あらすじ
優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして…。
伊坂幸太郎史上
もっとも切なく、でも、あたたかい。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、
だけど僕たちは、手強い
双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、
そして、彼ら兄弟だけの、
誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のこと――。
ふたりは大切な人々と出会い、
特別な能力を武器に、
邪悪な存在に立ち向かおうとするが……。
文庫版あとがき収録。
解説/瀧井朝世
目次
フーガはユーガ
文庫版あとがき
解説 瀧井朝世
2019年度本屋大賞ノミネート、伊坂幸太郎が紡ぐ最強双子の長編小説。
勉強が得意で穏やかな兄・優我と、運動が得意でやんちゃな弟・風我。双子の兄弟である2人は、暴力をふるう父親と無関心な母親という厳しい家庭環境で育つ。しかし、彼らは1年に1度、誕生日の日に特別な能力が使えるのだ。そして、自分たちの不運な境遇を、2人の強い絆と不思議な力で乗り越えていく。
やがて彼らは、いじめや虐待、殺人事件といった人間社会の残酷な闇の部分に、その能力を武器に立ち向かっていく。
単なる一卵性の双子の入れ替わりものとは違う不思議な設定、ちりばめられた伏線がラストに向かって加速しながら回収されていく疾走感、『フーガはユーガ』というタイトルの意味、目を背けたくなるような理不尽で救いようのない悪、などなど、伊坂幸太郎の魅力が詰まった作品です。兄である主人公・僕と、僕よりも結構元気な弟が織りなす、切なくも爽快な双子の物語をぜひ見届けてください。
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Posted by ブクログ
導入シーンがどういう場面なのか、序盤は全く分からずに読んでいたが終盤に繋がりが分かってからは読み切るまですぐだった。
他の方が感想に書いていたようにフーガとユーガではなく、フーガはユーガなんだなと。
個人的にはハッピーエンドがよかった、切ない。
Posted by ブクログ
〜1周目〜
2022.04.17
温かいような、残酷なような物語だった。
初めて会う人にベラベラ自分の話を出していて、不思議だと思っていたが、終盤になってわかるようになった。
兄弟愛。
すごい。
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎にハズレ無しと言ったところ。
双子の兄弟、フーガとユーガは幼き頃に虐待を受けて育った。誕生日にのみ、2時間おきに入れ替わるという不思議な能力を持っていて、少年少女を監禁、暴行する犯罪者に立ち向かうと言った話。
ユーガが過去を回想するといった形式で始まる物語がいつのまにか現在進行形になる語り口がワクワクさせる。さらには、「僕の話はいくつか嘘がある」と伏線を予言させながらもそれを超えるワクワク感も良い。あとは双子のうち片方が呆気なく亡くなってしまうという衝撃さ、失望感、正義心、全ての要素が面白い。
あと、オーデュポンの祈りの案山子と隻腕のボーリング青年と他作との繋がりを匂わせてるのにもテンションが上がる。
Posted by ブクログ
タイトルのフーガとユーガは双子で、大変な子供時代を過ごしていた。そして大きくなったふたりは道は分かれるが、ふたりで大きなことをしようとする。思ったより悲惨な内容なんだけど、結末もハッピーエンドとは言えないけど、何か落ち着いた感じで読めた。タイトルの通り、フーガはユーガだったからなのかも知れない。
Posted by ブクログ
本屋大賞ノミネートとあったのでミステリーではないものと思って読み始めたら、ミステリーであり、ヒューマンドラマであり、サイコ要素あり、そしてどんでん返しまでありと楽しく読めたが、作者の意図は少し切なく終わらせたかったようなのだが、自分的にはそこが少し残念だった。
主人公のフーガとユーガは双子で、誕生日にだけ2時間おきにお互いの居場所が入れ替わるというか設定。
大人になったユーガは高杉というTVディレクターと話をする場面が続く。
発端は双子の入れ替わる瞬間を盗撮されてしまい、それに興味を持った高杉にインタビューされると言うものであった。
ユーガ達の幼い日に受けた父親からの虐待、ぬいぐるみを渡した少女が異常者により縛られ何度も車に当たられ殺されるはなし、両親をなくした少女が叔父に引き取られるが、その家で拷問のショーに出される話し等、ユーガは語っていく。
そしてそれは、この高杉が少女をひき殺しその後も子供を拐ったいる異常者と疑い確かめるために近付いたと分かるが、ユーガと協力を求めた元同級生のワタボコリ共々拉致されてしまう。
インタビューの中で読者は死んだと思っていたフーガが実は生きており、あの入れ替りで現れ解決するが、ユーガは死んでしまうと言う物語。
Posted by ブクログ
文庫の表紙がおしゃれで好き。
全体に辛い場面が多くて読んでいて苦しくなった。
つい楽しい楽しいばかりを追い求めてしまうけれど、解説にあった「現実に辛い状況下で憂える人を置き去りにしてしまうような絵空事は書きたくない」という「著者の優しさの表れ」というのを読んで、なんだかとても納得した。
最後の章の優我の気配が嬉しかった。
やっぱり伊坂さんは読者を悲しませない。
Posted by ブクログ
『フーガはユーガ』を読み始めたときは、双子の“入れ替わり”という不思議な設定がメインで、たしかに面白くはあったものの、物語の目的や盛り上がりどころが見えず、あまり没入できていなかった。正直、どこに向かっている話なんだろう?という気持ちのまま読み進めていたと思う。
でも、物語が終盤に近づくにつれて一気に印象が変わった。双子が本当にやりたかったことが明らかになる場面は、衝撃的というか、言葉を失うような展開だった。そして、作中でたびたびユーガが言っていた「俺の話には嘘や脚色がある」というセリフの意味がわかったとき、その裏にある覚悟や優しさが想像のはるか上をいっていて、一気に引き込まれた。
読み終えたあとに残ったのは、単なる“不思議な入れ替わりの話”ではなく、兄弟の強い絆や、それでも壊れそうな心をどう支えるかという深いテーマだった気がする。終盤の盛り上がりを経て、物語全体が一気に輪郭を持って立ち上がってくるような感覚があった。
Posted by ブクログ
初伊坂幸太郎作品でした!
内容は結構重エグいというか、私は幸運にも経験したことがありませんでしたが、人によっては思い出したくないことを鮮明に思い出してしまうようなリアルさがありました。ただ双子には特別な能力が使えて、その能力を使って悪逆非道の父親をぶっ倒すんだろうなとは想像していましたが、実際はそれだけじゃありませんでした。ラストはハッピーエンドとは言えない感じがなんとも言えない、、、ずっと過去の話を掘り出して綴られていたのが、突然リアルタイムに引き戻される感じはとてもわくわくしました!
フーガとユーガ、生まれ変わる時はまた
双子でいてほしいと願うばかりです。
Posted by ブクログ
再読しました。
数年前の初読時はフィクション感ばかりに気が散って楽しめなかったのですが、今回は社会的に守られない人の憂いだったり、絶望から逃げるしかできない・逃げもできずに諦めだったり、内面にフォーカスして感情を広げられた気がします。
Posted by ブクログ
双子が誕生日に入れ替わる。そんなファンタジーかつコミカルな雰囲気を想起させる設定だけに惹かれて、他の情報は全くないまま軽い気持ちで手に取ったこの本。
読み始めてすぐに後悔に襲われた。
家庭環境の悪さに心の醜い人たち、そこに抵抗することのできない無力で可哀想な人たち。
あまりにもストーリーが重くて読めば読むほど苦しく辛くなっていった。
話の展開が読めないままラストスパートで怒涛の展開が来る感じはさすが伊坂幸太郎さんの本!という感じで面白かったけど、苦味が残るような終わり方は自分好みではなかったかな。
今はひたすら爽快感やハッピーを求めて別の作品に逃げたいと思うほどに、この本の影響力は大きい。
ただ、世の中にはこんな風に苦しんでいる人が実際に沢山いるんだと思うと、本当にやるせない気持ちになる。この本のような奇跡が起こらないとしても、ちょっとした何かによって、今辛い人たちが救われてほしいと願わずにはいられない。