あらすじ
この20年、心は消滅の危機にさらされている。物が豊かな時代は終わり、リスクだけが豊かな時代がやってきたからだ。人々は目の前のことでせいいっぱい。心はすぐにかき消されてしまう。社会にも、身近な人間関係にも、そして自分自身の中にさえも、心というプライベートで、ミクロなものを置いておく余裕がない。それでも心は見つけ出されなければならない。自分を大切にするために、そして、大切な誰かを本当の意味で大切にするために。ならば、心はどこにあるのか? その答えを求めて、臨床心理士は人々の語りに耳を傾けた――。現れたのは、命がけの社交、過酷な働き方、綺麗すぎる部屋、自撮り写真、段ボール国家、巧妙な仮病など、カラフルな小さい物語たちだった。
『居るのはつらいよ』で第19回大佛次郎論壇賞受賞、紀伊国屋じんぶん大賞をW受賞した気鋭の著者が「心とは何か」という直球の問いに迫る、渾身のエッセイ。
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Posted by ブクログ
心という存在を考えた。心とは孤独であり、時に一人(一心)で悩み、戦うものだという表現に共感しました。また、「脳とは他者」から、自分の脳を「自分」と思い込んでいた考えが揺さぶられた。この本を通じて、自分の過去の悩みや経験を振り返り、それが今では笑い話になることに気づかされる一方で、当時の真剣さも思い出しました。心を見つめ直す素晴らしい読書体験でした。
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「人の心」をテーマにした週刊連載の単行本。気軽な語り口かつ時事も絡めたユーモアで心ってなんだろうという問いについて考える。読みやすいし面白い。自虐思考でのたうち回る感じ、ちょっと朝井リョウのエッセイ味がある。しかしカウンセラーとしてクライアントに向き合っている時の様子は真摯で、こういう人にカウンセリングをしてもらいたいとも思った。
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タイトルと表紙に惹かれて。
ライトで読みやすいけど中身はハッとするような気付きを得られるエピソードばかりで、共感する部分もとても多かった。
廊下の話とかオレンジの傘とか、
90万円の腕時計とか、どれも好きだったし
コロナからここまで、なんとなく自分が抱えてた閉塞感や不自由さの理由が少しわかった気がした。
手元に置いておきたい1冊。
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私の心は消えたのではなく
ひとつになったから消えたと感じただけ。
きっといつかふたつになって動き始めるから
安心して待っておこうと思う。
未来は勝手にやってくるんだから。
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裏までわかってもらえたとき、人は本当にわかってもらえたと感じるものなのだ。
心とは「私」の中の鍵のかかる個室のことなのだ。周囲から脅かされることなく、そこに安心して一人でいられるときに、私たちは初めて自分を振り返ることができる。
二つの正反対の人格を両方生きると、人生は豊かになる。
未来はたとえ見失われたとしても、それでも確実にむこうからやってくる。緊急事態では、未来は手操り寄せるよりも、待つ方がいい。形は少しずつはっきりしてくる。行動するのはそれからだ。いったん止まって、「様子を見る」。未来を再建するために必要なのはそういうこと。「様子を見る」ためには、誰か他人が必要なのだ。「一緒に様子を見よう」と言ってくれる人がいて初めて、私たちは一旦動きを止めることができる。不安とは不思議なもので、一人では持っていられなくても、二人だったら持ちこたえられる。1+1が0.5になるのが不安の本質だ。
生き延びるために現実に対して心を閉ざすことが必要なときもある。
変化とは劇薬のようなものなのだ。一気飲みすると体を壊すけど、完全に拒絶しても体は悪くなる一方だ。だから、チビチビ舐めるのが良い。現実が変化するのは一瞬だけど、心の変化はゆっくり起こるのが自然だ。
誰かが自分のことをちゃんと見てくれている。世の中に、これ以上に励まされることはないのではないか。
必要なのは苦しさを自分で何とかすることではなく、人になんとかしてもらうことだ。
時間を使う。落ち込み、悲しみ、追悼する長い時間が、痛ましい過去を「私という歴史」の一部へと変えてくれることもある。
どんな仕事も絶対に替えが利くし、あとからリカバリーできる。周りを困らせることができない方が病気だ。
心の定規はグニャリと曲がる。何がプラスで、何がマイナスなのかの基準自体が組み替えられるということだ。心が病むのは、それまでの定規では、自分自身の人生に起きていることを肯定できなくなってしまったときだから。
勝つこともあれば、負けることもあるだろう。いずれにせよ、その結果を自分の歴史として引き受けることができたとき、心は少し大人になる。自分だけの心が生まれる。
涙は、心の目の曇りを洗い流し、心の中を前よりも見えるようにする。
現在の自分に希望を抱けるからこそ、人は未来を想像し、アクションを起こすことができる。
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卓球、たばこ、オレンジの傘
カウンセラーの著者のもとには、いろんな心をかかえた人たちが訪れる
忙しくすごす日常で脳も身体もフル稼働していると、心はどこかに隠れてしまうけれど、大きな変化や小さな躓きで、その隠れた心が顔をみせる
心の変化にはとても長い時間がかかるのだな、と本書で創作として現れる人たちのおはなしから感じつつ、心はふたつあってはじめてそこにあると気づけるのだという言葉に希望を感じる
要約とか取説とか。そうした消化しやすい情報もだいじだけれど、ひとにまつわるお話はもっと長ったらしくて要領を得なくて掴み所もオチも本質もわかりにくくて仕方のないもの
だからこそ人には人が必要だって思いつつ、この本をとじ、また東畑さんの本に手を伸ばします
Posted by ブクログ
とても魅力的な本だった。
ユーモアに溢れていてでもマジメでわかりやすく、暖かくて、響くものがたくさんあった。
言葉のひとつひとつを、しっかりと砕いて取り込みたい衝動で、必死の読書となった。
脳みそパンパンです…
金言がたくさん埋まっていた。
文庫化してくれたら、バッグに常に入れておいて、繰り返し読みたい、そういうタイプの本です。
文庫化の際は、ぜひともクイックオバケさんの装画のままでお願いしたい!
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心を見る事が出来るのは心だけ。心はもう一つの心の中でのみ存在する事が出来る。
色々なクライアントさんの例をあげながら、心の対話を教えてくれるような本でした。
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面白かった。ところどころ、声をあげて笑わせてもらった。(仮病のために体温計をコントロールできるようなった話とか。)
心理学を学べたりするかなと思って手に取った本だったけれど、知識云々より心や気分を軽くしてくれる一冊だったなと思った。疲れた日の終わりや、気分転換に読むのがちょうど良さそう。
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最初の、はじめにのところがとても良かった。その後の本文は読みやすい。
専門知は、世間知を知ってその限界がわかって初めて専門家になる、という内容が沁み入った。そこの部分に巡り会えただけでも、読んでよかったなと感じた。
Posted by ブクログ
Audibleにて。
臨床心理士の東畑さんの本。題名から何となく哲学的なお話かと思ってたけど、全然違っていて、くすっと笑えるところ満載の本だった。
また、患者さんとのやり取りの様子も書かれていて、お母さんを亡くした男の子との遊びながら治していくプレイセラピーのお話は、泣きそうになった。
仮病は気持ちの病だから、そういう人がいたら、エビデンスを求めるのではなく、そのお芝居にのってあげて仮治療をしてあげる。なるほどー。
心の病は、手術してとかお薬ですぐ良くなるってものではないけれど、こういう専門家の方に話を聞いてもらったら楽になれるのかも知れない。
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時にやさしく、時に楽しく、心のおはなしが語られます。
とても心が疲れる前に手に取ってほしい本です。
まるでカウンセリングを受けたかのように、何かが少し変わることができるように思いました。
ーー私たちは生きてるうちにたくさん話をした方がいい。
Posted by ブクログ
読みやすい文章で軽やかに、と見せかけて、その真髄に「ぐっ」と引き込まれるエピソードがいくつも紹介されています。
こころの自然な反応や、大きな変化が訪れたときに私たちが取り得る行動、普段の自分に戻るために取り得る手立てなど、著者の言葉による表現がとても豊かで、その面からも楽しく読めた一冊でした。
Posted by ブクログ
「現実は超自我よりマイルド」
この言葉に出会えただけで読んだ価値ありまくりの1冊だった。
悩みのループにハマった時、1発で戦況を吹き飛ばせるイオナズンみたいな言葉。
Posted by ブクログ
1.5ページの小タイトル×3で小さな1章
最初のタイトルで何について話したいかを示し
次のタイトルで実際のカウンセリング例を記し
最後のタイトルで両者を繋げまとめる
というような構成が続く本
本人が何度も言っているが、もともと本当の人格とは別にお調子者的なキャラクターでやっていくつもりだった、とあり
ユーモアやジョークが交え、というより少し多いくらいには散りばめてあるので小難しさはゼロ
納得共感できる話もあれば、なんだかよくわからなくて少し読み飛ばす話もある
でもそれで充分楽しい
Posted by ブクログ
この本に載っている、1人ひとりの様々なストーリー(環境や状況)は、それぞれシリアスではある。
が、著者の巧妙でユーモアセンスある文章でクスっと笑わせてくれる。
なんだか、臨床心理士という人を身近に感じさせてくれた。(自分の中ではお堅いイメージだった)
話すこと・聞くことを仕事としているからなのか、内容は読みやすくて入りやすく、そして面白い。
堅苦しくないのも本書の魅力。
※2020年5月~2021年4月にかけて、週刊文春で連載した「心はつらいよ」をまとめたものとの事。
Posted by ブクログ
ふふふと笑えるようなエッセイ。
多分自分が今特に大きな悩みとか病んでいることがないから、思ったよりも心に残った言葉はなかった。
そこら辺が原因なのか、面白いのに中々読み進められない怪奇現象が起こった。
Posted by ブクログ
臨床心理士の週刊誌のエッセイをまとめた本です。
ユーモアたっぷり、読みやすい。
主に、著者が出会ったクライアントの話(脚色しているらしい)が書かれている。
他者の悩みに、客観的に触れることで、人がどんなことに傷つき、どうやってそこから抜け出したら良いか、理解することが出来る。
結局、傷つかない人間なんていないし、どうにも出来ない悩みを抱えながら、なんとか、着地点を見つけて生きていくしかないのだなあ。
著者ご本人が、1年間の連載はきつかったと書いているように、後半はネタ切れ感が否めなかったのは残念。
Posted by ブクログ
東畑開人さんの作品、初読みです。この作品は、東畑さん自身の経験と実際のカウンセリングの実例を交えながら、“心”をテーマに綴ったエッセイです。
ひとつひとつのエピソードに、共感しまた納得もできました。自身を含めた人の数だけ小さな物語があり、それは大きな物語、社会情勢などに隠れてしまいがちだけれど、小さな物語に目を向けることが“心”にも近づく結果になりえるという解釈ができました。
ただ、私が読んでいて興味を惹かれたのは、東畑開人自身さんの魅力かな…。読んでいて親近感をめっちゃ感じる人で、文体もわかりやすいし、大学で教鞭をとっている偉い人って感じじゃ全くないんですよね!だからかな…読んでいて、何事にもそんなにかまえなくていいんだって…肩の力が抜けるというのか、“ほわっ”とできた、作品でした。
Posted by ブクログ
グローバル化やコロナといった「大きな物語」が個人の「小さな物語」をかき消してしまっている現代。心理士の著者が様々なクライアントとカウンセリングする中で、失われた「心」を探すエッセイ。
ホイミを忘れた戦士、うんこ男とトイレ侍が印象的。様々な心が色々な形で発現している。もともと週間連載をまとめた本のため、一話完結で読みやすい。
Posted by ブクログ
心理士のエッセイ。親しみやすい文体の中に、なかなか重いエピソードが混じったりしていて、素敵。こういう文章をさらっと書けるようになりたいものだ。
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「1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい
」で言及されていて興味を持って読んでみた。
心理士の著者によるカウンセリングの現場に基づいたエピソードの数々をオブラートに包んだいくつかのお話。
なんにも記憶に残ってない、、、あ、禁煙の話は面白かったかな。あとはカウンセリングする人なのに、結構病んでるんじゃないかと心配するかたわら、著者のメンタルのアップダウンがきつくて、ジェットコースターに乗っているような気分が味わえます。
とりあえず自分はメンタルヘルス大丈夫なんだなと思えたのがよく、ちょっと病んでる人には効く本なのかもしれません。
Posted by ブクログ
読んでいる間は素敵だなあと確かに思うのに、読み終わったらよくわからない雲のような本。いい気持ちはうっすら残るのでよい本なのかもしれません。
他の著書を読んだらどう感じるのかが気になるので、もう1冊読んでみようかなと思います。
Posted by ブクログ
友人に薦めてもらった一冊。いまいち掴みどころがないような、でも少し心が軽くなったような。不思議な読後感。
独りでうちに籠ると、現実よりも悲観的で厳しい場所に自分を追いやってしまう。
傷ついたときは、誰とも分かり合えないのだ、独りでいたい、と思うこともあるけれど、きっと本当は誰かに自分を見てほしい、完全に理解してもらえなくても耳を傾けてほしいと思っているはず。
心を預けられる相手に、胸の内を吐き出して、吐き出してるうちに自分と向き合っていけたら良いのかなと。そしたら、きっと、心がより鮮明に見えてくるはず。
Posted by ブクログ
心は実体がないくせに繊細で扱いにくい。いや、実体がないからこそ、その輪郭をわずかな気配で探し当てて、壊さないように潰さないように両手で包まなくてはならないのか。
コロナ禍になって、心はさらに置き去りにされてしまった。心を探すには現実的な余裕が必要だからだ。しかし、心を癒すことと現実的な癒しを得ることは、どこかで繋がっていることだから、どちらかを改善すれば良いというものでもない。改めて人の心の扱いの難しさを思い知る一冊。
何が言いたいのかさっぱり
普段エッセイというものをほぼ読まないので挑戦しましたが、私には合いませんでした。読みにくいし、何を言いたいのかいまいち伝わってきません。理解しようとよんでましたが時間の無駄たと思い読むのをやめました。オードリー若林のエッセイはすごく楽しく読めるのだけど…。相性があるんでしょうね。