【感想・ネタバレ】聖者の異端書のレビュー

あらすじ

結婚式の最中に消えた夫を取り戻すため、わたしは幼馴染の見習い僧を連れて城を飛び出した――封印された手稿が語る「名も無き姫」の冒険譚! 第一回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

友人から借りました

 ファンタジー。目まぐるしく、あちこちに行く、お姫様の話。

 弱き者、汝の名は女。
 という言葉で始まるこの物語。
 姫の一人称で、進む。
 この世界の女に名前はない。誰々の娘、誰々の女、誰々の妹と呼ばれるだけ。
 北の地の、さして裕福ではない領地の姫として生まれた主人公は、南の地の従兄王子と結婚することになる。「橙(食べ物)」につられて(笑)。
 が、王子は攫われてしまう。姫は果敢にも、王子を探しに行く。坊様見習の乳兄弟を伴い、近くの国の王子様も巻き込んで。

 けっきょく、彼女は冷静に世界を見詰め続けて、自分というものがどうであり、世界が求めるものが何かわかっていて、神様を盲信しないがゆえに、この宗教社会のただ中で、自分の中の神が遠くなり、ついには殺してしまうことになる。
 でも、老いて死ぬ間際に、息子に一連の旅の手記を託して、乳兄弟に届けさせる。
 乳兄弟は聖人となり、教皇の座についていた。
 彼は覚書をしたためる。
「死んだ後、愛した男のいる天国に行きたいから、神を殺してしまった姫様のために、私に祈れ、というだね。私の分の祈りはすべてあげるよ、姫様」と。
 優しい物語。

0
2011年05月29日

「SF・ファンタジー」ランキング