吉富有治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪府と大阪市を統合する「大阪都構想」が、住民投票の結果、僅差で否決された。本書は、ジャーナリストである著者が住民投票前の2013年に著したものであり、橋下徹氏を中心とした大阪維新の会がめざす大阪の将来像について私見を述べている。
結論から言えば、著者は大阪都構想に懐疑的な立場だ。区割り、財政調整、法的な課題などのハードルに加え、大阪の経済が浮上するきっかけになる点についても疑問視している。個人的には、非常に的を射た意見だと思う。
確かに大阪府と大阪市の二重行政の解消は必要だ。しかし、住民生活に多大な影響を及ぼすであろう「大阪都」にしてまで行う必要はあるのだろうか。二重行政となっている分野ごとに、その無駄を解消するスキームを作っていけば良いのではないだろうか。
ただ、だからと言って橋本氏を一方的に否定はできないだろう。著者も触れていたように、橋下氏の評価は分かれると思う。少なくとも、大阪都構想はメディアにも多く取り上げられ、大阪市の住民に都市のあり方を問題提起したと言える。また、大阪府の財政がいかに危機的状況にあったかについても、職員にも問題意識を持たせることができただろう。良くも悪くも世論に訴えかけた橋下氏の政治手法だからこそ、多くの人が考えるきっかけになったのだと思う。
2018年9月現在、万博とIRの誘致をめざしている大阪府と大阪市であるが、こうした取組みが大阪の経済浮揚のきっかけになるのか、果たして住民生活が良くなるのか、本書を読んで考えてみるのも良いかも知れない。