あらすじ
いま歴史の大転換を目撃している
日本はどちらにつくべきか?
ますます複雑化する対立構造を読み解く
・中国で起きている「第3次天安門事件」「第2次文化大革命」
・デジタル巨人BATやユニコーン企業も安泰ではない
・コロナを制圧するのは「国家権力」か「科学の力」か
・「共同富裕」で中国"金ぴか時代"の終焉
・世界一の経済大国になるが、孤立する中国・米中経済戦争の勝者は誰か?
・日本経済、日本企業への影響はどうなるか
米中経済戦争は、貿易摩擦やハイテク技術競争から、バイデン政権で国家理念の対決になった。
他方で、生産地としても市場としても中国のウエイトはコロナ前より高まっており、
中国を除外した経済運営は考えられない。
こうした中で日本が選ぶべき道は何か?
米中の経済対立の中で日本や日本企業がとるべき立場を考える。
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Posted by ブクログ
中国の方がITプラットフォーマを手中で国策や防衛に対し扱い易いような気がするが、これについてはアメリカでも安全保障上、公にデータ活用されているし、秘密裏な監視プログラムを暴いたスノーデン事件もある。両国のSNSに対するスタンスの違いは、国民に好き勝手言わせるガス抜きの機能が制度に組み込まれているか否かであり、巨大化した企業をどう扱うか、そこから金とデータを手に入れ、大衆操作(自国に限らない)に活用したい、というのは共通の課題だ。
本書は、公開ニュースの枠を出ない内容で、その整理と解説をする。上記に関連するものでは、次のように、大っぴらに利用しても政府に反対できない、という意味では中国が有利だ。
ー AIの威力を示すもう一つの例は、2018年4月13日に起きた逮捕劇だ。江西省南昌市で開かれた香港の人気歌手ジャッキー・チュンのコンサート会場で、来場した6万人の中から、警察官が1人の指名手配犯を特定し逮捕した。入り口に顔認証技術を搭載したいくつものカメラが設置されている。そこに映った来場者の顔の画像と、普察の容疑者データベースの画像をAIが照合し、特徴が一致する男を割り出したのだ。
AIだけではなく、半導体についても。しかし、この点で著者はリカードの比較優位説に従い、自由貿易最強みたいな切り口に見えたので、それは一つの考え方だが、私は賛同できない。少なくともアメリカがTSMCを誘致したのは正しい判断だ。
それ以外にも台湾有事、香港を巡る一国二制度の動向、米中金融デカップリングが語られる。話を戻しAIの活用についてだが、「警察官が用いる顔認証カメラ付きのサングラス」というのを中国が使っているらしい。これにARで文字認識とAIを実装すれば、ペーパーテストの意味は早晩なくなる。更に骨伝導での通訳機能もつくだろう。スカウターのように相手の情報や会話の論点を表示しながら商談する。次なる身体拡張として、期待したい。