あらすじ
私たちは、実に多くの生き物や自然、それらが作り出す環境に依存して生きています。そして、その生き物や自然はミクロの世界で支えられているのです。本書で伝える細胞の毛は、そんなミクロの世界が地球環境を育んでいることを知るきっかけを与えてくれます。(「まえがき」より)「脳の中の毛」「ウイルスから守る毛」から「音を感じる毛」「海を支える毛」まで、「細胞の毛」研究30年のスペシャリストが綴る驚異のミクロの世界。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
筑波大学教授の稲葉氏による著作。専門は細胞生物学、海洋生物学など。
本作は2021年に上梓したもの。
・・・
私は実はムダ毛についての本を探していました。
ムダ毛の意味、生物学的なファンクションとや何か、ということです。
で、本作に出会いました。しかし、しかし。
はっきり言うと、本作は全く別のものを主題としています。
それは生物の繊毛(せんもう)・鞭毛(べんもう)についての紹介、そしてその構造の不可思議さ、です。
・・・
いやあ、私はね、タイトルから見て、ムダ毛っていうのは実は進化に大いに関係しているんだよ、っていうものだと思ったんですが、とんだ思い違いでした。ってか釣りですよ、結構。
・・・
で、内容はどんなだったかというと、繊毛や鞭毛の機能についてです。
といってもなんやそれ、って話です。
一番身近?かもしれないのは、精子の鞭毛ではなかろうかと思います。あの「おたまじゃくし」のしっぽの部分です。
あのしっぽの構造がどうなっているのかという事が、氏の関心ごとでありました。
だって、生殖の一丁目一番地です。とてもシンプルで機能的。でもその構造は一体どうなっているの?ということです。
私たちは動くとき筋肉を動かしますが、こうした精子の運動はもっと単純です。あのしっぽを波打たせるのですが、それにも生物的合理性が潜んでいる、という話です。
もし関心があるのであれば是非読んでください。
・・・
ということで各種生物(主に海洋生物)の精子のしっぽの構造の話でした。
まったくムダ毛の話は出てきませんので、そうした書籍を探しておられる方はご注意を。
ただ、生物学や細胞の構造などに興味・関心がある方にはおすすめ出来る作品だと思います。