【感想・ネタバレ】休息の科学 息苦しい世界で健やかに生きるための10の講義のレビュー

あらすじ

【忙しく息苦しい時代を生きる人に向けて伝えたい、自分を癒すための休息のリアル】元気な自分でいるための休み方の正解! イギリスの大人気心理学者があらゆるエビデンスをもとに、「自分の癒し方」をお伝えします。BBCラジオのプレゼンターを務め、心理学やメンタルヘルスの専門知識をわかりやすく紹介する著者が教える、しんどい毎日で自分を休ませ、人生をもっと豊かにする方法。心と体はいかにして癒されるのか? 世界中のあらゆる研究結果から休息の極みを紐解いていきます。世界135カ国18,000人の調査でわかった人気の休息トップ10を徹底分析! 空想、入浴、散歩、音楽、自然、読書 etc. 大丈夫、できることからやればいい。誰もが日々やっているあたりまえのことにも、休息効果はあります。その他、コンディションUPにつながるテーマも幅広く実証! ストレスマックスの時代を生き延びるための、「人生の整え方」講義。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

十分な休息は睡眠と同じくらい必要なもの。
休息を2年間研究した。135か国18000人のアンケートをとった。
友人や家族と過ごす、は12位。人は休むときは距離を置きたいのではないか。
インターネット、SNSを楽しむ、も圏外。急速にはなっていないことを自覚している。

10位 マインドフルネス。
心の持ちようを変えれば環境を変えられる。マインドフルネスは日常に取り入れられる。
イライラしがちな待ち時間をマインドフルネスに変える。時間を無駄にしている、誰かのせいで私の時間がとられる、と感じたときは立ち止まって休むありがたい機会を得られた、と考える。

9位 テレビを見る
テレビは休息の理想的な形。ネット動画でも同じ効果がある。テレビはながら族になる。
長時間見る人は幸福度が低い=因果関係と相関関係の問題が潜んでいる。
孤独に対する一時的な手段としては有用。
生活満足度の低さとテレビ視聴時間の多さに関連性がある。
適度な視聴が大切。

第8位 空想にふける。
ただとりとめなく空想する状態。思考を自由に解き放て疲れることはない。
やるべきことを書き出せば早く眠れる。具体的にタスクを書く。

第7位 入浴
ベッドに入る1~2時間前に入浴する。

第6位 長めの散歩
罪悪感の処理がカギ。集中して考えられる時間は散歩のとき以外にはない。
長時間走ると、デフォルトモードネットワークの働きが減少する=脳に休息を与え脳のおしゃべりを止めることができる。

第5位 特に何もしない
簡単ではない。忙しさはステータスであるという感覚。
ウェブレンの『有閑階級』を思い出す=働く時間が短いほど裕福である。
斬進的弛緩療法=順番に体を力を入れてから緩める=ほぼ何もしない、という治療方法。ジェイコブソンが提唱。鎮痛剤なしで妻が出産した。
休むこと自体を恐れている。
楽しんで休める時間には限度があり、それを超えると疲れる。退屈に効く特効薬は楽しさよりもやりがい。
放浪をするのは現実逃避に肉体を連れて行くから。家で何もしない、のは難しい。旅先でないとできない。
テレビや読書は、何もしない、という罪悪感を減らす。
TODOリストが無くなることはない=これこそが人生=若者にとっては大人になることを意味する。常に多くのことをこなし続けることが大人への第一歩。
なにもしない、のではなくのんびり過ごす、ことで罪悪感を抱かずに休息できる。
編み物は、慣れれば手は忙しいが頭は好きなことを考えられる=何もしないわけではないから罪悪感から逃れられる。
ほんの少しの時間でいいので、なにもしない、を過ごす。

第4位 音楽を聴く
何でも好きなものを聴く。音楽は気分に影響を与える。聴く音楽はその時聴きたいものを選ぶ必要がある。適切な環境と適切な音楽。

第3位 ひとりになる
元来、ひとりになることは困難で苦痛なこと。進化の過程でそうなった。
しかし多くの人がひとりにならないと休まらないと感じている。他人からアイデンティティを押し付けられない。
誰もそこにいると知らなければ自分が存在しないことと等しいのではないか。独房にいると、たとえ罰を受けることになっても人との接触が欲しがる。
孤独だと感じている人は、うつになりやすい。
一人きりになりたいと同時に一人きりを恐れている。
一人の時間を過ごせるほど、マズローのいう幸福なのではないか。

第2位 自然のなかで過ごす
短い時間に自然を写した写真を見るだけでも変化が起きる。
自然のなかで過ごす、の中には暗い森や荒野での荒天は入っていない。ネガティブな連想を伴う音があるとリラックスできない。実際の自然とは違って作られたものを欲している。
自然は意識を整える余裕を与える。オフィスで集中できないときは公園で10分過ごす。
田舎を歩くと自然とマインドフルネスを実践している状態になる。
自然のなかにいると、一歩引いて自分を見ることができる。

第1位 読書
熱心な読書家を集めて実験した。本を携帯していないと落ち着かない人たち。
熱心な読書家にはリラックスできる活動だが、脳や体を休ませる活動ではない。
夜中に起きたら、眠くなるまで読書をする。
日中に読書をするのは躊躇する。もっと活動的で有意義なことをすべきだと感じる。
読書のなかには新聞の熟読も含む。ニュースは暗いものが主で明るいニュースは読みたがらない。
マインドレスリーディング=脳は完全に読書に集中していない。字面を追っているだけ。そのとき、思考はさまよっている。読書はその休息のための効果があるのではないか。
読書は、自分の心配事から気をそらす、または心配事に目を向ける、両方の効果がある。休息の神髄には両方が必要なのではないか。
あるいは、読書で得た新しい視点を加えることが休息になる。
良い本は仲間を得られる。著者や他の読者との共感によって。読書するお年寄りのほとんどはさみしそうに見えない。
ネタばれはスムーズに読み進めて、より楽しめるというメリットもある。歴史小説など。
マインドフルに読んでもマインドレスに読んでもどちらでもいい。
本を読む人は平均2年間長生きした。

休息をとる方法
休息は5~6時間取る。長すぎてもいけない。見過ごしている休息時間を意識する。TODOリストに集中する時間もつくる。TODOリストが終わることはないことを受け入れる。休息もあらかじめスケジュールに入れる。

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

休息といえばコレというランキングを10位から順にその効果について一つひとつ分析し解説・検証してくれます。そのランキングは、世界各国18000人からのアンケート結果から得たものです。

最終章に書かれているのですが、いまやアメリカだけでもセルフケア業界の市場規模は4.2兆ドルにものぼるそうです。高級オイルや香り付きキャンドル、高級ブランケット、高価なチョコレートなどなどが例としてあげられています。過激な商業主義との見方もされはするものの、著者はそれでもセルフケアには大きなメリットがあると述べています。それは若い世代が上の世代よりも休息の重要性を理解し始めているあらわれではないか、という点がそれで、本書では休息に隠されたさまざまな事実を、エビデンスを示しながら語ってくれるのでした。そして、本書自体も、セルフケアのカテゴリにおさまる種類の商品であるでしょう。

休息にはこういう種類が好まれていて、こうすればうまくいくから、これがおすすめです、という感じではありません。科学的な視点から分析して、それらから読者自身が自ら取り入れるのです。イニシアチブは読者にあります。「入浴」「マインドフルネス」「テレビ」「空想にふける」などなど、本書で取り上げられる10種類の人気休息方法はすべて、万人に適用できて効果が100%ではないのです。つまり、ここで上げられる休息方法のなかから、自分に合ったものをその効果を十分にあたまでも理解しながら生活に取り入れることができますよ、という体裁なのです。

たとえば、「特に何もしない」休息方法の章で、こんなトピックがあります。p175-176の部分です。フィンランドの首都・ヘルシンキで、1970年代に、平均より高い心臓病リスクを抱える1920~30年代生まれの男性1000人以上が集められました。かいつまんで言うと、被験者の半分は5年の実験期間の間に健康への細かなアドバイスを受けるように指示されました。喫煙習慣を注意されたり、食生活や定期的な運動のメリットについて長々と説かれたそうです。かたや、残りの半分の人たちはそのようなアドバイスはいっさい受けませんでした。その結果が意外というか、なるほどなというか、とようなものだったんです。健康促進のアドバイスを受けたグループのほうが平均死去年齢が低かった。つまり、長生きのための健康アドバイスが、逆の効果をもたらした。というように、「特に何もしない」ことのメリットにあたるところが、上記の文章から学べることでしょう。

また、こんなトピックもありました。
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p171「かつてないほど忙しいように思えるのは、おそらく仕事と余暇の境界線が曖昧になっているせいでしょう。そう命じられたわけでもないのに常に待機しているような自分に気づく人もいるのでしょう。仕事が自由時間をしょちゅう奪うわけでもないのです。単に、仕事が発生する可能性が常にあるのです。緊急かつ必須の用事など入らないであろうときにさえ、私たちは新着メッセージを気にして無意識に携帯電話をチェックしてしまいます。その結果、土曜の深夜や日曜の早朝に仕事関係の新着メールを見つけ、画面を閉じて月曜の朝にまわすのではなく、その場で返信します。もし返信しなかったとしても、頭の中はすでにその仕事に占領されています。これは先進国に限った話ではありません。低所得国でも、一般の人々にとって仕事と余暇の境界線は流動的になっているか、境界線がない場合もあります。」
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仕事に就いていると、つねにスタンバイ状態におかれることを言っているのがわかると思います。経済を回すため、経済競争のため、経済成長のためにこういった状態になるほかない、とも考えられます。そして、そのことが人を疲労させる。だから、休息は大切になるのでした。

また、
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p194
「自宅にいると、タスクに取り囲まれます。ハンガーに掛けてもらえるのを待っているアイロン済みの服の山、接着剤で修理が必要な割れた皿、壁に取り付けなければならないフック、店に返品する必要のある商品。なかには目に見えないのに注意を払わなければばならないものまであります。料金を払い過ぎているなら電力会社を替えるべきかも、自分の年金基金の状況を確認しとかなきゃなど、考え事はつきまといます。これらは「ライフアドミン(生活管理)」と呼ばれ、日常のやっかいもののひとつです。」
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という日常でおなじみのやっかい事について、きちんと言葉にして対象化してくれていたりします。このライフアドミンと、その前のスタンバイ状態を併せて考えてみれば、休日であろうとも、いかに人はうまく休めないものなのかがわかってきますよね。

そのための休息。その重要度が、本書を読んでいると少しずつわかってくるのです。僕が目からウロコだったのは、「テレビ」の章でのこの考察です。テレビがあまり記憶に残らないデメリットについての深掘りの考察です。「人は頭に新しく増えた記憶の量を見て、どのくらいの時間が経ったかを判断する(中略)テレビを長時間見てそのほとんどが記憶に残らないとしたら、時間が経過するスピードは速くなり、人生が目の前を素通りしていくかのように感じるでしょう」とあります。ただ、長時間の連続ドラマのように没入して見るものなんかは記憶に残るし、そういったテレビコンテンツは読書のように「共感力」や「他人の立場から物事を見る力」を養うそうです。それに、テレビによる休息の効能について肯定的なのがよかったんです。僕はどっちかといえばテレビなんて無くてもいいんじゃないかなと考えているほうなんだったんですけど、この本による考察を読んでいると良い意味で考え直すというか昔の考えに戻るというかがあります。

他にも、「読書」の章でも目からウロコでした。

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p312
「読書はふたつの意味で急速になることがわかります。読書することで、ときに自分の心配事から気をそらし、ときにその逆を行うのです。自分の世界から飛び出すときも、思考をさまよわせながらも自分の人生と向き合うときもあります。休息の真髄には、やはりこの衝突があるのです。頭の中で過去に戻ったり未来へ行ったりしながら、自分を逃避させ、同時に自分自身と対面させます。読書は自己認識を排除する方向にも強める方向にも利用できるのです。」

「自分の世界に新しい考えごとを足し、誰か別の人の物語や視点を加えることこそが休息なのだと、気づくのかもしれません。」
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自分のあたまのなかで断片化していた、読書についての印象や感じていたことが、なんとまあ上手に言語化されていることか! ちょっと端的すぎてもうちょっとこれらの周辺部分の文章を読まないとよくわからないかもしれません。そこは本書を実際に読んでみる機会にゆずることとします。

ということで、ちまちまと読みながらも、いろいろな発見のある読書になりました。「自信がなく自分に注意を向けたがらない不安症(p44)」との一節があったのですが、個人的なところで言うと、うちの父親が強迫症だし自分と向き合わない人なので、そういうことか、と納得がいきました。こういうふうに、読者が個人の日常に寄せて読んでみても、なんらかのリターンが得られるのだと思います。もともと本というものはそういう性質のものが多いのだと思いますけれども、本書は特に読む者へ三者三様に作用してくれてさらに実用的と言えるのではないかな。

読んでよかったです。

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2022年07月20日

Posted by ブクログ

休息のための各アクションが、深く取り上げられている。ある意味、真面目に読むと休息にならないのが、悩みどころである。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ランキングで10個の休息方法が書いてある。
週末の過ごし方の参考になった。
ちなみに読書が一位だった。

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2023年02月05日

Posted by ブクログ

休息の重要さを述べた本。
睡眠とは異なる休息、罪悪感を感じてしまう休息を取る行為に対して、如何に休息が重要かをひたすら述べている。135カ国1万8千人のアンケートのTOP10の休息方法を上げておりなかなか面白い。
忙しくする事が良いとの現風習を見直して、適度な休息が取れるよう積極的に計画を見直していきたい。

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2022年05月21日

Posted by ブクログ

翻訳された長い文章で話が横道に逸れながらダラダラと情報が書き連ねてあるので読むのが大変だった。休息どころか苦労した。

ただ、最後にマインドレスリーディングなるものの紹介で、なるほど。確かに読書って別にちゃんと読もうとしすぎないでダラダラ読んでもいいんだよなと再発見した。

そのあとにある、「TODOリストが終わる日は来ません。あなたはそう受け入れたのです。とりあえず今は休みましょう。」という文が1番印象的だった。

とにかく、時間を区切る、場所を区切る、どれに時間を使うかを都度見直して仕分けすることを心掛けようと思った。

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2021年11月10日

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