郵政民営化で上場前の日本郵政の3社について大学教授の著者が解説した一冊。
民営化の流れから郵便事業の誕生からこれまでの流れ、そして郵便・銀行・保険の3事業の現状とこれからの見通しについて、そして海外の郵便事業の行う会社の取り組みなど郵便事業について知ることが多くあり読んで勉強になりました。
全国に約2万4000箇所という圧倒的な店舗数があり、そのなかで様々なサービスの提供を行ってきた同社がネットの台頭などにより郵便物の減少や他金融機関との競争など苦戦を強いられているなかで民営化によって市場原理のなかで差別化を図り競争力を上げること、そして上場によって多くの人の監視のもとで緊張感ある経営を行うことが求められていることが本書でわかりました。
あと民営化前は規制が多くあり、簡単に実現ができなかったことが住宅ローン導入などのようにサービスも多様化でき、ますますサービスが拡充していくことも感じました。
また、郵便や金融などの各種商品の紹介で自分が知らないもので取り扱いがあるものや誕生までの経緯
を知れた部分は興味深いものでした。
不動産業に関しても一等地の開発で同社だけではなく、日本社会が好循環する期待を持ちました。
そして、海外の郵便事業会社の取り組みの紹介は非常に詳しく書かれており、民営化や上場した会社のその後が書かれており同社の今後に参考になるものであるとともに世界的にも郵便量が減少している現実があることも提携の多さなどから理解することができました。
上場前の出版ということでその後も低迷が続いていることは否めませんが、公共事業としてのユニバーサル・サービスの観点から全国津々浦々誰もが同じサービスを享受できるというところは維持しながらも新しいサービスを国内だけでなく海外にも目を向けて事業を提携して行っていくことでグローバルカンパニーとしての同社の明るい未来に期待が膨らむ一冊でした。