【感想・ネタバレ】MM9 ─invasion─【文庫版】のレビュー

怪獣と聞くと幼き日を思い出しますが、本作は驚くほど綿密に練られた大人のSF小説です。怪獣がシリアスな災害として描かれ、“特異生物対策部”が怪獣の出現予測や対策を講じる……まさに「プロフェッショナル!」な仕事ぶりの隊員達が実に熱い!
法律や世論などの兼ね合いで判断・決定がスムーズにいかないもどかしさは『図書館戦争』などにも通じるものがあります。経済への影響や動物愛護の声も無視できず、危険度が分かるまで退治に踏み切れないといった現実的な描写には妙にソワソワ……。
怪獣については実際の神話や伝説、伝承などを絡ませることで深みを増し、雰囲気を損わないまま説得力も演出。対怪獣の武器描写も詳細です。無反動砲「カールグスタフ」使用上の注意や装甲貫通のメカニズム「モンロー効果」まで言及されていたことには心底驚きました!(マニアックな感動で失礼;)
現実的な展開で怪獣対策を行うSF作品、大人になった今だからこそ読んで欲しい一作です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

MM9に続編出てた!(しかも二部構成)
うん。確かにこれは「映像化して欲しい」けど「映像化困難」って奴やね。

前作から引き続いての多元宇宙論をベースに、「宇宙怪獣」「宇宙怪獣を使役する宇宙人」を存在させることに成功!

前作同様におもしろかったのだが、青春で甘酸っぱいのは想定外だった(^^;

て、後編(MM9―destruction―)も買わなきゃ!

0
2018年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作はウルトラQを彷彿とさせるような短編連作形式で、怪獣と人間の戦いを硬筆な文体で描くのが気に入ってあっという間に読んでしまったのだが、同様の作品を期待して読み始めたら、あまりにも内容が違うので驚いてしまった。怪獣ものであるということは変わらないのだが、本作は高校生が主役のボーイ・ミーツ・ガールもの。しかも、少年が出会うガール(少女)は実は怪獣・・・ときた。

あとがきを読むと、著者はこのボーイ・ミーツ・ガール部分を楽しく書いたということなのだが、読者のこちらはかなりの置いてけぼり感がある。アクション映画を見ようと男同士で映画館に入ったら、実は恋愛映画でした・・・というような感じの気まずさといえば通じるだろうか。とにかく、どうにも少年少女たちのデート(っぽい)部分を読み進むことが出来ず、数ヶ月間は放置してしまっていた。

気合いでそのシーンを乗り切ると、前作を超える怪獣同士の戦いが描かれていてとても面白く読むことが出来たのだが・・・。本作の感想はとにかく、「シリーズものはいきなりテイストが変わるから気をつけろ」。これ以外にない。
ちなみに本作の後日談(というよりも、最終編として)MM9 destructionが出ているが、これはinvasion(本作)の続き物ということで、安心して読むことが出来そうである。一回心構えができれば、どんなテイストがきても怖くない、はず。。。

0
2019年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

手を付けていなかった前作を東京出張に持って出たけど、行きの新幹線の中でかなり読み進み、そのまま読み終えそうだったので、帰りの新幹線のために有楽町の三省堂で続編となるこの本を購入。今度の表紙はエレキングっぽい怪獣ね。
前作から6年が経過し、クリプトビオシス状態となってつくばから北海道へ運ばれることになったヒメを乗せたヘリに正体不明の火球が衝突し、いきなりヒメ対宇宙怪獣の闘いが繰り広げられる…、という幕開け。
ヒメには地球を守ろうとする宇宙人が憑依しており、一方で、宇宙怪獣を導き地球を脅かそうとする宇宙人&妖怪の存在も示唆される。
ここでもまた“多重人間原理”が語られ、ビッグバン宇宙と神話宇宙のせめぎ合いの中で、光より速く移動する宇宙人や推進エンジンを持たない飛行物体の存在も、神話世界からの飛来者として描かれる(総理大臣が、説明は分かりやすくってお願いしているのに、理系の人の説明はそれでもくどいなぁ)。
一騎とヒメのボーイミーツガールストーリーは少々恥ずかしいが、出来たばかりの東京スカイツリーやその周辺でのバトルの模様は壮絶で、そこを起点に皇居に向かって首都の街並みが次々と破壊されていく景観は小説ならではの壮観。
一喜一憂の闘いは、最後にはウルトラマンばりの変身を見せたヒメが、今度もビッグバン宇宙の住人を救うことになるが、敵を屠りさるラストウエポンがなかなかいい感じ。
得体の知れないエピローグが最終巻への期待を膨らます。

0
2016年06月30日

「SF・ファンタジー」ランキング