【感想・ネタバレ】MM9 ─invasion─【文庫版】のレビュー

あらすじ

地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、気象庁内に設置された怪獣対策のスペシャリスト集団“気象庁特異生物対策部”略して“気特対”が、人を守るため昼夜を問わず駆けまわっている。7年前に出現した、少女の姿をした怪獣6号“ヒメ”。眠りについたままのヒメを移送中のヘリが、突如飛来した青い火球と接触、墜落する。それと相前後して、つくば市に暮らす高校1年生、案野一騎の頭の中へ少女の声が呼びかけてきた。それは、宇宙怪獣の地球襲来を警告するものだった! 本格SF+怪獣小説の傑作『MM9』第2部。

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怪獣と聞くと幼き日を思い出しますが、本作は驚くほど綿密に練られた大人のSF小説です。怪獣がシリアスな災害として描かれ、“特異生物対策部”が怪獣の出現予測や対策を講じる……まさに「プロフェッショナル!」な仕事ぶりの隊員達が実に熱い!
法律や世論などの兼ね合いで判断・決定がスムーズにいかないもどかしさは『図書館戦争』などにも通じるものがあります。経済への影響や動物愛護の声も無視できず、危険度が分かるまで退治に踏み切れないといった現実的な描写には妙にソワソワ……。
怪獣については実際の神話や伝説、伝承などを絡ませることで深みを増し、雰囲気を損わないまま説得力も演出。対怪獣の武器描写も詳細です。無反動砲「カールグスタフ」使用上の注意や装甲貫通のメカニズム「モンロー効果」まで言及されていたことには心底驚きました!(マニアックな感動で失礼;)
現実的な展開で怪獣対策を行うSF作品、大人になった今だからこそ読んで欲しい一作です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

MM9に続編出てた!(しかも二部構成)
うん。確かにこれは「映像化して欲しい」けど「映像化困難」って奴やね。

前作から引き続いての多元宇宙論をベースに、「宇宙怪獣」「宇宙怪獣を使役する宇宙人」を存在させることに成功!

前作同様におもしろかったのだが、青春で甘酸っぱいのは想定外だった(^^;

て、後編(MM9―destruction―)も買わなきゃ!

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作はウルトラQを彷彿とさせるような短編連作形式で、怪獣と人間の戦いを硬筆な文体で描くのが気に入ってあっという間に読んでしまったのだが、同様の作品を期待して読み始めたら、あまりにも内容が違うので驚いてしまった。怪獣ものであるということは変わらないのだが、本作は高校生が主役のボーイ・ミーツ・ガールもの。しかも、少年が出会うガール(少女)は実は怪獣・・・ときた。

あとがきを読むと、著者はこのボーイ・ミーツ・ガール部分を楽しく書いたということなのだが、読者のこちらはかなりの置いてけぼり感がある。アクション映画を見ようと男同士で映画館に入ったら、実は恋愛映画でした・・・というような感じの気まずさといえば通じるだろうか。とにかく、どうにも少年少女たちのデート(っぽい)部分を読み進むことが出来ず、数ヶ月間は放置してしまっていた。

気合いでそのシーンを乗り切ると、前作を超える怪獣同士の戦いが描かれていてとても面白く読むことが出来たのだが・・・。本作の感想はとにかく、「シリーズものはいきなりテイストが変わるから気をつけろ」。これ以外にない。
ちなみに本作の後日談(というよりも、最終編として)MM9 destructionが出ているが、これはinvasion(本作)の続き物ということで、安心して読むことが出来そうである。一回心構えができれば、どんなテイストがきても怖くない、はず。。。

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2019年03月05日

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