上田秋成のレビュー一覧
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ネタバレ私が読んだのは、『日本の文学 古典編 雨月物語 42』ほるぷ出版であり、角川ソフィア文庫ではない。しかし、ほるぷ出版の方は登録しようにも、見つからなかったので代わりにこちらで登録した。
上田秋成によって、1776年(安永5年)に刊行された、怪異小説であるが、「白峰」「菊花の約」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「仏法僧」「吉備津の釜」「蛇性の釜」「青頭巾」「貧富論」と、確かにどれも不気味な話であった。
私のお気に入りは「青頭巾」で、日本の昔話独特のおどろおどろしさを感じることができ、また、何かに固執し続ける人間の執念のすごさを感じることができる。 -
Posted by ブクログ
現代語訳はついていないが、脚注が豊富でわかりやすく各ページ下部に配置してあること、原文自体が和漢混淆文でそもそもそこまで難解ではないことから、無理なく読み進められる。
古典文学を現代語訳を使わずに通読したのははじめて。「夢応の鯉魚」の説話っぽさや。「蛇姓の婬」の執拗な感じが好み。
解説を読むと、上田秋成が今まで書いていた浮世草子から読本にスタイルを移行させて『雨月物語』を著したとあり、両者は形式こそ異なるが、視点は共有するとあった(女性キャラクターの造形などに)。
おもえば現代でも作り物感の強いホラー映画って、コメディを見ているように笑えてきちゃったりもするもんな、と俗物的な現代人的発想でな -
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親の財産を食いつぶした男がいた。素直で心優しい妻と暮らしていた。ある日、男は「俺は京に出て商売で成功するのだ」と言って家から出ていった。その後、男は京都での暮らしはじめ、1年、2年と経っていった。男は「妻はもう死んでいるだろう」と考え始めていた。7年経ったある日、男は妻の元に帰ることにした。妻は生きており、痩せ衰えた姿になっていた。妻は男の帰りを喜んだ。翌朝、男が起きると、妻の姿はどこにもなかった。家も荒れ果てた姿に変わっていた。浅茅が宿。千葉県
和歌山(紀の国)に若い男がいた。大雨の日、絶世の美女に出会い、一目ぼれ。家に帰った男は女の夢を見て、夢の中で女と交わる。次の日、女の家に行くと、夢 -
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この本を読んだ人の少なさにびっくりしちゃった。
いちからこんな話をたくさんつくれるなんてすごいなあ〜ってやんわり思っていたら、わりかし原本があるみたいで「あ、そなの」ってなってしまった。ただ、逆に教養に溢れていると捉えればポジティブに生きられる。
初の文語、古文の文章で大挫折するかと思ったら、意外とするする読めた。
『夢応の鯉魚』がいちばんオシャレ。ラストの絵の中の鯉は湖に泳ぎ出してしまったから残っていないんだ、みたいな部分に「あひゃ〜〜」となってしまった。良すぎる。
基本的に男と女の云々だっただけに、『夢応の鯉魚』がひときわ目立っていた。 -
Posted by ブクログ
内田樹さんが、たしか村上春樹さんの書評??書いてるのを読んだときに、
雨月物語の吉備津の釜との関連を挙げていた気がして、それで気になって読んでみた。
もともと小学校の時に読んだことがあって(もちろん小学生用に訳されているやつね。)読んだ気になってたんだけど、まぁ年月を経て読んでみるとまた違った見え方がして面白いというか。
多分、小学生の頃は「ちょっと怖い怪談昔話」くらいに読んでいたと思う。もっと子供を怖がらせる手法にとんだ現代の怪談話はもっとたくさんあったから、雨月物語が特別怖い話なわけではなかった。
今読んでみるとどうだろう。村上春樹になぞらえて考えながら読んだのもあるかもしれな