あらすじ
過去、生徒間の事件を解決したことからメディアに取り上げられ、「鉄腕先生」と呼ばれて、コメンテーターとしても活躍する教師・湯川。彼はある日、自分が女生徒とホテルで密会したという週刊誌報道が流れていることを知る。さらに、「ディープフェイク(AIによる画像合成技術)」で精巧につくられた、湯川が生徒に暴力を振るっている動画もネット上に拡散。出勤停止、テレビ番組の降板、さらに妻子が家を出ていく中、ネット上では湯川に対する大炎上が巻き起こる。果たして、湯川を陥れようとしているのは誰なのか。そんななか、湯川の働く学校ではさらなる事件が起き――。誰にでも、あなたにも起こるかもしれない。一人の「普通」の人間が追い詰められ、仕事、家庭、社会的信用……全てを失っていくさまをリアルに描きつつ、昨今のSNSでの炎上や匿名による誹謗中傷、メディアの報道のあり方などの問題に切り込んだ傑作サスペンス小説!
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Posted by ブクログ
過去、生徒間の問題を体を張って解決した事から「鉄腕先生」と呼ばれ、テレビのコメンテーターとして活躍していた湯川。
ある日、女生徒とホテルで密会していたと言うネットニュースが出回り、更に生徒に暴力を振るっていたと言うフェイク動画まで流れ始め、身に覚えのない容疑とSNSの誹謗中傷で大炎上し始め…
出てくる人が味方なのか敵なのか、いかにも怪しいも思われる人は果たして真犯人なのか?ドキドキしながらページを捲る手が止まりませんでした。
最終的にあのSNSのつぶやきは、やってしまったのかとヒヤヒヤしましたが、思いとどまってくれて良かった。でも、自分の家庭より先生を優先したのは壊れても仕方なかったのかもしれないですね…
湯川に救われた森田と穂乃果が付き合ったのは、救いのないラストに対して少しホッコリしました。
Posted by ブクログ
最近読んだ本はモヤっとする結末が多かったので久しぶりにスッキリした。(中身は重めだし人も亡くなるからこの表現は合ってないのかもしれないけど…。)主人公が葛藤しつつも最後まで教育者としてあるべき姿を通したのが良かった。
最初は守谷ちゃんと辻山がホテルで密会してそれを隠すために主人公を利用したのかな?と思ったけど真逆だった。
生徒を性的な目で見るなんて小説だけの話だと思いけど、たまにニュースになるからこわい。だけどそのニュースだってどこまでが嘘でどこまでが本当なのかよく分からなくなってくる。
SNSが普及して簡単に企業や個人を社会的に殺すことがでしる恐ろしさを改めて考えさせられた。
Posted by ブクログ
過去、生徒間の事件を解決したことからメディアに取り上げられ、「鉄腕先生」と呼ばれて、コメンテーターとしても活躍する教師・湯川。彼はある日、自分が女生徒とホテルで密会したという週刊誌報道が流れていることを知る。
さらに、「ディープフェイク(AIによる画像合成技術)」で精巧につくられた、湯川が生徒に暴力を振るっている動画もネット上に拡散。出勤停止、テレビ番組の降板、さらに妻子が家を出ていく中、ネット上では湯川に対する大炎上が巻き起こる。果たして、湯川を陥れようとしているのは誰なのか。
そんななか、湯川の働く学校ではさらなる事件が起き――。
最新機器にめっぽう弱いおばちゃんの私がAI使った冤罪事件に巻き込まれたら・・アウトだな。その前に狙う意味が無いだろうが・・・
Posted by ブクログ
小説としてはこう終わるしかなかったんだなという終わり方だったが、では教頭が告発しなければどうやって主犯に制裁を加えることができたのだろうかとモヤモヤしてしまった。
少々乱暴な言い方だが、結局誹謗中傷には誹謗中傷をもってして相手に復讐するしかないという結末にも取られる。実際そうなのだろうが、それではもう人として救われないというか。そうかと言って一旦誹謗中傷を受けてしまったらもう主犯を捕まえることはできないと帰結するのも悔しい。
本当にどうしたら良いのかずっと堂々巡りである。
非常にリアリティのある話だけに、他人事とは思えない。一つ言えるとしたら、決して他人をネット上で安易に誹謗中傷してはならないし、そのような人に乗っかって自分も誰かを攻撃するようなことはすべきではないということ。
ただそんな善人ばかりではないこともわかっている。
うーん。果たしてどうしたら良いのか。
Posted by ブクログ
AIの講師が「この小説面白いからお勧めです」と言っていたのをきいて読んでみました。タイトルのディープフェイクはAI界隈でも問題になっていることで、でもAIの仕組みから考えるとこれを犯罪に利用するのは簡単だろうなと思って読み進めました。
正直、もう少しテクノロジーの詳細が語られるのかなと思っていたので、ごく普通の小説・展開であったことは少し残念でした。ありていに言うと、「SNSって怖いですよね」という警告以外に訴えかけてくるテーマがなかったかなという感想です。主人公と思われる鉄腕先生が家族と別れるという流れもそこまでいくものかなと感じがしたし、以前の教え子とホテルであったことにされて週刊誌にデマを流されてしまったという流れもなんとなく展開が安っぽいように感じてしまいました。もしその先に、デマを流されてしまった被害者の心の流れや葛藤が繊細に描かれていたらこの小説の印象はもう少し変わったかもしれません。
スマホ・SNS全盛になってからのフィクションは、ノンフィクションを超えることができていない気がして、このようなテイストの小説を書くにあたってはもっとAIの最前線を知る必要があるのかな?と思いました。
小説は昔読んだもののほうが印象深いものが多いです。自分の感性が鈍っているというのもあるのだとは思います。