【感想・ネタバレ】ダーウィンクラブ(6)のレビュー

あらすじ

CEOと従業員の経済格差が千倍以上の巨大企業への犯行予告があった。それから3年、犯行予告された企業の一つ・ワイルドスペース社がロケットの発表中に襲われた。さらに日本のロケット発表会の現場も襲われる。その放送を見ていた石井大良は、幼少時父親を殺したと思われる男の顔をそこで発見。彼を追うなかで大良は、彼が所属する組織「ダーウィンクラブ」の存在を知った。何とか組織に近づくため、運送企業トロイに潜入を開始。企業に潜入していった大良は、次第にクラブが求める人間を知り、彼らに近づく行動をとっていった。そして爆発事件に関わってしまった大良のもとに、クラブから連絡がきた。彼は「ダーウィンクラブ」についに入ることになった。クラブの特別なルール、忘却刑、蜂のプロジェクトなどの思想を知りつつも潜入捜査を続ける大良。そんな彼の前に死んだはずの佐藤が現れた。彼が現代社会に仕掛ける最後の衝撃とは…。そして大良は父親、宮本の復讐を果たせるのか…! 怒濤の展開! 格差と陰謀が紡ぐクライムサスペンス!!

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格差が広がる一方の社会で、“CEOと一般従業員の年収格差が千倍以上の世界的企業に対し、3年間の内に差を200倍未満にせよ”と声を挙げる謎のテロ集団が現れます。
3年後、彼らは世界トップ企業のCEOを次々と襲っていきます。
彼らは一体何者なのか…?

テロ集団が掲げるスローガンに思わず、格差が少しでもなくなるなら…と共感しそうになる冒頭でがっちり心を掴まれました。

主人公の石井大良(いしい たいら)は、幼少の頃何者かによって父親を目の前で殺されるという過去を持つ刑事です。
彼は一度見ただけで人の顔と名前を覚えられるという特技がありました。
そんな彼がたまたま見ていた東京のロケット発表会で発生した爆発事件中継に、父親を殺害した犯人の姿が映っていたのです。

男の正体を探るべく調査に乗り出す大良ですが、その男がイベント会社に勤める佐藤と名乗る人物であるとわかったものの、名前も住所も全てが嘘であったことを知ります。
更に証拠として押収していた動画の一部が消されていたことが発覚し…。
なんとか跡を掴んだと思った途端するりと真実が指の間をすり抜けていく。そんな感覚になります。
誰が敵で誰を信用してよいのか…読む側も大良同様に先が読めないまま振り回されてゆきます。
大良はわずかな手掛かりをかき集め、少しずつ繋がっている部分を辿り男の正体を見つけ出すことができるのでしょうか。

今作は『リウーを待ちながら』や『インハンド』で医療サスペンスを描いた朱戸アオ先生の新作です。
朱戸先生は、「現実に起こり得そう、でも実際に起きたらとても絶望的…!!」というクライムサスペンスマンガの第一人者です。

今回も“何かが起きている!でも何が起きているのかは解らない。”そんな漠然とした状況に、空恐ろしくなります。

今はまだ気付いていないかもしれませんが、同じような危険がすぐ傍で蠢いているかも…。
実際に起こり得るかもしれないという恐怖心がべっとりと張り付いて離れません。

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