難波江和英のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの更新に、まったくもって最近は本を読む暇などなかったことを思い知らされる。あー、発狂しそう。本読めねーような生き方私には向いてない。
で。感想。
これはよかった。
初めのソシュールがちょっと難解で挫折しそうになったんだけども、映画の話につなげて思想のあり方を紹介してくれたりしてることが、おばかなわたしでも非常にわかりやすい構成になってた。ありがたい。こういう本が読みたかった。
フーコーさんの思想を主に読みたくて買ったんだけど、最後のサイードさん、良かったわ。あれ?これって新近効果?ま、いっか。
わたしは、わたしのままで生きてるとか思ってた、無知な20代前半。でもなんか、 -
Posted by ブクログ
・現代思想のパフォーマンス
P326
フロイトの例によれば、「母親の不在」という幼児にとっては極めて根源的な喪失経験に動機づけられて、幼児は記号操作の習得のやむなきにいたる。
母親と想像的に癒合していた幼児にとって、母親との離別の苦痛は耐えがたい。幼児にとって想像的他者の不在が「名づけえぬもの」であるかぎり、それがもたらす喪失感は世界の崩壊に等しい。
しかし、「母の不在」を言い表す記号を幼児が獲得し、その記号が他者に認知され、理解されるようになると、「母の不在」という経験のもたらす苦痛は緩和される。苦痛は、苦痛そのものであることをやめて、苦痛の記号になるからである。「母が存在しない」と幼児が -
Posted by ブクログ
ソシュール、バルト、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカン、サイードの6人の思想についての簡単な解説と、その思想をじっさいに用いて小説や映画を読み解いた本です。ソシュールの章では『不思議の国のアリス』、バルトの章では『エイリアン』、フーコーの章では『カッコーの巣の上で』、レヴィ=ストロースの章では『お早よう』、ラカンの章では『異邦人』、そしてサイードの章では『エム・バタフライ』が、それぞれ取り上げられています。
バルト、レヴィ=ストロース、ラカンの章を内田樹が担当しているのですが、その解説のこなれ具合はさすがです。もう一人の執筆者である難波江和英の文章も、けっして読みにくいということはなく、む -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
本書の目的は、現代思想の概説ではなく、現代思想をツールとして使いこなす技法を実演(パフォーマンス)することである。
この一冊には、現代思想に貢献した六人の思想家について、案内編と解説編と実践編が含まれている。
[ 目次 ]
1 フェルディナン・ド・ソシュール
2 ロラン・バルト
3 ミッシェル・フーコー
4 クロード・レヴィ=ストロース
5 ジャック・ラカン
6 エドワード・サイード
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後 -
Posted by ブクログ
ー わたしたちが文章を書くとき、しばしば「言いたいこと」は言葉にならず、逆にそんな考えを自分が持っていると思いもしなかった言葉が頁を埋めていくことがある。「言いたいこと」と「書かれたこと」が過不足なくきちんと対応するということは原理的に起こらない。わたしたちはつねに「言い足りない」か「言いすぎる」かどちらかなのである。
こういうことが起きるのは、おそらく「書く」という行為が、あらかじめ頭のなかにできあがっている抽象的な「言いたいこと」を「言葉に変換する」という単純な行程なのではなく、「言いたいこと」がせき止められ、「言う気のなかったこと」が紛れこんでくる不随意なシステムだからである。 ー