あらすじ
『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作家の最新刊。ピラミッド以外は現存していないにもかかわらず、いまだ世界中に知られ、大きな影響力をもつ七つの建築物、世界七不思議。それらが極東に伝わり、世界遺産として今なお日本にその姿をとどめていたとしたら……。生気のない目が特徴的な高校生・不結論馬(ふゆいろんま)は、趣味の旅で訪れた岩手の巌流度で、歴史学教授の兄・秀一と、首切り死体に遭遇する。首切り死体の謎をひと目で暴いた秀一は真相を語りだすが、同時に「古代メソポタミアのバビロン王朝、そこにあったというバビロンの空中庭園が、平泉の浄土式庭園の起源である」という説を語りだした。そして数年後、大学で建築史学を専攻していた論馬のもとに、秀一のもとで准教授を務めているという、苛烈な印象の吊り目が特徴的な由布院蘆花(ゆふいんろか)という女が訪ねてくる。論馬と由布院は富士山とピラミッドの関係について探り始めるが、同時にまたもや血なまぐさい事件に巻き込まれ……。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
放火事件はさておき、殺人事件の方はかなり凄惨な事件であるにも関わらず、それを瞬殺で解いてしまう不結兄弟の洞察力よ。
由布院さんもか。
折角の巧妙な殺人事件も、彼らの前では形無しである。
しかも、彼らの本来の目的は殺人事件の解決ではないから。
その片手間に出会ってしまった事件を即行解決しているに過ぎない。
その目的は世界七不思議。
事件のネタそっちのけで、寧ろ現実味があるようなないような説を展開していく様には呆然としてしまった。
日本にもその世界七不思議が入り込んでいるという話自体は面白かったけれども。
そして、意気投合していたかに見えた不結兄弟と由布院さんが最後の最後で解釈違いで決裂するのも、歴史を探る上ではあるあるな話だと思う。
そういう意味ではリアルか。
現実味がないと感じたのはもう一点。
高校生の論馬が歴史学者の兄の話についていけている点。
由布院さんと論馬の会話も無駄なく打ち合えばすぐ返ってくる点。
要はキャラ同士の会話が「同レベル」すぎた点。
格差のない会話に少し違和感を覚えてしまった。
下手をすると今どちらが喋っているのか分からなくなることがあったので。