志摩園子のレビュー一覧
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リトアニアからバスで北上してバルト三国の都市を回ったので読んだ。
個人的には20世紀の話をもっと知りたかったが、そもそもバルト三国の話をこれ一冊にまとめるのはとても難しいのだと思う。
とても印象に残ったのが筆者のあとがきの部分である。彼はラトビアが(略)の意味で最もバルト的な国だと言っている。私はこれに思い当たる節があった。私のように三国を連続でまわると、嫌でも国々の差異が見えてくる。その一つは、ラトビアはリトアニアとエストニアと比べて戦争や占領に関わる博物館や施設が多いことであった。そしてまさにこれが筆者の言っていることと符合したように思えた。 -
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常に3国として一括して語られる国々だが、それぞれの歴史の違いを改めて感じる。ハンザ同盟、リヴォニア騎士団、ポーランド・リトアニア連合王国、スウェーデン、プロシア、ロシアの支配下、そして1918年のロシアからの独立、1940年のソ連統合、1991年のソ連邦からの独立への動きなどの動きが生々しく伝わってくる。北欧との関係が深いエストニア、ドイツとの関係深いプロテスタント国ラトヴィア、そしてポーランドとの歴史の共有・対立という歴史があり、ユダヤ人を多く抱えていたカトリック国リトアニアへの理解が深まった。一方、3国に残ったロシア人の国籍問題など3国に残ることになった人権問題があることは気が付かなかった
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Posted by ブクログ
やや地味な題材ということもあり、「物語」シリーズにしてはあまり物語性は強くなく、年表に沿って淡々と語っていくというスタイルの歴史本。そういうスタイルも好きなのだが、年代が前後したり、地域が錯綜したりと少し纏めきれていない印象が残ったので★3つとした。
以下本筋から離れてしまうが、読後に感じた所感をツラツラと。
この本を読んで一番考えさせられたのは、(リトアニアは除くが)12世紀のドイツ人都市成立以来、20世紀まで一度も支配階級になることも無く「民族」も「国家」も意識されることのなかったエストニア人とラトヴィア人の「国」が今こうして地図に載っているという点。
「民族による国家=国民国家」と -
Posted by ブクログ
バルト三国の歴史を簡単に概観できる。
あまり注目されない地域であるが、NATO,EUへの加盟も果たし、冷戦後のロシアといわゆる西側諸国との外交上、その担った役割は小さくないだろう、と思い読んでみた。
この本では、バルトが国際関係の十字路であったこと、そしてそれに伴い、ロシアとドイツが競ってバルトでの利権を得ようとしていたことがわかる。しかし、バルト三国を中心に書かれた本なので当然ではあるが、二つの大国がどのような論理でバルト三国を草刈り場としていたのか、あまり伝わってこなかった。
地理的にみて、中欧よりも中央に存在する、しかし、周辺の国というイメージのあるバルト三国。こういう国々から世界の -
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ネタバレ[ 内容 ]
二〇〇四年五月、エストニア、ラトヴィア、リトアニアは念願だったEUへの加盟を果たした。
これまで三つ子のように扱われてきた三国は、なぜ「バルト」と一括されるのか。
その答えは、中世から東西南北の交易の十字路として注目されたバルト海東南岸地域でくりひろげられた歴史の中にある。
周辺大国ドイツ、ロシアの狭間にあって、それぞれの民族のまとまりを失うことなく、二〇世紀にやっと建国した三国の道のりを辿る。
[ 目次 ]
第1章 バルトという地域
第2章 中世のバルト―リヴォニアとリトアニアの成立
第3章 環バルト海地域の覇権争い
第4章 ロシアによる支配の確立
第5章 民族覚醒と国家成立