【感想・ネタバレ】「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくるのレビュー

あらすじ

家族、ジェンダー、学校、友人、経済、政治……日本社会のさまざまな面を世界各国のデータと比べてみると、今まで「あたりまえ」と思い込んでいたことが、実は「変」だったと気づく。日本がどんな国なのか、一緒に考えてみよう。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とっても面白かった。統計データの国際比較をもとに、日本がいったいどんな国なのか分析している。統計分析って面白いな。そういう勉強すればよかったな。

ほぼ同時進行で読んでいた「学校がウソくさい」に書いてあった通り、国際比較データから見ても、日本の学校は異常に1クラスの人数が多い。なんとかしてくれ文科省。そして中学校の先生は世界一忙しい。(そんな現場で頑張ってきた自分をほめてあげたい笑)。
ジェンダーの問題も日本は異常に遅れている。これは国際比較ではないが、自民党の政治家の過去の女性やセクシャルマイノリティに対する問題発言の一覧も超興味深かった。日本を腐らせ続けている古臭い考えに凝り固まった政治家たち、早く消えてくれ。
じゃあそういう政治家を、有権者がちゃんと監視しなきゃいけないんだけど、日本の若者は投票率も低く、保守的らしい。保守的と言えるのかどうかを、さまざまな角度からのデータ分析で検証している。これも非常に興味深かった。
日本の若者は保守的というよりは政治に非常に無関心。そして、かなり政治をあきらめている。自分も社会の役に立ちたいとは思っているが、政治を通してではなく、働いてきちんと税金を納める、などかなり消極的な方法だ。デモなどの政治活動は「過激」「迷惑」という印象をもっており、一部の極端な人がやっていること、と考えているのだ。
学校で教員が政治的中立を保たなければならないことも、政治への無関心へとつながっている。身近な大人である教員が政治活動をしていたり、そこまでしなくても政治的な持論を披露したりすれば、賛成意見も反対意見も生まれやすくなるだろう。
最後まで読んで、正解のない、複雑化したこの社会ではあるが、やはり民主主義を求めていくことは大事なのだと納得できた。民主主義が確立された現代(正解)に到達しているのだと考えるから矛盾が生じ、疑問が生まれてくるが、民主主義とは有権者が不断の努力をして、求め、守り続けるものなのだ。
いろいろと納得でき、とても面白かった!

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2023年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

豊富なデータをもとに、世界各国と比較しながら日本という国の特徴がよく分かる1冊。

「自己肯定感低め」「今は経済発展が滞ってる」など、日本の現在について何となく理解した気でいたが、データをもとに具体的に書かれている本書を読んで、「今のままではダメだ」と危機感を覚えた。筆者の思惑に乗せられているところもあるかもしれないが、それでも今のままでは日本が衰退していってしまうことには変わりない。

日本国民の一員として、政治のニュースをこまめに見るなど、まずは小さなことから始めたい。

・生きる意味を見出してない若者がとても多い。
・賃金よりも人間関係重視で仕事をしている。
 → 仕事のやりがいや意義を見出せない。
・効率悪+賃金低のサービス業従事者が多い。
・自己責任の意識が強い。
 →政治に期待しない・貧乏な友人を助けない。
・保守派が多い。改革派が少ない。

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2023年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本は終わりだ、と言わないためのデータ分析。

学校、ジェンダー、職場、家族、人間関係など様々な場面の意識調査や統計を国際的に比較して日本の現状を分析しようとする本。著者の政権批判的な態度に反発してしまう読者もいるかもしれない。自分もそのような傾向がある。何を言ってもどうせ変わらない。誰かに任せておけばいい。学校で、職場で、ずっとそのように教えられてきた。それではダメだ、自分から動け、と言われても、ただでさえしんどい毎日で、自分からしんどいことをさらにできるわけがない。

しかし言わなければ変わらないのだ。言っても変わらない、言わなくても変わらない、ならば少しでも行動した方がいい。デモにネガティブなイメージがあるならハッシュタグやクラウドファウンディングで。

これまでの日本社会を動かしてきたモデルは壊れた。新しいやり方を探すしかない。あまりに傷つくことが普通になってしまった自分たちに、さらに変革の痛みを強要するのが民主主義だというのなら拒否する人もいるだろう。最良の独裁者と最低の民主主義の話を思い出す。

この本が若者と呼ばれる人に届くのかわからない。でも書くしかなかったのだと思う。誰かには届くと信じて。行動しないうちに変化はありえない。

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2023年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日々ぼんやりと感じていた日本の諸問題が国際データ比較によって明確な証拠や裏付けとなって明確に見えてくる。

既知の問題が多く、目からウロコが落ちるような新しい発見はほぼないが、この本を読んで今の日本の現状を再認識できたし、日本を「他人事」のような感覚ではなく、当事者意識を持って捉えられたのがよかった

以下、読書メモ
家族、ジェンダー、学校・仕事、経済、政治どれも密接に関わり合い、複雑に絡み合いながら問題を孕んでいる。

いつまでも男性を主力戦力として働かせる政府、企業。女性は雇用機会が増えるも、男性の長時間労働を支えるため、仕事と家事の両立必須。
政府の非正規雇用制度を企業は大いに活用し、生産性と効率性の低いサービス業が増える日本では人々は仕事に縛られプライベートな時間が減っていく。
仕事に縛られる大人は育児の十分な時間が取れず、家族間の絆が希薄になる。子どもが孤立する。
家族の貧困格差から教育格差が生まれる。
政府が教育制度を整えないために、教師の生徒一人一人に掛けられる時間やサポートが減る。子どもは学力こそ高いが、学習の楽しさ、意義を感じられない…etc

なんとなく自分はやれてる、生活できてるから大丈夫。で終わらせてはいけない。
自分だけでなく、周囲の人、世界中の全ての人が自由を勝ち取り幸福になるまで、運動は続く。

日本政府に無力感を抱き、自国の問題から目を逸らし、なし崩し的に生きるのではなく、自分が当事者意識を持ってまずは日本の問題を直視すること。これこそが運動の第一歩になりうる。
まずはもっと知見を深め、政府の動向を伺い、自分に何ができるのかを見極めたい。

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2023年01月24日

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