマダム・クリコは。製品や経験に特別な価値を与えているかどうか、ということがわかったのだろう。模倣からは永続的な価値は生み出されることはない。よって、ファストファッションはハイエンドの模倣である限り、価値は下がっていくが、ブランドの商品は落ちることはない。エルメスのバーキンのように。
ニューヨークのステーキハウス、デルフリの店員のユニフォームのリデザインに取り組んだのも彼女だったのか。自分だけの特別な体験、これを五感全てで表現する。これをマーケティングで忘れてはいけない。
スタバのサンドイッチの匂いが、客をゲンナリさせてしまい、調理方法を一新したというのも、なるほどと思った。日本のスタバにはあまり行かなかったが、本当に匂いも悪いし、味も薄い。当初のコンセプトが当たりすぎただけに、オペレーションに集中し、そこに安住し大事な美意識を失った例だろう。一方で、トレーダージョーンズ(所謂トレジョ)、ABCカーペットなどニューヨークで独自色を出している小売店舗を教授は忘れずに取り上げる。
では、どうやって美意識を磨くのか。例えば味覚は50%は遺伝子で決まってしまう。ベンアンドジェリーズが実はロングアイランドで起業された会社とは知らなかった。ユニリーバに買収され、そこから市場シェアを奪いにいく。高級アイス、ハーゲンダッツがいる市場に。
もう一つ面白いのは、日本人留学生の制服姿が、アメリカキャンパス内で最も挑発的だとした。JKスタイルは、アメリカでは完全に売春婦の格好と一緒ということだそうで、これもなかなか驚きであり、隠れた日本人ファンが多く、また女性が国際結婚が多い日本の姿を表しているのだろうか。。。一方で、アンチファッション、つまりTシャツにヨガパンツ姿、5分しか着替えに要する時間がない、または注意を払わないという選択もあると。ニューヨーク、こういう人も本当に多い。
家にある、愛着のあるもの、好きなもの、そして逆に目障りなものをあげて、理由を考えてみるというエクササイズが書かれている。コンマリ的な感じかもしれないが、アメリカ人にとってものはものに過ぎない。ここが日本人と大きく違うところだろう。逆に日本人の凄さは、ここにある。心地よいものだけで、周りを構築する能力は凄まじく、そして清潔で、シンプルになっていく。
無難なビジネスパーソンになるな、写真立てを置いて、家族愛があることをアピールする、典型的なアメリカン。あなたがやりたいように、やりやすいように、そして自分らしく最高のパフォーマンスを発揮するのはどういう環境だろうか。素晴らしい、ビジネスパーソンへの美意識に対する決定的な問いの一つだろうと思った。

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2022年06月01日

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