酒井健のレビュー一覧

  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    現代において「シュール」という語が,不条理や意味不明なものに対してよく用いられる。しかしそれは元の意味のほんの一部に触れているに過ぎない。

    シュルレアリスムは第一次世界大戦を終えた1920年代,フランスで生まれた文化運動である。簡単に流れを言えば,偏った理性主義への批判から始まり,特に戦争体験より...続きを読む
  • バタイユ入門
    西欧を西欧たらしめている思想の根を撃つ思想家バタイユ。マルクス、アウシュビッツなどその論は冴え渡っていた。
  • 「魂」の思想史 ──近代の異端者とともに
    近代合理主義からこぼれおちる「闇」=「魂」の存在。
    自明に思える現実や歴史を解体する視点。

    ピカソのアヴィニヨンの女性は単なるキュビズム表現ではなかった。
    ヘーゲルの弁証法に絡み取られない、生のあり方に固執したキルケゴール。
    『古事記』すら新しい記述と喝破したハーンの感性。
    ブランショ「誰かが、絶...続きを読む
  • ロマネスクとは何か ──石とぶどうの精神史
    円環する、自然の荒ぶる力と交感するキリスト教の歴史。人間、そして宗教とは本来どういうものなのか示唆に富んでいる。
  • バタイユ入門
    五つ星の評価は、
     著者の酒井氏への綿密な研究成果に対してです。バタイユ自体には、たいした興味はありません。こわいものみたさの好奇心だけです。バタイユの思想や評論は面白いものがあると思いますが、プラス・マイナス=ゼロと言ったカンジでしょうか。
     この書籍の端々に、海外で、マイナーな思想家を研究するこ...続きを読む
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    美術の方では様々な流れを作りながらいまも確実に息づいているシュルレアリスムだが、この運動のリーダーだったアンドレ・ブルトンの名聞くくことがめっきり少なくなってしまったのは、詩文学の不人気とポスト・モダン思想の奔流に負けてしまったからだろうか。
    本書はバタイユ研究者が、そのブルトンに敬意をこめて語りつ...続きを読む
  • バタイユ入門
    職場で出会った哲学専攻の人から教えてもらった入門書。序文が面白い。人文科学系諸科学の学史のなかでも、現代哲学史というのは畢竟現代思想史であり、観念的な次元でものの是非をする人びとの歴史であるために、ディスタンクシオンの遂行される様を観察するのにとくに適した領域なのではないか、と。

    ──それにしても...続きを読む
  • バタイユ入門
    ゆらゆらと揺れているバタイユの思想形態やその思想そのものが、日本人の自然観に合ってるように思える。
    脱西洋、しかし西洋的=二項対立という頭になっているため、そういう視点とは違うようだ、少々混乱。
    感動は主体から生まれる。確かに。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    近代国家への闘い。西欧の若き芸術家?たちの悪戦苦闘が興味深くたどっていける。社会の変革と芸術作品へのこだわりという永遠の課題に挑んだ人々だったのだろうか。彼らの理論は弱いところも多いが、その作品の多くが、今の私をこんなにも惹きつけるのは何故だろうか。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
     ジョルジュ・バタイユの研究者として知られる著者による、おそらくは国立新美術館における大規模な「シュルレアリスム展」に合わせて刊行されたこの20世紀を代表すると言ってよい芸術運動の紹介書。シュルレアリスムが生じてくる背景をなす、第一次世界大戦の経験から説き起こして、1924年のシュルレアリスムの誕生...続きを読む
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    名前しかしらなかったシュルレアリスムについて、歴史的背景とか詳しく知ることができて新鮮だった!
    初心者だから読むのに集中力必要だったけど、おもしろかった。

    ただ世界史あんまり知らないから、政治絡みの第?章は理解するの大変だった。

    シュルレアリスム展楽しみ。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    ブルトン、バタイユを中心にシュルレアリスムの思想的意義を明らかにする著作。シュルレアリスムと革命の関係に関する考察は、ベンヤミン「シュルレアリスム」と比較しつつ読むとさらに面白いかもしれない。新書という形態のせいもあるが、末尾はやや迫力に欠けるか。
  • バタイユ入門
    [ 内容 ]
    聖なるものへの覚醒とはなにか。
    エロチシズムとはなにか。
    熱き情念に突き動かされながら、人間の思考のあり方を問い、その限界の彼方を指し示した人バタイユ。
    ヘーゲルを頂点とする西欧文明における理性の体系に対し、彼は「非―知」「好運」を看板に掲げて果敢に戦いを挑みつづけた。
    現代のヨーロッ...続きを読む
  • バタイユ入門
    難解と言われるバタイユについての解説本である。平易でわかりやすい。
    バタイユの著書が難解なのは彼の視点で者をした見れない。見るのを拒んでいる我々側の問題である。
    少なくても中期までの彼は評価どころか誤解されていた。文章が難解、書いていることが過激。これらは生い立ちや彼が見えていたものから考えれば素直...続きを読む
  • 呪われた部分 ──全般経済学試論・蕩尽
    本当は「宗教の理論」の方を読みたかったのだけど本屋になくて、たまたま新刊で出てたこちらを勢いで買ってしまった。言い回しが回りくどかったりで内容はよく分からなかったけど、刺激的ではあった。この本が今になって文庫化するのはよく分かる。現代の生産性至上主義に辟易している人が読めば、いくらかスカッとした気分...続きを読む
  • バタイユ入門
    眼球譚でバタイユの小説を読み、今度はバタイユその人の人物と思想についての本を繙く。入門…のわりに難しい、と言うのが正直な感想である。哲学や思想なんかは好きだけど、あまりにも知識がつまみ喰い過ぎて、わからない言葉が多かった…。哲学入門とかあったら読んだ方が良いかもしれない。バタイユの浮遊感が好きだ。元...続きを読む
  • バタイユ入門
    入門らしくバタイユ初心者の自身にとっては非常に読解しやすかった。
    昔ほどバタイユに興味が持てなくなったのでレビューはまた再熱した頃に。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    シュルレアリスムが第一次世界大戦の後に生まれたムーブメントであることを初めて知った。
    そして、学生時代に読んだバタイユの「眼球譚」のその意味するところも。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    1920年代のフランスで生まれた文化運動についての本。

    欺瞞的世界を否定し、そこから発展させていく思考などが哲学的で、ニーチェの思想が大きく影響しているのが、大きく感じられた。

    ブルトンの詩からはうかがえなかった。泥臭く進んでいく感じをうけた。

    ナジャとブルトンの関係は非常に興味深いものだった...続きを読む
  • バタイユ入門
    現代フランスの特異な思想家バタイユを、とくにニーチェ、ヘーゲルと対比させつつ解説している。

    バタイユは、理性的なものを引き裂いて非理性的なものが現出する瞬間を重視する。彼の思想は、そうした瞬間に生じる至高的な体験に基づいている。ただしそうした至高的な瞬間は散発的であり、現出すると同時に解消される運...続きを読む