横手慎二のレビュー一覧
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ネタバレ日露戦争に至った時代背景、開戦、そして終戦までの流れをまとめた本。七章だが、戦術的な点は五章、六章と少な目。それよりも時代背景やこの戦争がどういった位置づけだったのかなどが纏められている。少し残念なのはこの戦争が終わった後、両国がどうなったのかについての記載まとめが最後少ない点だろうか。バランスとしては非常によくまとまっていたというのが正直な感想
●メモ
・植民地戦争
いわゆる白人が非白人の国を植民地化する戦争。アメリカ兵は母国の家族にフィリピン人の「知的文化的後進制」を繰り返し言及したほど。
・イギリスとの同盟
基本的に日本はアジアの小国であり侵略対象だが、ヨーロッパの微妙なパワーバランス -
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スターリンという人物ほど評価の分かれる人はいない。しかも、ソビエト連邦を率いた独裁者だけあって経歴の謎の部分が多い。
本書はスターリン関係の研究や書物を幅広く取り上げ、スターリンの経歴や評価について紹介されている。
読んでて、スターリンの人生の中でのポイントと思われるのは、まずはグルジアに生まれた育ったこと。いわゆる「ソソ」の時代。そしてカフカース地域で生きたことで民族問題に取り分け関心があったこと(これが現在のロシア民族問題につながっていく)。幼少期の家庭環境や神学校時代に馴染めなかったことなど様々な事象がある。
次に神学校から退校処分後の「コーバ」の時代。社会革命に共鳴し、地下活動を開 -
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スターリンを再検証する一冊。特にソ連後のロシアでの評価が興味深い。国内と外国とでこれだけ評価が分かれる人物ってすごい。
歴史で語られる、つまり著者が言うところの一般のスターリンに対する評価以上のものは持っていなかった。
なぜスターリンが集団農場化を進めたのか、大虐殺はどんな文脈のうえにあったのかがよく分かる。非道としか言いようがない。でもどんな革命もテロ無しには存在しない。フランス革命も相当なものだったわけだけど、歴史は敗者が語るものではないからね。
第二次世界大戦の最大の勝者はスターリンなんだと思う。人道的側面に目を瞑れば、やっぱり凄い人物だったとしか言いようがない。 -
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スターリンが「非道の独裁者」であったことは確かだが、むしろ彼はレーニンの赤色テロに学んでいる。1990年代以降の解禁文書で明らかになったレーニンによる戦慄すべき指示が、そのことを示している。
さらに言えば、当時のロシアの経済状態や、干渉戦争・侵略戦争にさらされるという強い留保が必要だとはいえ、国家権力を奪取して「プロレタリア独裁」を通じて社会主義革命をおこし、革命プロセスを遂行するということは、こうした暴力によらざるをえないのではないか、ということになってしまうのではないか。
とすると、国家権力の奪取によって社会主義革命を成し遂げるということそれ自体に、「スターリン」がすでに内在していたの -
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ネタバレスターリンとか独裁者はイメージがつけやすいから、みんな知ったような気になっている。とりあえず悪党。でもロシアでは偉大な人でもある。こういう人物こそきちんと知っておかなければいけない。
大事なのは、なぜ悪いのか。なぜ悪いことをしなければならなかったのか。冷静に知識を得ること。
この本は広く浅くスターリンを知る本である。そしてスターリン寄りのところもある。各歴史的事件についてウィキペディアを見ながら読むといい。
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p14 父の暴力、母の愛
スターリン(ソソ)は幼少期に酒飲みの父に母子ともに暴力を振るわれたと言われる。それ故に優しくしてくれた母への愛と英雄思想が生まれたという研 -
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―第0次世界大戦は如何にして起きたか
日露戦争の歴史的意義や当時の国際政治の背景について述べた本。特に戦争に至る経緯についてはかなり詳細に筆を割いている。日本側はともかく、ロシア側はかなり重臣間の見解の不一致が深刻だったことがわかった。
さて、当書を通じて参考になったポイントを4点に絞って述べてみよう。
1.三国干渉
ロシアが三国干渉を行った背景としては、蔵相・ウィッテの影響が大きい。彼は皇帝専制下での国力増強を図り、シベリア鉄道建設を推進していたが、日清戦争での日本の予期せぬ勝利から、日本の膨脹を警戒し始めた。そこでドイツやフランスを巻き込んで日本を圧迫、遼東半島を清に返還させ -
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ネタバレ[ 内容 ]
日露戦争は、日本とロシアにとってはそれぞれにきわめて影響の大きい戦争であったが、客観的になかなか評価が確定していない。
戦後一〇〇年にあたり、その地球規模での意味に言及する試みがなされているが、本書は、ロシア近現代史の視点も含めて、戦争の背景・経過・影響を通覧しようとするものである。
双方の認識に極端な差があったことが、戦争の帰趨にどのように影響を及ぼしたかを明瞭に伝える。
[ 目次 ]
序章 世紀転換期の世界
第1章 世紀転換期の日本とロシア
第2章 戦争の地理学
第3章 政事と軍事
第4章 戦争への道程
第5章 開戦
第6章 陸と海の絆
第7章 終局
終章 近い未来と遠い未 -
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全9章、200ページ。
戦史として本書を読むと失望するだろう。
本書は外交史としてよくまとまっている。
巻頭に朝鮮の地図がある。精読にあたって何度も眺めることだろう。
初めに日露戦争前の国際情勢について、簡単な説明が30ページほど。
次に地図、鉄道、朝鮮半島など地政学的に無視できない地理の解説があり、主題として日露の利権及び外交交渉を扱っている。
戦争については、5~7章でサッと流している。奉天、遼陽、日本海海戦あたりだけはやや詳しく描かれている、といったところ。
終章にて講和とその後の日露両国の行方について触れている。
初版は2005年。
巻末の参考文献にも比較的新しいものが多いので -
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スターリンの伝記は初めて読みました。日本人なので、満州侵攻やシベリア抑留を行った彼のことをよくは思ってませんが、第二次世界大戦後の世界秩序を作った人物として知っておきたかったのです。
全体として、批判ばかりでも賛同ばかりでもなくバランスが良かったと素人ながらに思いました。
印象に残っている箇所を書いていくと、スターリンの政策、特に第二次世界大戦前の急進的な工業政策が人によって評価の分かれる点で、面白く感じました。
党内の批判や妻の自殺がありながらも、五カ年計画に執着して国内の産業が軽工業から重工業へ成長していくのを待たずに急進的に産業を発展させる一方、穀物の徴発を行い、ウクライナで40 -
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日露戦争終結(戦勝)100周年の年に出た本。知人(著者の授業を受けたそう)の勧めで読む。
その当時、両国の当事者(戦争指揮者)が、知り得た情報を元に、どう状況を読み、何を得ようとして、どう動いたか、そのすれ違いのさまを丹念に追った作品。
敵のある作戦が偶然にもうまく行った場合に、相手を過大評価したり、ある作戦が上手くいきつつあるのに、完遂前に放棄したり、と、色んなことが起こり得る。最後の方での考察は、後付け史観ではなく、俯瞰的に述べる感じで、全ての人は歴史の住人である感じがしてよい。
日比谷焼き打ち事件(折角講和に持ち込めたのに賠償金が取れなくて一般民衆が暴徒と化した事件)は、民主主義の限