幕末の確実な文書資料はそう多くは無い。特に「女たち」の文書資料あまり無いことは容易に想像がつく。本書は、さまざまな関連資料から、「女たち」の切れ切れのデータを掬い上げて、論考している。著者のエネルギーを賞賛したい。また、幕末の激動期の歴史は、一部の有名な人物のみで作られているわけではなく、当然のこと
...続きを読むながら、無数の無名の人々の流れの中から歴史が作られているわけだが、本書の多くの文書資料の引用からは、その多くの人々の息づく姿が浮かび上がってくる。ただ、この本を理解するには、相当の同時代本を読み、多くの基礎知識を取得していなければ難しいのではないか。少なくとも、幕末の本を数十冊程度しか読んでいない私には、まだまだ読後に不満が残った。