あらすじ
料理は芸術である。味だけではなく美の追及にこだわった魯山人の料理哲学は、素材へのこだわり、食器の審美眼から家庭料理の見直しや残肴への慈しみまで幅広く、美味道楽七十年に裏付けされた珠玉の言葉は永劫に響く。諸侯の美食談義批判や痛快な世界食べ歩きをも収録。魯山人が自ら手掛けた唯一の論考を初文庫化。
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Posted by ブクログ
料理は五感で楽しむものであり、その場の空気や器も味の一部だと、言葉ではわかっていても、この人に言われると深い。
料理の本ではあるけれど、これは何も料理に限った話ではなく、すべての職業に、生き方に置き換えることができる話だ。読む価値がある。
Posted by ブクログ
魯山人の、美食に対するこだわりが凝縮されている。食のプロや海外料理への批判は物ともせず、和食礼賛。今は食べられなくなった食品や、料理屋も多いが、残っているなら、試してみたい。
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北大路魯山人の名前は知っていたが、氏の人となりをこの著書で初めて知ることができた。かつて星岡茶寮を主宰していて、食だけでなく、陶器・絵画まで広い興味と高い技術で、美を追求した傑物ということだろう。美味しんぼの海原雄山のモデルそのものだろう。ただ、まだ雄山の方が人間らしさがあるように感じるのは私だけではないだろう。物事を捉える視座は高いが、人に対する思いやりには欠けているのだろう。それこそが、同氏が心身ともに健康で生きることができた根源でもあるのだろう。そういうえば、美味しんぼに岡星という料理屋が出てくるが、その出所もここにあったんだと気付く。もう少し、魯山人氏のことを知りたくなった書籍であった。
Posted by ブクログ
魯山人に対しては規格外れの巨人、異能の人という印象があります。料理に関しても世間の評判や権威を一切気にかけず、自分の舌、感性のみを頼りにする姿勢が貫かれ、気持ちがイイです。
Posted by ブクログ
時代を感じる。時代背景が今と違うから、ちょっとした譬え話が卑猥だったり。
視覚、嗅覚も含めた美食家だったのだと感じられるエッセイの数々。批判的なのも、様々な料理を食し、感動もすればその反対もありの多くの経験があって、極上を知っているからこそ。
鮎への想い・こだわりが伝わってくる。山椒魚って食べられるんだ…。琥珀揚、食べてみたいな。ジビエが食べたくなってきた…。
井の中の蛙になり、知ったつもりにならず、謙虚に。自分の好きな食事、味を知る。
美味しいモノ、感動する食事空間を楽しんでいこう。
冷蔵冷凍技術、運送技術の発展に感謝。
Posted by ブクログ
インターネット華やかなりし現代に住む我々にとって、北大路魯山人の感覚は、少し理解しがたいものがあるかもしれない。彼が生きたのは、モノを美味しく食べる方法を知ること自体に難儀する時代なのだ。
そう考えれば、彼の傲岸不遜な批評の数々にも合点が行く。そして、ややメタ的だが、それが、逆に本書の味わい深さを醸し出しているようにも思う。
星3つなのは、面白かったことは面白かったのだけど、それはある意味歴史的な資料を掘り返すような楽しみで、私自身は今はそのモードではないから、かな。