菅聖子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレパンの缶詰とサブタイトルにあり、自分も買ったことあるブランドかなと思い手に取り。
家の備蓄用に購入したパンの缶詰が期限切れしてしまったので購入し直そうかなと思っていたところでした。
まさにこの本の企業「アキモト」のパンでした。とても美味しくて、ふわふわと甘く缶詰と思えないクオリティに最初は驚きましたが、どんな発想でパンの缶詰を考えたのか、どのような努力や苦難があったのか本書を読むとよくわかります。
「甘すぎるんでは」と思っていましたがわざと甘くしているということも本書を読んで知りました。
確かに被災した際、傷つき気持ちが折れている中でこの甘いふわふわしたパンを口にしたら元気がもらえるかもしれないと納得しました。(p135)
今の若い世代の人は食品の期限切れを気にしつつ育っているから、期限の切れたものは食べてもらえないという意味の話が出てきます(p91)
自分の近辺にも一日でも期限が切れたらその食品は口にしないという人がかなりいるので「そういうものなのか」と逆に驚きました。自分は自分の鼻と感覚で確かめて期限を気にせず食べるのですが、今はそういう人はかなりの少数派なのだと知りました。(ちなみにそれでお腹壊したり具合悪くなったことは一度もありません)
アキモトのパンは何度か買ったことがありますが救缶鳥という仕組みは知りませんでした。
よく考えられているとともに、その仕組を考え稼働させるまで大変だったろうなと。先代や社長がすごいのはよくわかりましたが、ここにはあまり書かれていませんが周りの家族や従業員もなかなかついていくのが大変だったのではないかと感じました。
でも確かに、本書に書かれているように人に恵まれて仕組みが完成したのだなと「思いの力」の強さを感じさせられます。
商品を宣伝するためにメディアを利用するに当たり「社会性というふりかけ」をかけ「ストーリー」を加えてアピールする(p63)、という発想をしたことは社長に記者経験があったためとのことですが、このやり方は他の一般の人でも何かを知らしめたいとき使えるヒントになるのではと思いました(やれるかどうかは別ですが)
パンの缶詰が、世界に広まるどころか宇宙にまで行っていたことには驚きました。いやほんとにすごい。
p121で利益をきちんと出すことで継続的な支援ができる、ボランティア活動で商売っ気を出すとすぐに「人の不幸で稼ぐのか」というような非難をされるということについて書かれています。これは結構重要なことなのではないかと思いました。
継続的支援や活動というものをボランティアに頼るというのは間違っているんでは、と自分は常々思っていました。
近頃なにかイベントごとというとすぐに「ボランティアで活動できる人」という募集を見かけますが本来ボランティアというのは、災害や人名救助などの緊急の場面で人を集めて応急処置的にその現状を凌いでいくための人材だと思うので、継続的にその場所で必要な人材ならばきちんと対価を支払ったり、利益を出すという方向にするべきなのではないかと思っていました。
最近の(◯博などでも)スタッフをボランティアで賄おうとしていましたが、人の善意を「タダで使える労働力」と募る側が捉えているのではないかと思えてなりませんでした。
行政が何かしようとするとき、このところすぐに「ボランティア」で人を集めようとすることに自分は以前からとても嫌悪を感じます。(自分だけかもしれませんが…)
(p150)会社の危機が思いも寄らない方向から救われる状況ができて、注文の電話がガンガン鳴り始めるところを読んで思わず涙が出ました。
(p119)批判というのはまだ改善できる余地があるということすごく前向きな言葉です。
(p173)そうだ、自分も最初セシールから買ったんだった、と思い出しました。
最近確かに他のメーカーのパンの缶詰見るようになりましたが、アキモトのパンを買い直そうと思います。 -
Posted by ブクログ
かなり前の話になるが、一時期、東京の街中で『京都市東山知恩院前上ル 一澤帆布製』というタグがついたバッグを持った人をよく見かけた。私が気付くくらいだから相当流行っていたのだろうし、私の目に留まるくらい目を引くものだったのだろう。布製のバッグが欲しいなと思った時に思い出して探してみたのだが、『信三郎帆布』というタグのものも出回っていて「いろいろあるのかー?よくわからんな~。」と思って買わずじまいになってしまった。有名だったらしいお家騒動も有りがちなことかと思いあまり興味がなく今日まできてしまった。興味がない、というのは全く恐ろしいことである・・・。ひょんなきっかけで目にしたこの本で、ああ、あのバッグ!と思いだし、今回は興味を惹かれて読んでみた。ひえ~、こんなことになっていたのねと、あまりの理不尽さに腹立ち、京都の人たちの懐の深さ、情の厚さ、その粋に心を打たれる。
とかく正義はどこに?と思わされるような世の中である。信念を貫き、逆境に負けずに戦い続けた人たちに、心からの笑顔が戻って、本当によかった。
京都のお店に、いつか必ず行ってみようと思います♪ -
Posted by ブクログ
ネタバレ一澤帆布といえば、京都では知らない人がいない帆布の
カバン屋さんです。
その一澤帆布の先代が亡くなり、遺言状が2通出てきたことから
始まった、遺産・後継者争いの裁判の話は、皮肉にも一澤帆布の
名前を全国的に広めるきっかけになりました。
私は先代が亡くなった年にはまだ京都に住んでおり、翌年に
離れたために、実際に裁判が始まってからの詳しい経過や
地元の運動、空気などを感じることができませんでした。
裁判の最初の判決は、素人が考えてもおかしなもので、
きちんと遺言書の真偽を調べた上での判決とは思えず、
法の裁きの場で、こんな不当な決定がなされるんだ・・・と
愕然としたものでした。
裁判に負けて、今まで通りの仕事ができなくなっても、
工房やお店がとられてしまっても、諦めなかった信三郎さんご夫妻と
社員たち。新しく「一澤信三郎帆布」を立ち上げ、新たな裁判も
行われていきます。
最終的には、2004年年末の判決から一転、08年11月に
信三郎さん側の逆転勝訴となり、長男側の上告が最高裁に
よって棄却されたことで勝訴は確定するのですが、そこに
至るまでには、信三郎さんご夫妻、一澤帆布時代からの職人
さんや社員さんたち、信三郎さんを応援する会の存在や、
第2の遺言書の真偽に関して偽筆を立証しようと奔走した
有識者たち、全国にいる一澤帆布カバンの愛好者たち・・・。
多くの人が信三郎さんたちを応援しました。
どうして信三郎さんのまわりにこれだけ親身になる人たちが
集まったのか、それはこの本を読むと納得できます。
手間を惜しまず、いいものを誠実に作り続けるための努力ー。
作ったものに対する製造責任を持ち、メンテナンスを厭わない姿勢。
製造直売にこだわり、客と売り手が見えない商売はしないスタイル。
この不況下においても、スタッフのほとんどが正社員!
理想的だなぁと思いました。素敵過ぎる!
古きよき日本の「ものづくりの原点」に触れられる1冊です。
年末年始の帰省で、久しぶりに信三郎帆布のお店に
行こうと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ京都では有名すぎる かばん屋 一澤帆布。先代が亡くなり 遺書が二通見つかり 跡継ぎではない長男が裁判で勝ち実権を握ることに。
数年前に騒がれた相続税争いの本があることを日経新聞で知り読んでみました。
友達が持っていた シンプルだけれどしっかりとした作りのかばん。私も欲しいと思っていましたが 丁度裁判の時期と重なっていたようで 当時のネット検索では 信三郎帆布 と一澤帆布と両方でてきて良く判らず 信三郎帆布では 新たな環境で頑張ります、と笑顔の人たち。
どこで購入していいやら判らずそのままうやむやになってしまっていましたが、この本を読み納得しました。
筆跡鑑定が ここまでいい加減なものなのかというのが一つ。警察官OBが筆跡鑑定をしているケースが多いみたいですね。もう少しその辺りを変えていかないと、と考えさせられました。
もうひとつが 会社は人が作るものだ、ということ。
のっとりのような形で社長になった長男に 社員は誰一人としてついていかなかった。
一緒に働いていた三男 信三郎と共に会社を去り 新たに起業していくことを選んだ。
70人といえばちょっとした 中小企業。その社員が全てついていく。信三郎さんの 今までの仕事ぶりが判る話でした。
改めて ネットではなく、かばんを見に京都まで行きたくなりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
「泥沼」「確執」「骨肉の争い」京都の老舗ブランドで何が起こったのか。
一度はすべてを失ったかに見えた経営者夫妻。
彼らがスタッフと一丸となって新ブランドを立ち上げるまでを綿密な取材でまとめたノンフィクション。
手間ひまを惜しまずに作られる「信三郎帆布」の全てを紹介。
[ 目次 ]
第1章 お家騒動(振り向いたらあかん 2通の遺言書 ほか)
第2章 信三郎帆布の挑戦(潔う捨てましょう 新しいブランドネーム ほか)
第3章 3代目信夫が語った「一澤帆布物語」(初代、喜兵衛はハイカラ男 京都バンドと華やかな人脈 ほか)
第4章 帆布かばんができるまで(帆布のにおいの中で 大企業との落差に驚く ほか)
第5章 小さくてもオンリーワン(夢やないんやな 筆跡鑑定ふたたび ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
この本を手にすることができて本当にうれしい。
でも、それだけで終わってはいけない。僕らはこの本を読めることに感謝すべきである。
西の都の老舗で勃発したできごと。
遠く離れた東の都にいる僕らは、このできごとを直接見聞することはできないし、新聞を始めとするマスコミの報道は乏しくかつ断片的なものであった。
インターネット情報は多々あったものの、何を信じていいかわからず、僕らの勝手な心配は募るばかりであった。
2008年11月の逆転勝訴という判決があったからこそ、僕らはこの本を目にすることができる。
裁判を勝利に導いた(協力した)すべての人に感謝したい。
その頃、僕らが知りたかった真実がここにある。しかも僕らの期待を良い意味で裏切るように、赤裸々なまでの情報公開。僕が気にしていたこれからの方向についても触れられている。
綿密な取材に基づくノンフィクションではあるものの、作者の筆力と描かれている信三郎夫妻の人柄によるものだろうか、ドロドロした感じになっていないのはさすが。
先代である3代目、信夫氏のインタビューや、かばんが作られるまでの工程も帆布が好きな人だけでなく、たくさんの人に読んでもらい、京都に一風変わった「かばんや」があることをもっと多くの人に知ってもらいたい。 -
Posted by ブクログ
先代の信夫の死が巻き起こした「お家騒動」の記憶も新しい一澤帆布、その後を追ったルポルタージュ。信夫の三男・信太郎とその妻、職人たちと、彼らを支える京都の人々の人間模様を背景に、裁判での勝利までを追っている。
なお「一澤帆布」という会社は、今年7月8日から営業をストップしており、分家した「一澤信三郎帆布」が事実上正式な後継会社となっている。そういえば今夏、サントリーが一澤帆布とタイアップした商品(プレミアムモルツ六缶が一澤帆布プロデュースのバッグに入ってるやつ)を出していたのを見て(買って)「え、一澤ってこんなことやるとこだったっけ?」となんとなく訝しく感じたものだが、このビールが出たころには「一澤帆布」はすでに潰れていたことになる。だからどうという話でもないが。
本書が朝日新書から出たのは、信三郎本人が元朝日の記者だったことに起因する。信三郎サイドから史実を明らかにするという目的に異論はないが、裁判の性質上、記述の公平性を保つためにも他の出版社から出すべきではなかったか(少なくとも、妙な疑いを持たれないためには)。敗者側の弁も訊いてみたい。