【感想・ネタバレ】私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのにのレビュー

あらすじ

はるな檸檬氏、感涙! 最初の自殺未遂から30年。誰よりも人付き合いが苦手だったあの頃。
「大丈夫?」「大丈夫だよ」 湿った暖かい手を握り、私たちはそっと歩き出す。

「孤独だったんですね」
その言葉を耳にして、私は喉の奥に何かが詰まり、次の言葉をつなげなくなった。自分が孤独だということは薄々感じていたけれど、それを認めたくなかったのだ――
いじめに遭っていた子供の頃、ペットのインコが友達だった。初めてできた恋人には、酷い扱いを受けた。たくさんの傷を負い、何度も死のうとしたけれど、死ねなかった。そんな私をここまで生かし続けたものは何だったのか。この世界には、まだ光り輝く何かが眠っているのかもしれない。そう思えた時、一歩ずつ歩き出すことができたのだ。
どん底を味わった著者が、人生で出会った人たちとの交流を見つめなおし、再生していく過程を描いた渾身のエッセイ。
「人生はクソだ。それでも生きてさえいれば、いつか必ず美しいものに巡り合う。そういうふうに、できている」――はるな檸檬氏

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

小林さんが自分の半生を振り返った自叙伝。暴力を振るう父にそれを耐える母。そして性暴力をしてくる兄。破綻した家族のもとで居場所を必死に探していた。家族の関係が上手くいっていない上に、学校にも馴染めない生活。自分の居場所なんてどこにもなかった。小林さんは構ってほしさから自殺を試みたのではなく、孤独でこの世界では生きられないから、違う世界で生きるために自殺を試みていたのかなと思ったら。凛子ちゃんとのお話、痛いほどよくわかる。自分と相手の気持ちが必ず同じとは限らず、近づきすぎると離れていってしまうのが友達。ずっと味方でいてくれるのは家族だななんて思うのだが、小林さんの場合、家族は自分を苦しめる存在だった。友達に居場所をつくってもらったつもりが、逆に距離感で苦しくなってくる。女子の世界ではあるあるなのではないか。離れていってしまう人もいる中、興味を持って話しかけてくれた祥子ちゃん、百合子ちゃんもいる。こんな自分と向き合ってくれるなんてと小林さんは、自分と向き合い、肯定してくれる存在をこれ以上ないくらい大切にしていた。ピーコのことも、家族からしてみれば小さい命だが、小林さんにとっては自分の命くらい大切な存在で、死んでしまった時、自分を痛いくらいに責めていたところに、繊細でとてもとても優しい方なのかなと思った。恋と男性から愛されることも知ったが、それでも孤独は埋まらず何回も自殺を試みる。毎回、助かった後には、小林さんに影響を与える素敵な人と出逢えているので、何かしらの運命がそうしているのかもしれない。人と人との出逢いは偶然でもありながら、その時の自分の様子や心の持ちようで、出逢える人って本当に変わってくると思う。生きていて良いのか、苦しみながら迷いながら、彼女が最後に見つけた、「みんな怖い」ということ。怖いながらもみんな生きているんだよね。と少しこの世界に優しくなれている彼女がいた。苦しみや死にたいという気持ちを一度でも抱えたら読んでみてほしい。痛いほど共感でき、痛いほど幸せになれる。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

小林エリコさんの本はいままでほとんど読んでいるし、『精神病新聞』も読んでいたんだけど、この本にたどりつけてよかった!
私はこの本の祥子さんのような立ち位置の人間なのですが、エリコさんのように悩んでいたはずの親友のことを気がつけなったことは、ずっと後悔している。でも、それに気がつけないのが私であり、だから仲良くいられたのかもしれないなとか、エリコさんの本を読むといろいろ考える。彼女と一緒に『車掌』も読んでいたので、なおさら。

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

精神疾患を患った当時のことを思い出しながら、人間関係で悩み続けている今を想った。本書を読む中で分かった。僕も、居場所が欲しかったんだなって。今もね。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

著者の人生の中で、負の部分を中心に綴った自伝集。
学校でいじめにあい、家庭では暴力、兄からは性虐待、成人してからは痴漢にうつ病、自殺未遂。

辛い経験を経て、再び社会復帰した彼女の言葉は、鼓動を伴って胸に響いていく。

精神科のデイケア、特に運動会の描写は明るく楽しそうで、暗い精神科のイメージを変えてくれた。
人付き合いって面倒だな、そう思っている自分でも、そんなに体に力を入れずに、まぁ深く考えずにフラフラと生きてみてもいちのではないか?と思える処方箋のような本だった。

この人の大人になってからの行動力、そして魅力的な人を引き寄せる人柄。
それらは天性のセンスだと思う。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

小林マリコさんの本を読むのは初めてで
最初は自分と重なる部分がほとんどなく
共感できるのかなと思って読み進めてみたけど
自分も人間関係で悩んだ時期があったことを思い出した。最後の、無力な私たちはお互いの手を取り合いながら、時には自分のパンを分け与えながら、人生を歩いていく。怖がらなくていいのだ。みんな怖いのだから。
この言葉でスッと力が抜けて楽になった。
まだまだ生きていきたいと思えた。

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2024年01月22日

Posted by ブクログ

一人で生きていくにはどうしたらいいのか、いつもそればかり考えていた。しかし、答えは見つからなかった。
自分の中に閉じ込められていた言葉が解放されていく。私はたくさん話し、語ることによって自分の形を取り戻していった。
死ぬということは自分の命を失う以外にも、新しい人との出会いや、未来の可能性を捨てる行為だ。
人間が自分の寿命を決めるのは良くないよ。
強さだけを求めて生きる生き方は、どこかで絶対に転げ落ちる。
何も生産せず、ただ遊んでいたあの時代を無駄だったとは思えない私がいる。
これから先の人生も絶望や裏切りが待ち構えているだろう。けれど、その横に何か素敵な贈り物がそっと置かれている。
存在するのが辛い場所からは早く逃げるのがいい。それが無理だとしたら、少し我慢して時間が経つのを待つといい。そのうちに周りの環境が変わり、いつの間にか違う場所に立っているというのはよくあることだ。
私たちの人生も進んでいないように思えても、実際は次々と姿を変えて進んでいる。そして、足元の世界はどんどん広がっている。生き続けることで、新しい人と出会うことができ、新しい喜びが生まれる。そして、気が合う人との出会いはそれだけで生きる勇気になる。
自分がどんな人間かというのは、人と対話し、関わり合うことで見えてくるもので、一人だけでは自分が何者なのか、どうやっても見えてこない。見えたとしても、大きく見えすぎたり、小さく見えすぎたりして、正確な形にならない。他者と語り、価値観を分かち合い、世の中の出来事を共有し合うことで、私たちは社会的な人間になることができる。
未来というのは誰にも中身がわからない。未来の箱を開けても丸めたティッシュや食べ終わったお菓子の袋くらいしか入ってない可能性もある。しかし、よく探せば輝くような何かが入っているかもしれない。
ゆっくりと一歩、また一歩と歩き出す。この世界には、まだ光り輝く何かが眠っているのかもしれない。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

これまで出版されている小林エリコさんの本を全部読んでいる人間には目新しい情報はなかったように思う。
辛い事を克服した本が多い中、小林エリコさんはまだ苦しみの最中にいるので、本が出る度に少しずつ前向きになれていっている様子に感動を覚えます。

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

向田邦子のエッセイに「ごはん」というのがあるけれど、その作品で印象的だったのが、美味しく楽しく幸せだった食事より、心に引っかき傷が残った場面での食事のほうが記憶に焼き付いて、描かれる光景も美しいということ。
きっとこれは食事に限らないのだろう。
とても孤独な幼年期から青年期を過ごしたこの著者の、訥々と、あまりに赤裸々に表した第一部のエネルギー。
似たような孤独をわずかでも感じたことのある人ならひりつかずにはいられない。
人一人の幸福を論じるなら本来歓迎すべき第二部は、前半のダイナミズムの前に霞んでしまった。

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2022年01月12日

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