あらすじ
結婚式の最中に消えた夫を取り戻すため、わたしは幼馴染の見習い僧を連れて城を飛び出した――封印された手稿が語る「名も無き姫」の冒険譚! 第一回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。
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Posted by ブクログ
友人から借りました
ファンタジー。目まぐるしく、あちこちに行く、お姫様の話。
弱き者、汝の名は女。
という言葉で始まるこの物語。
姫の一人称で、進む。
この世界の女に名前はない。誰々の娘、誰々の女、誰々の妹と呼ばれるだけ。
北の地の、さして裕福ではない領地の姫として生まれた主人公は、南の地の従兄王子と結婚することになる。「橙(食べ物)」につられて(笑)。
が、王子は攫われてしまう。姫は果敢にも、王子を探しに行く。坊様見習の乳兄弟を伴い、近くの国の王子様も巻き込んで。
けっきょく、彼女は冷静に世界を見詰め続けて、自分というものがどうであり、世界が求めるものが何かわかっていて、神様を盲信しないがゆえに、この宗教社会のただ中で、自分の中の神が遠くなり、ついには殺してしまうことになる。
でも、老いて死ぬ間際に、息子に一連の旅の手記を託して、乳兄弟に届けさせる。
乳兄弟は聖人となり、教皇の座についていた。
彼は覚書をしたためる。
「死んだ後、愛した男のいる天国に行きたいから、神を殺してしまった姫様のために、私に祈れ、というだね。私の分の祈りはすべてあげるよ、姫様」と。
優しい物語。