【感想・ネタバレ】松本隆 言葉の教室のレビュー

あらすじ

稀代の作詞家が教える“ポケットいっぱいの”日本語の秘密

「風をあつめて」「木綿のハンカチーフ」「ルビーの指環」「赤いスイートピー」「硝子の少年」……
伝説のロックバンド「はっぴいえんど」でドラムと作詞を担当。
解散後は作詞家として2000曲以上を手がけ、
50曲以上がヒットチャート1位に。数多くのヒット作を生んだ---

夕陽を言葉にしてごらん
世界が一変するよ



もくじ

はじめに ―

レッスン1 記憶は宝箱 創作の源
堆積した記憶のなかから取り出す
幼い頃に観たドイツ映画から
場所の記憶
本の記憶
多感な時期の読書歴
自由気ままにインプット
音楽の記憶
いいものが残っていく

レッスン2 視点と距離 どこから切り取るか
目に映るものをノートに書いてみよう
通りから見た風景
視点をどこに置くか
一枚はさむ
目の高さを意識する
距離を正確に表す
自分とはなにか、3人称の視点
心を動かす訓練を

レッスン3 光と陰 美しさを際立たせる
デフォルメとアンプリファイ
針で突っつく
陰を描くことで立体的に
死が生を輝かせる

レッスン4 あなたが好きって伝えたい
ディテールを積み上げる
ふっと心が動く瞬間
共感を凝縮
色が移ろう
失意のまま終わらない
俯瞰する視点

レッスン5 リズムとバランスと美意識
易しく伝える
語感の気持ちよさ
字数を意識する
バランスの美意識
言葉によって世界を立ち上げる
色を表現する
とにかくたくさんの言葉を知る
言葉の並べ方
「ポケットいっぱいの秘密」の秘密
ダサかっこいいを極める
カナリア諸島と煉瓦荘

アフターレッスン 松本隆のポリシー
普遍性はどこから生まれるか
コツコツ積む
ときに休憩も大事
音楽も言葉も廃れはしない
歌はみんなの財産
日本語へのこだわり
きみをさらってゆく風

松本隆をめぐるナイン・ストーリーズ ―― 延江 浩
0.風街を往く
1. 喪われた東京
2. レイバンと髭面と幸福な春休み
3. はっぴいえんど結成
4. 日本語ロック
5. きっかけは「ガロ」
6. 5人目のメンバー
7. 作詞家に転職
8. 時代を創る
9. ありったけの愛

あとがき

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この本に出てくる歌はどれも有名な曲ばかりでした。アイドルが歌うから有名になったのではなくこの歌詞だからいつまでも口ずさめる歌なんだとあらためて気付かされました。
難しいことを易しく言うのは難しい、という一文があるが本当にそうだと思う。簡単そうであるが真似ができるものではない。
どの曲も聴いているとその情景を目に浮かべることができてなぜか切ない気持ちにさせられてしまいます。。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

とっても良い。毎日忙しくって、コスパ、タイパをいつも気にして生きてしまうけど、日常の歓びは真逆のところにありそうです。いろんな視点で今を見てみましょう。そう思わせてくれる本です。

0
2024年09月29日

Posted by ブクログ

寝る前に松本隆のことばを読みながら、音楽に耳を傾ける時間はやすらぎのひとときだった。
彼がどのようにして言葉を紡ぎ、それに真摯に向き合ってきたのかがよく分かる一冊。彼こそが日本の作詞家である。
どの歌の話も良かったが、『君は天然色』では涙を流してしまった。

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2023年09月14日

Posted by ブクログ

この本は教室という言葉が題についているため、作詞方法やアイデアの作り方など、何かしらの学びを習得しようとする方が読むのかもしれない。そういった、本の内容を箇条書きにしてまとめるような、学びの情報のみを求めている方には向かないと思う。
松本隆のこと、はっぴいえんどが好きだった方にはきっと届くはずだ。
松本隆はこぼれ落ちるものさえ魅力的なひとだ。

まさしく潜在意識をつつくような本だった。
作り手の愛情が届く本は素晴らしい。

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2022年03月16日

Posted by ブクログ

説明する文章とは全く違う。

削ぎ落とした言葉で、誰もが持ってる感情やイメージを想像させるって、もはやアートだと思う。

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2021年12月15日

Posted by ブクログ

この本は
延江浩さんという方が手掛けた作品
前半は松本さんの語り口で書かれており
後半からは延江さん語りで
松本さんとの思い出も交えて書かれています

作詞のレクチャーとしても
読み応えありますが
常日頃 日本語を大切に使いたいと
考えている私にとって
表現方法など学びがありました

そして
何故 私はあれほど
聖子ちゃんの歌が好きだったのか
曲を聴くと
曲の世界が頭の中に
鮮やかに広がっていったのか
その謎が解けました

それは歌謡曲という流行歌に
松本さんが幼い頃から触れてきた
美しい映画や詩など
文学的要素があったからだと思います

そして聖子ちゃんという天才が
瞬時に曲の世界を理解し
歌で表現していた

私は毎日毎日
聖子ちゃんの歌を聴き
頭の中では
様々な映画が上映されていた

だから曲を聴くと
様々な絵が頭に浮かぶんです

松本隆さんが次々に
素敵な作品を送り出していた
あの時代にリアルタイムで
その作品を聴く事が出来たのは
とても幸せなことだと
この本を読んでいる間中
感じていました


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2025年11月09日

Posted by ブクログ

よくぞ本にまとめてくれました!!

と思うほどの読後感。
松本隆の世界は、広く、深く、清潔で、眩くて、
胸の奥に静かに落ちていく。

その秘密が語られている。

圧倒的な読書量と、知識欲、行動力、
人を想う心のあたたかさ。

よく読む人がよく書く。
世界を見つめる目の確かさと、美意識と、
知性が、あの世界を作っていたのだなと、
改めて感動した。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

松本隆という作詞家の人柄を知るために読んだ。教養があり、普遍性を求め、バランス感覚に優れている方だと感じた。この人間性がとても好きだなと感じた。

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2025年03月27日

Posted by ブクログ

松本隆は東京を風の街と表現してるのか
「風をあつめて」は勿論、「ルビーの指環」もそうだなぁ

東京の移ろいやつさも、冷たさも切なさも
確かに風の街だなー

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

松本隆さんの名曲がどのようにして生まれたのか、作詞家として心がけていることは何かなど、本人が自分で解説している。松本隆さんの見てきた世界がこんなにも美しく、それをちゃんと言葉で表現できるのが良い。でも、最後らへんは松本隆さんじゃない人が長々と文章を書いてるので、そこが少し不満かなという感じ。

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2024年07月23日

Posted by ブクログ

松田聖子「渚のバルコニー」、「赤いスイートピー」や寺尾聰「ルビーの指輪」、Kinki Kids「硝子の少年」などのメガヒットを数多く生み出した日本を代表する作詞家、松本隆のインタビュー。

稀代の天才が紡ぐ言葉はどのようにして生み出されるのか?多くの読者が関心を寄せるところだが、冒頭で氏は言う。自分は、定型やテクニックのようなものからは一番通りところにいる、と。人の心を動かすには、言葉は顕在意識ではなく潜在意識に届けなければならない。テクニックは顕在意識には届くが、ここにいくら届けても感動は生まれないと。

例えばマーケティングなどの世界では、いつの時代もテクニックや定型化に余念がないが、作詞という文学的な世界ではそのようなものに頼っていては、時代を超えて語り継がれるものは作れないという事だろう。一方で、そうしたマーケの世界でも長く親しまれるキャッチコピーなどは存在する。松本氏のような発想で言葉を紡いでいく先にのみ、そのうような境地に至ることができるのかもしれない。

文字の見え方、字面、並び、リズム感など、さまざまな要素を深く考え抜いて、作品に仕上げていくのである。学ぶことはたくさんある。

リズム
語感の気持ちよさ
字数: 7、5調、日本語は3,5,7の組み合わせがベスト
美意識: ガラスの林檎 (x リンゴ)
言葉の並び: 好きよ、でもね、たぶん、きっと

冒頭で否定したテクニックのような話も上記のように解説されているが、これらはいわば後付けの講釈であり、やはり松本氏は自身の感性や感覚的なものを大事にしていたのだと見受けられる。そうしたものを育んだのは、幼少期から触れていたという国内や海外の文学なのであろう。人を感動させるには、まず自分が感動しなくてはならない。

言われてみれば当たり前に思えるが、凡人はなかなかそれに気づくことが出来ない。松本さんから教えて貰った事を生かしていきたいと思わせる、まさに言葉の教室だった。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

時宜を得たというか、きっとこの本が出るのが数年早かったら魅力が半減していたように思います。やはり歌詞を読むだけでなく昔の音源にもアクセスしやすくなったサブスクの存在はとても大きいです。
何度も聞いたことのある木綿のハンカチーフってこんな曲だったんだ、みたいな再発見も多かったです。

松本さんが礎を築いた「日本語で歌詞を書くこと」の美しさというのは、近年のJ-POPでもしっかりと受け継がれているように感じます。YOASOBIなどはサウンド面の印象が強いですが、歌詞もとても魅力的ですし、星野源さんの作品などにもその影響をとても強く感じます。

余談ですが松本さんが作詞を始めたのも、星野さんがインストバンドのSAKEROCK後に歌い始めたのも、細野晴臣さんの一言がきっかけだったというのは面白いですね。才能を見抜く目がすごすぎる。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

何となく気になり、本書を手に取りました。

私は歌のことはよくわからないのですが、この本では「言葉」がとても大切に扱われていて、そのことが深く印象に残りました。

まっさらな気持ちで、感じ取ること。
「言葉」をたくさん自分の中に蓄えておくこと。

多くの人たちに届く言葉というのはこんなふうに生み出されていくのか、とあたたかな気持ちで読みました。

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2023年10月08日

Posted by ブクログ

日本歌謡史に残る、数々の名曲を誕生させた作詞家・松本隆。当時私は、曲先行で好みを選んでいたが、「これ、だれの作詞?」と、”言葉”の方を意識し始めたのが、松本隆さんの曲だった。昨年、トリビュートアルバムを購入し、TVの特別番組を拝見し、彼の作詞に対する姿勢に大変興味をもった。「言葉の教室」というタイトルのこの本は、予想した内容とは若干違ったが、それでも、人の心の琴線に触れる言葉を生み出すために実践されている松本氏の数々のエピソードに心打たれた。言葉の奥深さと美しさ、そして可能性について見つめ直してみたいと思う。

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2022年04月18日

Posted by ブクログ

作詞家の考え方が少しだけ分かったような気がする。松本さんは古き良き日本語(死語)を歌詞にして守られている。
日本語のもつ優しさややわらかさは、声に発することでより浮き上がる。日本語のまとまりは3.5.7が1番しっくりくるのだそう。俳句や短歌が根付いているのはこういう理由かもしれない。

目に映った情景を言葉にすることで、案外色んなものを見ていることがわかる。その情景に心打たれるか、無関心か。日常に心動かされる人間でありたい。

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2022年02月08日

Posted by ブクログ

「木綿のハンカチーフ」「ルビーの指環」「硝子の少年」…。2000曲以上を手掛け、50曲以上がヒットチャート1位になるなど、数多くの記憶に残る曲を生んだ松本隆。稀代の作詞家の、言葉とのつき合い方について解説する。

やさしい言葉で書いてあるので読みやすい本。でも、詞はそんなに簡単に書けないと思う。

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2022年01月06日

Posted by ブクログ

松本隆(1949年~)氏は、言わずと知れた、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、大瀧詠一のアルバム「A LONG VACATION」、寺尾聰「ルビーの指輪」、松田聖子「赤いスイートピー」(ほか、24曲連続オリコン1位のうちの17曲)など、数々のヒット曲を手掛けた作詞家。シングル総売上枚数(2015年時点)は約5,000万枚で秋元康、阿久悠に次いで3位、シングル1位獲得作品数(同)は47曲である。作詞に専念する前は、細野晴臣、大瀧詠一、鈴木茂と組んで「はっぴいえんど」のドラマーとして活動していた。
著者の延江浩(1958年~)氏は、慶大文学部卒のラジオ・プロデューサー、作家。アジア太平洋放送連合(ABU)ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ等を受賞している。
本書は、松本が作詞について語ったことを著者が文章にした、いわゆる聞き書きである。(後半には、著者が松本の音楽・作詞活動について綴った「松本隆をめぐるナイン・ストーリーズ」が加えられている)
前半の章立ては、レッスン1「記憶は宝箱 創作の源」、レッスン2「視点と距離 どこから切り取るか」、レッスン3「光と陰 美しさを際立たせる」、レッスン4「あなたが好きって伝えたい」、レッスン5「リズムとバランスと美意識」、アフターレッスン「松本隆のポリシー」となっている。
いくつか印象に残ったセンテンスを挙げると以下である。
◆「テクニックに頼った瞬間、言葉は浅くなるんです。・・・意識には顕在意識と潜在意識とがありますが、テクニックや定型が向かうのは顕在意識のほうで、ここにいくら訴えても感動は生まれない。言葉は潜在意識に届けないと、人の心は動かないんです。」
◆「夕焼けを美しいと感じるとき、そのまま切り取っても、美しさは十分には伝わらない。・・・いちばん美しく見えるように、光と陰のバランスを調整する。陰を深くしたり、光を強く当てたりするのがデフォルメ(誇張)。針で突っついてやると増幅して波形がおおきくなる。それがアンプリファイ(増幅)。・・・どの角度から、どの部分を、どんな風に切り取るか。・・・コツは説明をしすぎないこと。余白を持たせる。間とか隙間が大事。」
◆「長いものより短いもの、難しいものより簡単なもの、複雑なことより易しいこと。ぼくにとって、世界でいちばん優れていると思う歌詞が、ジョン・レノンの「イマジン」です。難しい言葉がひとつもなくて、シンプルかつ短い言葉で表現が成り立っているでしょう。・・・難しいことを難しく言うのは簡単だけど、難しいことを易しく言うのは本当に難しい。表現を易しくすると、言いたいことが感動に値するか、あらわになる。」
◆「歌の快感は、音にしたとき気持ちいいかどうかで決まります。意味はあとまわしでよくて、大切なのはリズム。気持ちのいい語感かどうか。日本語として気持ちいい語感というのは、リズムやイントネーションによってつくられる。」

私は松本より一回り以上若い世代ながら、今でも、大瀧詠一の「A LONG VACATION」や松田聖子の若い頃のベスト・アルバムをよく聞くし、松本の詩の世界にはとても惹かれるのだが、本書を手に取ったもう一つの理由は、最近短歌を作り始めたことにある。
松本は、はっぴいえんどで「日本語ロック論争」に挑んだ人間だが、その「日本語でロックを作る(歌う)」戦いとは、短歌で言えば「口語で短歌を作る(詠う)」戦いともいえ、俵万智がその戦いで、松本と同じ役割を果たしたのだ(1987年発表の『サラダ記念日』)。その俵万智は松任谷由実に、また、同世代の穂村弘はザ・ブルーハーツに影響を受けたことは有名で、口語短歌は日本語ロックの作詞技術を取り入れて洗練されてきた。よって、松本の作詞の心得が、短歌作りに役に立たないはずはないのだ。
松本の詞のようなかっこいい短歌が詠えるようになりたいものだと思う。
(2021年12月了)

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2021年12月16日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃおもしろいー
立体的な世界!
ディティールをまわりに積み上げていって、肝心なことを書かない、
歌詞ってほんと楽しい〜

最後の方はあんまり興味湧かなくて読まなかったです

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2021年11月28日

Posted by ブクログ

作詞家松本隆さんが語った作詞方法。と言っても、テクニックではなく、どうしたら心に届くか考えた結果だと言う。松本隆さんの詩は、曲抜きで言葉として読んでみても素晴らしい作品ばかりだと気づきました。木綿のハンカチーフ、ルビーの指輪、松田聖子さんに提供した一連の作品、大瀧詠一さんへの作品、その他多くの作品。僕は吉田拓郎さんに提供した「外は白い雪の夜」、kinkiの「硝子の少年」も大好きです。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

松本隆の言葉との付き合い方について、本人へのインタビューを通じてその片鱗を垣間見ることができます。難しいことは語らず、ただただシンプルな内容が語られており、まあ、やっぱり才能やセンスに溢れているんだろうなぁと再認識しました。

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2023年07月04日

Posted by ブクログ

大好きな曲たちの生まれた背景が洪水みたいに次から次にページから溢れてきて純粋に「うわ〜〜おもしろ〜〜」となりながら読んだ 

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2022年01月21日

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