【感想・ネタバレ】宴の前のレビュー

あらすじ

隠された利権、過度な忖度、県民性の謎…。あらゆる選挙戦の中で最も闇が深いのは地方知事選だ! 知事の後継者が、選挙告示前に急死。後継候補を巡る争いに、突然名乗りを上げたオリンピックメダリスト、地元フィクサーや現職知事のスキャンダルを追う記者の思惑が交錯する。これまで四期連続当選してきた現職県知事・安川(76歳)は、今期限りでの引退を決める。後任については副知事の白井に任せるということで内々に話がまとまっていた。しかし、選挙告示の2ヶ月前に白井が急死し、次期知事候補は白紙に戻る。一方その頃、地元出身でオリンピックメダリストの中司涼子(42歳)が、突如知事選への出馬を表明する。マニフェストに「冬季オリンピックの誘致」を打ち上げ、一気に有力候補に躍り出る。混沌した様相はさらに加速し――。圧倒的な権力を持つ「地方の王様」を決める熾烈な争い。選挙小説の新機軸!

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Posted by ブクログ

酷く「野暮かもしれない…」とも想いながら、古く『宴のあと』という小説が在ったことも思い出さざるを得なくなってしまうことを御伝えすべきであろうか。『宴のあと』という色々な意味で知られている感の作品が「知事選挙」に題材を求めているのだが、本作も「知事選挙」に題材を求めている。

本作は「とある県」を舞台に、知事選挙を巡る様々な人達が登場して物語が展開する。「全く架空」な物語ではありながら「過ぎる程にリアル?」で引き込まれてしまった。野暮を承知で話題にした『宴のあと』という小説は、「題名が何となく似ている?」という以上の関係は全く無い。

本作は、中心視点人物が複数在って、多層的に、多面的に「とある県」の知事選挙を巡る物語が展開している。

県知事の安川が在る。4期目の任期の4年目で76歳になった。次期の知事選挙には出馬しないとしていた。そして副知事を“後継”ということにしようと考えていた。安川自身が“旧自治省”の官僚という流れなのだが、副知事もその後輩ということであった。そして健康上の不安も無かったのだが、その副知事が不意に急逝してしまった。「後継」を如何するのか、途方に暮れてしまった。

その他方、「とある県」では大変に著名な、冬季五輪のアルペンスキーで銅メダルに輝いた経歴を有し、大学教員にしてJOC委員であるという42歳の女性、中司涼子が「知事選出馬!」を宣して大きな話題になった。

清新な女性候補、加えて大変な著名人が知事選への出馬を宣言して勢いを得ながら運動を展開する他方、安川知事側は思うように動けない。

安川知事側の「後継候補」の選任は、様々な事情で思いの外に難航して行く。やがて県内で大きな影響力を有する地方紙<民報>の記者達の動きも出て来る。

この知事選挙の行方は如何なるのか??

というような物語だ。選挙を“宴”に見立てているのだが、そこへ「向かって行く」という様が多面的に描かれるということで、『宴の前』なのだ。なかなかに愉しめた。他方、“実際”もこの種の事案というのは「こういう感じか?」と思わせ、色々と考えさせられた。

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2021年08月05日

Posted by ブクログ

知事選挙の話。後半になり選挙はどうなるのかワクワクと読み進めたが、開票は書かれておらず結果とその後のみ。どこの県が舞台かな。東北かな。こないだの参院選でも思ったが、組織票ってすごい。選挙はやってみないと分からないもんだと改めて感じた。新聞記者はどうなったのだろうか。。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

そこまで専門的な話は出てこない選挙小説。
選挙小説はそんなに読んでないけどだいたいは主人公が色々な困難を乗り越え逆転当選するというイメージだけどこの小説は両陣営ともに問題を乗り越えながら選挙戦を繰り広げる。
ストーリーも面白く読みやすかった。

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2023年11月24日

Posted by ブクログ

●最初は素人臭い書き方でイライラしたけど、尻上がりに面白くなってきた。
●ただ、やっぱり展開はいいけど、セリフがいちいち素人くさい。なんというか、もう少し、それっぽさを出してほしい…
●それぞれの人物の内面もセットで描いているのは展開がわかりやすいしよし。
●小説なら、知事選は土着エピソードが色々盛り込めるから面白いね。
●あえて県名は出していないけど、東京に近くて保守王国だから、北関東3県なんだろうなあ

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2023年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はじめての堂場瞬一(新聞掲載はのぞく)。
とある県の、知事選挙のお話。元新聞記者なだけあって、選挙戦の舞台裏の話はとても面白い。
エピローグ「宴の後」は、そう来るのかーという展開。ただラストシーンで「変な謎」が残るため、読後感の評価が分かれそう。
あと、新聞記者のところは、もう少しふくらませてほしかったかな。

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

やはり、選挙小説は面白い。
書中「選挙は祭りだ。非日常の世界が繰り広げられ、巻き込まれた人間は異様な興奮を経験する」とあるとおり、投票日というクライマックスに向かって、嫌が応にも盛り上がってゆく。
登場人物が、果たして当選するのか、それとも落選か、読者もまたその行方に興味津々となる。
元五輪メダリストの女性アスリートが地元に五輪招致を旗印に、知事選に挑戦する。対するは、4期16年を務め引退するはずが後継者不在で、再度出馬する現知事。
老練な選挙コーディネーターや地元のフィクサー、それに新聞記者が交錯し、挑戦者優位のまま投票日に突入する。そして、開票の結果は・・・・・・
地元紙の記者たちがカギとなり、地元紙と権力の関係がリアルに描かれているのは、著者の記者時代の経験からだろう。

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2022年03月02日

Posted by ブクログ

テンポよく読めました。現職知事が老獪過ぎず、対立候補が爽やかで有能なのが少し綺麗すぎな感はありますが、2人を取り巻く家族や同級生などが細かく描かれており、自分の住む地域でもこんな選挙戦が繰り広げられたら面白いなと思いました。

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2021年12月18日

Posted by ブクログ

官僚出身で四選を経た知事の引退をめぐり、県に新風を入れるべく参戦する女性アスリートという駒を配して、知事、県庁、地元マスコミ、県議会、政党の地方支部、代議士、後援会がどのように絡み合うかを、現代風の読みやすい小説仕立てで描いて見せた小説。

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2021年09月03日

Posted by ブクログ

知事選挙のあれこれです。選挙が始まる前から、候補者やその関係者のやり取りが、絡みまくって訳の分からない方向にゴロゴロ転がって行ったのに、最期にはひょいとつまみ出されて、出発地点に戻されたような、あっけない終わりでした。

一筋縄ではいかないところが、面白いと言えば面白いですが、だから何なんだろうと思ってしまいました。解説者の方のような爽快感とは全く無縁で読み終えた自分が残念。

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2022年06月06日

Posted by ブクログ

知事選前のグダグダ感や、地方ならではの閉塞感など、地元の選挙もこんな感じだったなーと重なる部分が多々あって面白かったです。ただ、選挙結果に関する部分や、記者のその後など、モヤモヤが残る部分もありました。「宴の前」のタイトル通り、選挙前を楽しむのにいいかと思います。

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

選挙を題材にした作品はあまり読んだことがなかったので面白かった。現職知事陣営と対立候補陣営を対等に描いているのでフラットな立ち位置で読み続けられたのが良かった。それぞれのブレーンの働きや地方紙の動き、小賢しい政治家の振る舞いなどがあって飽きることはなかった。ただ存在感を強めつつあった植田が尻切れトンボのように終わってしまった点とクライマックスをカットして結果だけを描いた終盤はやや残念だった。

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2021年12月25日

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