あらすじ
アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。
...続きを読む
「減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。」
から始まるこの小説。一目で引き込まれるこの軽快なリズムは、物語の終盤まで常に刻まれ、ずっと心地いい。しかし、ここで起こることは全然軽快ではなくて、好きでもない男とのセックス、バラバラ殺人事件、インターネットでの過剰な煽りから生まれた集団リンチなど、非情でアンハッピーなものばかりである。
そして、そんな世界に生きる主人公のアイコ自身も、大人から見たら支離滅裂で頭のおかしい女の子なのかもしれない。でも、彼女の怒涛のモノローグに耳を傾けてみてほしい。支離滅裂でも情緒不安定でも、一生懸命に考えて今を生きている彼女に愛らしさを見出したとき、あなたもアイコの虜になっているに違いないと思う。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ここのところ舞城王太郎中毒で、順番に読んでるんだけど、このネット社会で舞城王太郎が覆面作家であり続けてるのは奇跡なんじゃないかと思っていろいろネットサーフィン(死語)してたら、舞城王太郎女性説に遭遇した。
軽くショック。全くその発想は無かった。
でもその後で舞城王太郎のTwitterアカウントを知って見てたら自画像を女性の姿で描いてるし、女性説の根拠も説得力あって、ひょっとしてあるのか?女なのか?と疑い出した。
そしたら読書家の友人が「そう言われるとそうかもしれないと思う。前に読んだ女性一人称の作品、全く違和感なかった」と言う。
それがこの作品なのかは確かめてないけど、私にとっては初めての女性一人称の舞城王太郎作品。
なんか、変な話だった。
平たく言うと、女子高生の精神世界を書いた話。
いろいろえげつなく人が死んだり殺されたりするけど、特に解決しない(ぐるぐる魔人の事件くらいか)し、けっこうファンタジーなことが起こるし。
ヒトの内面なんて見たことないから、こういう造り(?)の人も居るかもしれない、とは感じた。
で、個人的にエロ話する女が苦手なので、この作品はあまり好みではなかった。ただ、確かに女性一人称としては違和感はなくて、今では舞城王太郎はほぼ女性なんじゃないかと思うようになった。
残念。
なんだろ、男性だったら許容できた自分がいる。そういう先入観?で判断されたくないから舞城王太郎は覆面作家であり続けるんだろうし、性別で好き嫌いが変わるのはどうかしてると分かっちゃいるけど、そう思っちゃったんだから仕方ない。
まぁとにかく、男だとしても女だとしても舞城王太郎の一人称は男性目線がしっくり来る。私にとって。
あらすじを説明するのが難しい。文庫本のウラスジが良く描けてる。
舞城王太郎4作目なので読んでる方にも慣れが来たのか、それほどインパクトを感じなかった。これ以前の作品のような強いメッセージも受信しなかった。
そういう意味じゃ穏やかな作品かもしれない。
あと、アイコがラストで得た「人間は100%悪くはなくて芯の芯に良いところがある」ってのは、確かにそうだけど残忍な殺人者に当て嵌めるとなると私は抵抗力の方が勝る。
好きって感情が原動力となってるわけじゃないのに他人のために動ける陽治が一番ホトケだった。
Posted by ブクログ
何故こんなに下品である必要があるのだろう、という感じで第1章を読んでからの第2章で一気に引き込まれる。こんなところで、やかまし村の子供たちの世界に出会えるとは思わなかった。グロテスクで根源的な恐怖がひたひた迫るような筆力。この章でこの作者のすごさが分かった気がする。
10年ぶりくらいに舞城さんの作品を読んだけれど当時より何倍も楽しめた。