【感想・ネタバレ】楽しい孤独 小林一茶はなぜ辞世の句を詠まなかったのかのレビュー

あらすじ

老(おい)が身の値(ね)ぶみをさるるけさの春 一茶

一人暮らしの貧しい老人である自分は価値のない存在としてみられている……一茶は、 世間の冷酷な視線ですら面白がって俳句にしてしまいます。本書は、苦難を超えて生き抜いた一茶の俳句を味わいながら「人生という旅」を楽しむためのガイドブックです。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

  わたしにとっての一茶といえば、
『雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る』
『春風や 牛に引かれて 善光寺』

そして、惹かれるのが
『めでたさも ちう位なり おらが春』
達観した一茶を連想していました。

 しかし、本書より、想像以上に家庭に恵まれない過酷で孤独な人生と知りました。
 義母のいじめ、夫婦喧嘩、相続争い、子どもたちを幼くして亡くし、更に妻・菊も、再婚した雪とは三ヶ月で離婚、中風(脳梗塞)が再発、やたと再再婚するが、大火事により一茶の家も母屋が全焼した年、六十五歳の波乱の生涯を終えました。

 『一茶のことばは、平たく、やさしい』とありましたが、格好つけない心地良さを感じます。 自然体の人だったのでしょうか⁈

『死下手(しにべた)とそしらばそしれ夕炬燵』
なんとも、ため息が出そうな句ですが、
『誰になんといわれようと、どんなにぶざまであろうと、与えられたいのちを全うする、それが一茶の美学』だそうです。

 最後は辞世の句を残さず、ただ一声「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えたとのこと。
 達観というよりも、" 我が人生を人間らしく生きた人 " ・・・・・あくまでわたしの勝手なイメージですが。

やはり、『めでたさも ちう位なり おらが春』が好みです。

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2022年07月22日

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