酒井健のレビュー一覧
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現代において「シュール」という語が,不条理や意味不明なものに対してよく用いられる。しかしそれは元の意味のほんの一部に触れているに過ぎない。
シュルレアリスムは第一次世界大戦を終えた1920年代,フランスで生まれた文化運動である。簡単に流れを言えば,偏った理性主義への批判から始まり,特に戦争体験より...続きを読むPosted by ブクログ -
近代合理主義からこぼれおちる「闇」=「魂」の存在。
自明に思える現実や歴史を解体する視点。
ピカソのアヴィニヨンの女性は単なるキュビズム表現ではなかった。
ヘーゲルの弁証法に絡み取られない、生のあり方に固執したキルケゴール。
『古事記』すら新しい記述と喝破したハーンの感性。
ブランショ「誰かが、絶...続きを読むPosted by ブクログ -
美術の方では様々な流れを作りながらいまも確実に息づいているシュルレアリスムだが、この運動のリーダーだったアンドレ・ブルトンの名聞くくことがめっきり少なくなってしまったのは、詩文学の不人気とポスト・モダン思想の奔流に負けてしまったからだろうか。
本書はバタイユ研究者が、そのブルトンに敬意をこめて語りつ...続きを読むPosted by ブクログ -
近代国家への闘い。西欧の若き芸術家?たちの悪戦苦闘が興味深くたどっていける。社会の変革と芸術作品へのこだわりという永遠の課題に挑んだ人々だったのだろうか。彼らの理論は弱いところも多いが、その作品の多くが、今の私をこんなにも惹きつけるのは何故だろうか。Posted by ブクログ
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ジョルジュ・バタイユの研究者として知られる著者による、おそらくは国立新美術館における大規模な「シュルレアリスム展」に合わせて刊行されたこの20世紀を代表すると言ってよい芸術運動の紹介書。シュルレアリスムが生じてくる背景をなす、第一次世界大戦の経験から説き起こして、1924年のシュルレアリスムの誕生...続きを読むPosted by ブクログ
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名前しかしらなかったシュルレアリスムについて、歴史的背景とか詳しく知ることができて新鮮だった!
初心者だから読むのに集中力必要だったけど、おもしろかった。
ただ世界史あんまり知らないから、政治絡みの第?章は理解するの大変だった。
シュルレアリスム展楽しみ。Posted by ブクログ -
ブルトン、バタイユを中心にシュルレアリスムの思想的意義を明らかにする著作。シュルレアリスムと革命の関係に関する考察は、ベンヤミン「シュルレアリスム」と比較しつつ読むとさらに面白いかもしれない。新書という形態のせいもあるが、末尾はやや迫力に欠けるか。Posted by ブクログ
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本当は「宗教の理論」の方を読みたかったのだけど本屋になくて、たまたま新刊で出てたこちらを勢いで買ってしまった。言い回しが回りくどかったりで内容はよく分からなかったけど、刺激的ではあった。この本が今になって文庫化するのはよく分かる。現代の生産性至上主義に辟易している人が読めば、いくらかスカッとした気分...続きを読むPosted by ブクログ
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シュルレアリスムが第一次世界大戦の後に生まれたムーブメントであることを初めて知った。
そして、学生時代に読んだバタイユの「眼球譚」のその意味するところも。Posted by ブクログ -
1920年代のフランスで生まれた文化運動についての本。
欺瞞的世界を否定し、そこから発展させていく思考などが哲学的で、ニーチェの思想が大きく影響しているのが、大きく感じられた。
ブルトンの詩からはうかがえなかった。泥臭く進んでいく感じをうけた。
ナジャとブルトンの関係は非常に興味深いものだった...続きを読むPosted by ブクログ