松尾剛次のレビュー一覧

  • 日蓮 「闘う仏教者」の実像

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    ネタバレ

    日蓮の生涯について綿密な史料解釈の基、要点を抜き出して簡潔にまとめた名著。
    日蓮のゴリゴリに追求していく思想、過激発言と数々の舌禍とも言える困難、その反面驚くほど人間味のある数々の手紙、日蓮という人物のエッセンスが詰まった面白い本だった。
    また、難解な日蓮の仏教思想を噛み砕いて(久々の読書であったのでそれでも難解であったが)丁寧に解説している。法華経とそれに基づく日蓮の思想の骨子を知ることができた。

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    2024年02月02日
  • 日蓮 「闘う仏教者」の実像

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    立正安国論提出の経緯、佐渡流罪、蒙古襲来と祈祷、本門の戒壇、墓輪番などについて、従来とは少し異なるが妥当な考え方が立論されている。

    日蓮の生涯についての現時点での決定版だろう。

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    2024年01月15日
  • 太平記 鎮魂と救済の史書

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    本書では『太平記』の性格を、室町幕府による南朝方の鎮魂だとしています。

    『太平記』における南朝方の登場人物の怨霊の描写は多いです。
    南朝方の死者の無念を慰めるため、後醍醐天皇や楠木正成といったキャラクターが亡くなった後も、引き続きフォーカスするというわけです。

    しかし、延暦寺出身で法勝寺の僧という中立的な立場の恵鎮が書き、足利幕府が検閲しているので、幕府方が悪とされているわけでもありません。
    また、儒教的道義論と仏教的因果応報論とが併存する思想を基調とする以上、南朝方を正義としては辻褄が合わなくなります。

    同じ軍記物である平家物語に比べると、視点の中立性が高いうえに争乱期間が長いためにや

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    2024年11月26日
  • 日蓮 「闘う仏教者」の実像

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    立正安国論を日蓮が書いたことは勿論知っていたが大まかな内容については知らなかった。

    地震や飢饉、疫病などの災害の由来は国家が念仏を採用してるからで、それを捨てて正しい教えに帰依することが災害をなくし、国家を安寧ならしめる道
    このことが立正安国論では説かれている。

    客と主人の問答形式で、構成されているのも立正安国論の私が驚かされた点だ。

    少々行き過ぎた思想(他宗の寺、塔を破壊し、他宗の僧の首を刎ねろなど)また、自分が祈祷しないと国は滅びるなど、中々にぶっ飛んだ思考の持ち主であることは間違いないが、随所に信者への気配り、優しさの心を持ったある意味カリスマ的存在であったと拝察する。

    何度、法

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    2024年11月26日
  • 増補 破戒と男色の仏教史

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    「95人と男色をしてきたが100は超えないようにいたします」と仏に反省文を出す僧侶には笑ってしまう。日本仏教において男色が公然の風習だったことがよくわかる。

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    2024年01月15日
  • 日本仏教史入門

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    オビの日本仏教は何か?ということの答えが十分示されていると思う。
    これほどまでに歴史的にわかりやすく仏教を解説した本を読んだことはなかったので、いろいろな点で勉強になった。
    お寺は江戸時代は行政機関としても成り立っていたのかと。

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    2023年07月18日
  • 日本仏教史入門

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    難解な用語は、ほとんどなく、びっくりするくらいスムーズに釈迦から真如苑まで到達。初心者向きの内容だとすれば、江戸時代のパートが、やや詳しすぎるような気もした。廃仏毀釈のあたりをもう少し詳しく読みたいとも思う。

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    2022年11月24日
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで

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    10月に鎌倉市民になったので読みました。
    本書は鎌倉を「都市」と見なし、12世紀末から16世紀までを描いた歴史書です。
    著者は鎌倉は「鎌倉末期から南北朝期には幕府によって公認された9つの繁華街のみならず山内一帯には建長寺、円覚寺の門前町が、極楽寺一帯には極楽寺の門前町が形成されていたのであり、武士のみならず僧侶や商人・職人ら町衆も多数暮らす複合都市であった」と記述します。興味深いのは各地に小京都があるように、茨城の古河、長野の上田のような小鎌倉が作られたこと。「鎌倉は東国の地方都市のモデルであった。それゆえ都市鎌倉は中世都市を理解するカギとなると考えている」と議論を発展させます。
    鎌倉の本とい

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    2022年10月24日
  • 日本仏教史入門

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    <目次>
    第1章  仏教とは何だろう
    第2章  なぜ仏教を受けいれたのか~飛鳥・奈良・平安時代
    第3章  中世仏教の新しさとは何か~鎌倉時代
    第4章  どのように広がり、定着したのか~室町・戦国時代
    第5章  江戸時代の仏教は堕落していたのか
    第6章  明治維新はどんな意味を持つのか~明治から平成へ

    <内容>
    日本仏教史を専門にしていた著者の、大学退官記念のような本。新書の形態に合わせたコンパクトなまとめになっている。研究が進んで、かつてのように鎌倉新仏教が素晴らしい、という観点ではなく、明恵や叡尊、忍性などの様子も書かれているし、教科書よりも理解できる記述である。日蓮宗の展開や一向宗が広が

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    2022年04月17日
  • 日本仏教史入門

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    日本に広く浸透し、熱心な信者は少なくなってきているとは言え、日本最大の宗教である仏教。
    自分の家も仏教だし、お寺に出かけ御朱印もいただく。(神社もだけど)
    でどれだけ仏教のことを知っているの?と聞かれるとお恥ずかしい限りだったので、この本を手に取った。
    そもそも仏教とは何か、日本が仏教を取り入れた理由は何かから、歴史的な変遷をテンポ良く説明してくれる。
    もともと仏教は鎮護国家のために祈祷する宗教で、その中には個の救いや葬式等もなかった。そして、それを始めたのは、鎌倉時代 官僧から出た遁世僧たちだった。

    明治の廃仏毀釈で、仏教界は大きな危機に陥ったものの、改革運動などで甦ったようだが、若い人の

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    2022年04月14日
  • 太平記 鎮魂と救済の史書

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    通説では鎌倉末期以降の戦記。なのになぜタイトルが「太平記」?本書はその疑問に対して、室町幕府目線で見た「鎮魂書」というキーワードで説明してくれている。たしかに後醍醐天皇をはじめ、登場人物の「人としての陰と陽」を宮方目線で読んでしまうと、その本質が見えてこない。まずこれは歴史書ではないという前提で読むべし。

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    2016年04月17日
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで

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    幕府時代だけでなく室町末期まで政治都市として機能していた鎌倉の変遷を紹介。戦火で失われた遺構についての記述が多いので一般的な観光のお供には向かないけれど、空き地を観て「ここに永福寺があったのかぁ」と浸れるような人にはオススメ。トレラン前に読み切れなかったのでもう一度走りに行かねば!

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    2014年08月05日
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで

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    Lv【初心者】に自信を持ってオススメ!
    ・鎌倉発祥の○○上杉氏の解りやすい系図と解説
    ・室町、特に南北朝・鎌倉府・享徳の乱
    ・ガイドブックと合わせて鎌倉観光に歴史をプラス!

    東国の鎌倉・室町時代を鎌倉という都市を通して解説。でもこんなに解りやすいのに、まさかの永享の法難とかまで載っていて、なかなか面白い。
    単体でも面白いが、別にカラー写真のガイドブックや、観光マップなんかと突き合わせて読むと、倍、楽しめるぞ!

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    2014年04月23日
  • 太平記 鎮魂と救済の史書

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    足利尊氏や新田義貞、楠木正成ら名だたる武将が活躍する『太平記』。
    しかしこの名高い戦記物がめざしたのは、英雄譚と言うよりも、南北朝動乱を生きた、名もなき人人への鎮魂と救済ではなかったか。
    怨霊の跋扈する、不条理にも見える物語世界が内包する『太平記』の精神とは。
    また、登場人物たちの体現する儒教的道義論や因果応報論が担ったものとは何なのか。
    単なる戦記物の枠を超えた『太平記』の世界はの招待。

    [ 目次 ]
    第1章 後醍醐天皇の物語としての『太平記』(三部構成のあらまし 物語を貫く主人公とは ほか)
    第2章 登場人物から読む『太平記』(楠木正成 新田義貞 ほか)
    第3章 『太平記』

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    2011年03月29日
  • 太平記 鎮魂と救済の史書

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    私がお世話になっている先生なので紹介するのは非常に気が引けますが、「太平記の主人公は最初から最後まで後醍醐天皇だった」など意外な新説、「史書は敗者の救済のための書物である」という松尾史書観に基づく分析など、なかなか面白い本です。
    ただ、薄いくせに高い。

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    2009年10月04日
  • 増補 破戒と男色の仏教史

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    014
    春日権現記絵かすがごんげんけんきえ

    14c初め
    中世の興福寺の史料

    紀伊寺主が稚児と寝てる
    枕元には、刀がある

    020
    戒 sila
    律 vinaya

    027

    破戒は懺悔しても許されない

    028

    ブッダが故郷に戻った時
    ブッダの養母マハー・パジャパティが出家を望んだ
    ブッダはなかなか認めなかった

    037

    世界基準に準拠した日本の授戒

    中国人の鑑真が来日

    068
    武田信玄が男色してた手紙が発見される

    藤原頼長1120-56
    少なくとも7人以上と男色

    貴族の間に男色の輪ができていた

    076
    中世の寺院
    関白太誠大臣 一条兼良の息子 
    興福寺大乗院尋尊1430-1

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    2025年04月26日
  • 日蓮 「闘う仏教者」の実像

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    日蓮の伝記のなかで、ここまでコケおろしているのは珍しい。尊敬してないんちゃうかな、と不安になるレベル。それが逆に中立的な文章表現になっていて良い。文学というより学術書に近いかも。

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    2024年06月28日
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで

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    中世の鎌倉。

    鎌倉は行ったことは全くない。

    しかし、中世を語る上で鎌倉は必要不可欠な都市。

    その都市を支配者ごとに記述しているのは、非常にわかりやすかった。

    城郭や、政治には興味があり、知識をもつことが多かったが、都市についてはもっていなかった。

    これから、都市そのものや、都市構造を理解していきたいと思う。

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    2021年10月17日
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで

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     頼朝により幕府が開かれた鎌倉。幕府滅亡後の室町時代には鎌倉府が置かれたこと、幕府将軍義教・関東管領上杉氏と持氏との対立により鎌倉府が一旦滅亡したこと、再興後再び争いとなり、鎌倉公方がその本拠地を古河に移した(古河公方)ことで、扇谷上杉氏が押さえたが、その後伊豆から後北条氏が進出したこと、などは一応の知識としては知っていた。

     本書では、源氏、北条氏、鎌倉公方、関東管領という支配者の変遷とともに中世都市鎌倉の歴史を辿っていく。特に、時代時代に建立された寺院について、その発願者や時代による変遷について多くの知識を得ることができた。

     本書を手にしながら、ぜひ鎌倉散策を楽しみたいものだ。

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    2021年04月12日
  • 中世都市鎌倉を歩く 源頼朝から上杉謙信まで

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    鎌倉時代の鎌倉のみならず、室町時代まで書かれていて面白かった。

    幕府が滅んだからといって、鎌倉という土地の持つ力が失われなかったことがわかります。
    鎌倉府つくるくらいだしね。

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    2012年07月31日