あらすじ
地中海の国カスタルディーニはいま、存亡の危機に瀕しており、国王が病に伏してなお、皇太子の座は空いたままだ。だがついに次期国王候補が評議会により選ばれ、それがフェルッチオだと知り、王女クラリッサは愕然とする。フェルッチオはカスタルディーニと縁深い海運王で、六年前からクラリッサに言い寄ってきている。その目的が王家との繋がりを得ることとわかっていたため、クラリッサは彼に心惹かれつつも、誘いを断り続けてきたのだ。きっとフェルッチオは二つ返事で王位を受けるだろう……そんなクラリッサの予想に反し、彼は条件を提示してくる。クラリッサが身を捧げるのであれば、王になってもいいと。■地中海の国を舞台にした三部作〈さまよえる王冠〉最終話をお届けします。六年間袖にしつづけた相手に、身を差し出すことになったクラリッサ。もつれた運命の行く末は?
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Posted by ブクログ
財政的にも国際社会情勢の中においても、存亡の危機に瀕している王国の王女クラリッサ。
彼女は六年前に同じ王家の一族の血を引く青年フェルッチオと出逢い、以来、誘惑され続けてきた。
クラリッサは彼に激しく惹かれつつも、頑なに拒絶してきた。
しかし、時ここに至り、王国再建のためにはフェルチオに王位を継承し国王になって貰うしかないという評議会の決定が下された。
フェルッチオが出した条件は、国王になることと引き替えに、クラリッサに王妃になれというものだったー。
互いに惹かれ合いながらも、誤解とすれ違いで対立してきた二人。
そんな二人が王位継承という厳粛な事実を間に、取引で夫婦となることになった。
クラリッサが前王の実子ではなく、実は王家の人間ではないという事実を知りながら、自分を成り上がり者の庶子と軽蔑する彼女の名誉を守るために最後まで彼女の出生の秘密を暴露しなかったフェルッチオ。
その男らしさ、男気がカッコ良いです。
最後はクラリッサとフェルッチオの誤解も解け、王と王妃というサヤにおさまることができて、良かった、、、
また、クラリッサの秘密も守られることができたのは、すべてフェルッチオの度量の大きさのお陰ですね。