上田秋成のレビュー一覧

  • 雨月物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

    Posted by ブクログ

    貧富論が読みたくて購入したが、他の短編のいずれも非常におもしろかった。
    怪談寄りだけど、どれも読後に寂しさや無常を感じます。

    物語の元は中国古典等からのようですが、上田秋成の思考や書かれた時代の思想が入っていて興味深い。
    全文が載っている方も読んでみようと思う。

    0
    2026年08月28日
  • 雨月物語

    Posted by ブクログ

    2026年読みたい本の1冊目です。まず、訳がなくても古文をちゃんと読めるかが心配であったが、注がしっかりしていて、杞憂であった。
    序文にあるように、たしかに嘘とわかるのであるが、なかなか興味深い話ばかりであった。決して、嘘だから読むのを止めようとは思わなかった。そこが雨月物語が現代まで読み継がれている所以かも知れない。
    個人的には、秀次や保元物語の話も良かったが、蛇の女の話が面白かった。人それぞれだと思う。ご一読を。

    0
    2026年03月24日
  • 雨月物語

    Posted by ブクログ

    だいぶ昔だが、溝口健二『雨月物語』を見て甚く感動したのを覚えている。艶かしくねっとりとしたカメラワーク、男女の愛の美しさと卑しさを捉えた構成に衝撃を受け、小津安二郎と溝口健二の映画を交互に見る生活をしばらく続けた。授業でも習ったはずなのに、この映画に原作があることを完全に忘れたままで。

    映像化された作品を先に見てしまうともう読んだ気になってしまい、あえて原作を探して読もうとしなくなってしまう。コーマック・マッカッシー『No Country For Old Men』なんかも、コーエン兄弟の映画を先に鑑賞し、原作を読んだのはその一年後のことだった。ちゃんと原作も読まなきゃダメだよなぁなんて思いながら、ずぼらな性格で後回しにしてしまうのである。『雨月物語』なんて一年後どころか数年後の今になってようやく手をつけた。まあでも、読まないで終わるよりマシだろう、と言い訳をして根本的な問題と向き合うことから逃げた。

    ようやく読んでみて思ったが、溝口バージョンと原作ではかなり空気が違う。溝口健二の場合、原作のうち二話のストーリーを混ぜ合わせた上で外文の要素を注入し、溝口流に仕上げた脚本になっているので、彼のオリジナル作品と言ってよいかもしれない。好きな監督を三人言ってみて、と聞かれたら「ミゾグチ、ミゾグチ、ミゾグチ」と答えるほどには溝口健二が好きなので、原作改変についてとやかく言うつもりはまったくないし、むしろ原作のうち、女性の神秘的な強さを抽出して映像化した点はさすがだなぁと、改めて彼のセンスの良さに驚かされた。

    さて、ここからは原作に立ち返って論じていこうと思う。九つの物語からなる『雨月物語』は、校注者や溝口が着目した「女の強さ」が主題となっているとは言い難い。むしろ漢籍に見られるような「義」と「 中道」の精神が全話において貫かれていると言える。義と中道といえば、やはり儒教的精神だが、「菊花の約」のような理想的な儒者的価値観が貫かれている話もあれば、「貧富論」のように実利に目を向けた話も含まれており、一概に儒者による作品と決めつけることはできない。司馬遷『史記』の根底に流れる精神を意識したかのようにも見えるが、「夢応の鯉魚」のような神秘的な情景を描いた箇所も随所に見られる。漢籍だけに依っているかと思えば、「蛇性の淫」にて「よきひとの よしとよく見て よしと言ひし 吉野よく見よ よき人よく」という『万葉集』の歌に言及している場面もあり、日本的な美の価値観も盛り込まれていることがわかる。つまり、国学の知識をふんだんに用いて練り上げた雅な世界観を、神秘的な描写で豊かに彩り、根底に漢籍由来の骨太な思想をおいて支えたのが『雨月物語』という作品なのだ。同時代の浮世草子や読本、後の時代の滑稽物などと比べてみると、如何に本作が飛び抜けて秀でているかがよくわかると思う。まさに唯一無二の作品と言ってよい。歴史を超えて多くの作家に愛される理由がよくわかる。独特の感性とそれを裏打ちする確かな教養がなければ、時の洗礼を乗り越えることはできない。上田秋成は、恐ろしいことにその二つを持ち合わせていたのである。

    これだけの傑作、あまたの人々が評価してきた作品をいちいち細かく一話ずつ解説していくのもヤボな気がするので、物語に関する批評はこれくらいにしておこうと思う。それよりも、「岩波文庫版『雨月物語』」がどうだったかを伝える方が、一素人読者の感想としては重要だと思う。

    結論としていえば、大変読みやすかった。注釈の入れ方が的確で、学校教育で習う文法や単語知識さえあれば読めるようになっている。無駄や抜けがほとんどない。さらに本編導入にて全話の要約を載せてくれているので、本編に入ってからも話を追うのに苦労することがない。安心して文語の美しさを堪能しながら物語世界に入っていけるようになっている。そもそも江戸中期に入って書かれた作品なので読解にさほど困難はないが、やはりここまで手を尽くしてくれているのはありがたい。これさえあればわざわざ現代語訳を読まなくても良いと言っても過言ではないだろう。作品の随所に漢籍に関しての素養が必要とされる部分も多くあるが、そこもしっかり解説を入れてくれているので、読むだけでどんどん教養が身についていく仕掛けになっている。まさに私のような無学無教養の人間にぴったりの本だ。

    江戸文学に興味がある方、どこかで『雨月物語』に興味を持った方、怪異や歴史に興味のある方、是非岩波文庫版の『雨月物語』を手に取って欲しい。これほど原文で読んでもらうために手を尽くしてくれている本も珍しいだろう。有難いものは、しっかり利用していかなければならないなと思った。


    0
    2026年02月02日
  • 雨月物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

    Posted by ブクログ

    暑苦しい夏に少しでも涼しくなるようにと思い、読んだ。中国や日本の古典から着想を得た、怪奇な物語の数々。愛憎半ばする人情物語。現代語訳と原文が繰り返し出て来て、内容を理解しながら、原文をリズム良く読めるようになっているのが良い。

    0
    2025年08月17日
  • 新版 雨月物語 全訳注

    Posted by ブクログ

    どの物語も、あの世とこの世の淡いで起こる事象を描いている。
    昔は現実にこのようなことが起きたのではないか。そう思わせる。
    「吉備津の釜」はまさにホラー。めっちゃ怖かった・・・

    0
    2024年09月16日
  • 雨月物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

    Posted by ブクログ

     古き良き怪異の物語。9つからなら短編集でありますが、そのどれもが不思議で、とても美しい物語です。なかには恐ろしい描写もありますが、個人的には情緒溢れる雰囲気と人の心理描写がとても素敵に思いました。現代訳もついていて非常に読みやすい一冊です。

    0
    2024年08月05日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    1冊全部読めて無いのですが、非常に面白かった。
    情緒がすごい
    和歌めっちゃ詠んできます
    短編なので読みやすいのもgood!

    0
    2020年11月04日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    初めて読んだのは10年ほど前で、今回読み返すのは恐らく3回目。古文に精通しているわけではないが、幻想的な世界観、流麗な文章には惹きつけられるものがある。現代語訳も世界観を守りつつわかりやすい。訳者あとがきも味があってよい。

    0
    2020年01月05日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    江戸時代に出版された、怖い話・不思議な話の短編集。
    9話すべての現代語訳が前半にあり、各話の最初にテンポがよくて短いあらすじが紹介されています。原文もちゃんと後半に収められていて、この構成がとてもいいです。さらっとしたあらすじのあとで物語を読んで内容を楽しんで、それから読む原文は、筋が分かっているだけに内容がすんなり入ってきながら古文の響きやリズムを楽しめます。
    他の出版社のバージョンは読んでいないですが、ソフィア文庫おすすめです。

    0
    2016年05月11日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    日本の心霊、怪奇ものの先駆けと一般的に言われているけど、ちょっと違うと思う。あえて表現するなら「感動的奇談」かな。とにかく怖いけど楽しい。

    0
    2015年12月27日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    私が読んだのは、『日本の文学 古典編 雨月物語 42』ほるぷ出版であり、角川ソフィア文庫ではない。しかし、ほるぷ出版の方は登録しようにも、見つからなかったので代わりにこちらで登録した。
     
    上田秋成によって、1776年(安永5年)に刊行された、怪異小説であるが、「白峰」「菊花の約」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「仏法僧」「吉備津の釜」「蛇性の釜」「青頭巾」「貧富論」と、確かにどれも不気味な話であった。

    私のお気に入りは「青頭巾」で、日本の昔話独特のおどろおどろしさを感じることができ、また、何かに固執し続ける人間の執念のすごさを感じることができる。

    0
    2015年01月11日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    平野啓一郎の『一月物語』(タイトルが本書のパロディ)つながりで読んだ。
    短編集。各話にオバケやモノノケが登場する。現代語訳は不自然なところがない。

    「義を尽くさない軽薄な人とは交わるな」「妻を大切にすべし」「浮気をするな」「美しい女に溺れるな」「仏道をはずれるな」「根拠なくお金をさげすむな」などのわかりやすい教訓が各話に込められている。

    蛇の化身の美女が登場する「蛇性の婬」が好きだ。
    心のどこかでは罠と知りつつ美女に惹かれ恋に溺れるのは哀しい男の性である。

    0
    2013年07月22日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    原文→現代語訳→原文で一巻ずつ、丁寧に読み進めたいな…そんなトキメキを最初の『白峯』ですでに感じていました。美しく深く、でもギョッとするような中に軽やかな感じが入り混じり、久しぶりにイマジネーションを刺激された。どのお話も良いけど『菊花の約』は特に印象深い。命を捨て信義を守る。私には眩しい。現代でも、私でも、できるはず。何を大切にし何を選ぶか、自分で決められる。他人に笑われるとしても…きっと…

    0
    2013年06月01日
  • 雨月物語

    Posted by ブクログ

    とても読みやすかったです。
    おどろおどろしいものはおどろおどろしく、美しいものは美しく。
    でもおどろおどろしいものは美しくてもおどろおどろしいままで。でも騙されて。
    いや、勝手に騙された気になってるだけなんだけど。人の欲が織りなす悲しいお話。

    0
    2013年05月05日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    端正な和漢混交文。迫真の情景描写。全編にあふれる人間の愚かさや情への慈しみを込めたまなざし。日本発の怪奇小説の元祖という枠を超えた、奇跡の古典。このような書物を原語で読み味わえることの幸せ。

    0
    2009年10月04日
  • 雨月物語

    Posted by ブクログ

    現代語訳はついていないが、脚注が豊富でわかりやすく各ページ下部に配置してあること、原文自体が和漢混淆文でそもそもそこまで難解ではないことから、無理なく読み進められる。

    古典文学を現代語訳を使わずに通読したのははじめて。「夢応の鯉魚」の説話っぽさや。「蛇姓の婬」の執拗な感じが好み。
    解説を読むと、上田秋成が今まで書いていた浮世草子から読本にスタイルを移行させて『雨月物語』を著したとあり、両者は形式こそ異なるが、視点は共有するとあった(女性キャラクターの造形などに)。
    おもえば現代でも作り物感の強いホラー映画って、コメディを見ているように笑えてきちゃったりもするもんな、と俗物的な現代人的発想でなっとくしたり。

    0
    2024年05月18日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    ある男が素直で心優しい妻と暮らしていた。ある日、男は「俺は京に出て商売で成功するのだ」と言って家から出ていった。その後、男は京都で暮らしはじめ、1年、2年と経っていった。男は「妻はもう死んでいるだろう」と考え始めていた。7年経ったある日、男は妻の元に帰ることにした。妻は生きており、痩せ衰えた姿になっていた。妻は男の帰りを喜んだ。翌朝、男が起きると、妻の姿がどこにもない。家は荒れ果てた廃墟に変わっていた。浅茅が宿。千葉県

    和歌山(紀の国)に若い男がいた。大雨の日、絶世の美女に出会い、一目ぼれ。家に帰った男は女の夢を見て、夢の中で女と交わる。次の日、女の家に行くと、夢で見た家と同じだった。男は”あの美女は化物ではないか”と疑いつつも夫婦になり、現実の世界でも交わる。ある日、旅行先で一人の老人があらわれ、美女の正体は蛇であると見破る。美女だった蛇は姿を消す。若い男がその後、別の女を妻にしたことを知った蛇は、男の妻に憑りついて殺してしまう。蛇性の婬。

    貧福論。金は本来倫理とは関係ない。経済は国家の基本である。富める者は必ず心がねじけている、富める者の多くは愚者である、というのは間違い。孟子の言うように、一定の生業・財産のないものは定まった善心もない。

    春の夜の闇。妖しくも美しい。

    上田秋成『雨月物語』1776 読本
    ※溝口健二。映画、雨月物語。

    *********************

    京の水で顔を洗うと、色白になるって話だぜ。十返舎一九『東海道中膝栗毛』1802
    〇弥次郎兵衛。50歳。軽薄。教養はある。絵を描く。神田八町堀に住んでいる。喜多八と江戸から東海道を通って伊勢神宮、京都、大坂を旅する。
    〇喜多八。30歳。奉公先で女主人を口説いて解雇される。弥次郎兵衛の家に居候中。巡礼中の若い娘に夜這いをかけようとしたら、間違えてヨボヨボの婆さんの部屋に入ってしまう。

    賢い者、愚な者。邪しまな者、正しい者。貧しい者、豊かな者。貴い者、賤しい者。だれも風呂に入るときは裸になり、産まれたときのように自然の姿になる。欲垢と梵悩を洗い清めれば、旦那も下男もどれがどれやら見分けがつかない。式亭三馬『浮世風呂』1809

    滝沢馬琴『南総里見八犬伝』1814

    ※化政文化

    0
    2025年05月03日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    現代語訳と原文、解説がセットになってるので、おても読みやすかった。原文と比較すると、現代語訳ではかなり文章を補ってくれてるのが分かる。

    内容も、全体的には怪奇寄りだけど、全編パターンが違うので飽きない。1篇が短いのも◎。

    0
    2020年11月30日
  • 改訂 雨月物語 現代語訳付き

    Posted by ブクログ

    安永5年(1776年)刊行、江戸時代中期の不思議短編九編現代訳版。讃岐に流された崇徳院天皇の怨霊、映画「雨月物語」の基になった浅茅が宿。能の演目道成寺にも登場「蛇性の婬」。栃木大平山大中寺を舞台人間の肉を食う坊主「青頭巾」など。ホラー要素よりも当時のもののけ感をファンタジー的に読めました。

    0
    2020年11月26日
  • 雨月物語

    Posted by ブクログ

    この本を読んだ人の少なさにびっくりしちゃった。

    いちからこんな話をたくさんつくれるなんてすごいなあ〜ってやんわり思っていたら、わりかし原本があるみたいで「あ、そなの」ってなってしまった。ただ、逆に教養に溢れていると捉えればポジティブに生きられる。

    初の文語、古文の文章で大挫折するかと思ったら、意外とするする読めた。

    『夢応の鯉魚』がいちばんオシャレ。ラストの絵の中の鯉は湖に泳ぎ出してしまったから残っていないんだ、みたいな部分に「あひゃ〜〜」となってしまった。良すぎる。

    基本的に男と女の云々だっただけに、『夢応の鯉魚』がひときわ目立っていた。

    0
    2020年11月23日