有馬頼義のレビュー一覧

  • 兵隊やくざ

    Posted by ブクログ

     有馬頼義の『兵隊やくざ 新装版 貴三郎一代』を読んでいるあいだ、私は何度か、冬の乾いた空気のことを考えていた。理由はうまく説明できない。ただ、この物語に流れている時間が、そういう空気を必要としているように思えたからだ。
     貴三郎は一本気な男で、しばしば暴力に訴える。だがその暴力は、どこか壊れかけのストーブのように、不器用で、しかし確かな熱を放っている。それは弱いものを守ろうとする衝動であり、義侠心と呼ばれる種類の感情に近い。彼は優しさを別の形に変換する術を知らなかっただけなのかもしれない。拳が先に出るのは、言葉が追いつかないからだ。
     有田はその逆の位置に立っている。理屈を持ち、考え、距離を

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    2026年02月08日