日垣隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
-凶悪犯罪は「なかったこと」にされ被害者家族を苦しめる「責任能力」とはいったい何か。その問いを発してから答えらしきものに辿りつくまで、私は、およそ10年の歳月を費やすことになる-
我が国の法廷がいかに被害者不在であるか。刑法三九条二項の削除を主張する著者が、心神喪失により無罪や減刑となった数々の実事件を、公判はもとより報道までも深く取材し、現行法の不条理を問う。
第三回新潮ドキュメント賞受賞作品。
刑法三九条といえば、ミステリー小説でも題材としているのをしばしば見かける。
以前から精神病と診断されているのならともかく、普段日常生活を問題なく送ってきた人間が犯行時のみ錯乱していたという理由で罪に問われないというのは納得できる話ではない。私も常々平常心で人が殺せるほうが恐いと思っている。さらには薬物や泥酔などでも適用されるなどというのは理解不能である。
しかも精神鑑定のなんと主観的なことか。自分の行為に責任を負う能力無と判断された人間が、その後何のホローもされない。このような現状は、かえって偏見を生むのではないだろうか。
本書が書かれてから年数がたっているし、世論も異を唱える人が増えてきているということもあり、今はここまで乱発はされていないように思える。もっともそれだけ理解不能な凶悪事件が増えているという憂慮すべき側面もあるのだが。