あらすじ
元来、美術というものは歌謡曲や映画とちがって、すぐに誰にでも入ってくるような安易なものではない。言語と同じく、ある程度の素養が必要であり、センスや好き嫌いではなく、前提となる知識があってはじめて理解でき、感じることができるものなのだ。こうした知識は日本の学校教育では得られないが、美術館に足を運び、適切な美術書を読むことによって培うことができる。(「まえがき」)美術史家と読む美術の本質に迫る55話。
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Posted by ブクログ
美術はその国の歴史を紐解く鍵だ。
色使い、人や動物、物の配置など、その時代の特色がそこで判然とする。
また、政治や宗教を暗示させる美術は、後世に長く語り継がれ現在まで人々に影響を与えている。
今まで風景として見ていた絵を、描かれた時代や登場人物の表情や目線を読み解けば、作者が何を伝えたかったのかが分かる。
「マタイ問題」が不思議だった。全く知らない所から読み始めたものの、意味が分かってくると面白い。目を凝らす楽しさ。真実を追い求め、全てを知りたくなる探究心。
『最後の晩餐』でもそうだ、犯人などが明示されていない、または居るかすら分からない状態から読み解く研究者達の目は、子ども時代の好奇心に満ちた目だったろう。
Posted by ブクログ
短いエッセイのため、全体的に得るものが少ない。前著が良かったから、期待値が高過ぎたのかもしれない。
・日本人カトリック画家・長谷川路可の存在を知れたのが大きかった。
・ヨブ記をめぐるクシュナーの記述に怒る著者の気持ちをないがしろにしてはいけない。神も悲しむとは、何事か。祈りとは奇跡を求める気持ちだ、と。
・『夜と霧』『それでも人生にイエスと言う』