2016年2冊目は、今年没後40年となるアガサ・クリスティの作品!
ではなく。←
第3回アガサ・クリスティ賞の受賞でデビューを果たした推理作家、三沢陽一先生の【アガサ・クリスティー賞殺人事件】です!
BSプレミアムで年末から放映しているポワロ&ミス・マープルシリーズに目下ハマっておりまして、久
...続きを読むしぶりにクリスティが私の中でも来ております!
その割に、新年1発目の推理小説はクリスティ作品ではなく彼女の名前を冠した賞の受賞者の作品っていうね←
【被害者は有栖川有栖】という挑発的な帯の内容を収録した表題作他、4編の短編を収めた本作。
「どうしたんこの作者…有栖川先生と言えばクィーンだろ…」
と、私のようにドヤ顔()で困惑した読者も少なくないのではないでしょうか←
本編感想。
短編毎にチラチラのぞく、主人公の青年が持ってる有栖川作品以外にも、有栖川作品へのオマージュ要素が感じられるのが嬉しい!柔らかい密室の殺害現場とか、月光ゲームを彷彿とさせますよね。
もしかしたら、私が気付けなかっただけで、他の作品も有栖川作品の要素があるかもしれないな〜。うーん、気付けないのはきっと私の読み込み不足なんだぜ…
「蛇と雪」の真相が提示された時に感じた既視感も、何だろうな??
被害者が目にした残酷な「最後に見た景色」の美しさが、すごく懐かしい感じしたんですよね。
有栖川作品に、雪原を舞台にしたトリック何かあったっけ…。
全編に渡って、有栖川作品のような論理的思考に支えられた推理ではなく、閃き・直感に支えられた推理展開だったのが残念といえば残念。
しかも、良心的とは言えない、真相看破後の探偵役の振る舞い…。
この辺は有栖川作品と似ても似つきません。
だけど、表題作で明らかになる主人公の信念を理解した時、「ロジックを駆使した完璧な推理」や「大団円の結末」は、この作品群には相応しくないんだなと納得しました。
でも、表題作で語られる有栖川先生の「清廉潔白」っぷりは笑った〜笑。叩いても何も出ない、かえって白が目立ってくる被害者像って、どんだけ〜(笑)。
◉柔らかな密室…一向に新人賞に縁のない自分の筆力に絶望した青年は、自身の死地を求めるように旅に出た。辿り着いたのは、青森の恐山近くにある寂れた村。そこで一宿一飯の恩を持った一家が関与した、奇妙な密室殺人に巻き込まれてしまい…。
◉炎の誘惑…貴重な円空仏を所有する寺に宿泊した青年は、深夜、炎が爆ぜる音で目を覚ます。仏像を保管する土蔵が焼失したのは、前夜、格安で仏像を買い叩こうとした詐欺師達の仕業なのか?
◉蛇と雪…極度に蛇を信仰する兄と、彼の庇護下で育てられた妹。妹に鉄壁のアリバイがある夜、兄は自ら握る刀で首を貫き自殺した。兄を殺す十分な動機がある妹は、本当に無実なのか?
◉首なし地蔵と首なし死体…権力争いに敗れた武将の怨念が宿ると言われる首なし地蔵がある町で、子供が殺害後に首を斬られるという猟奇殺人が発生した。子供の父親が容疑者として逮捕されたが、青年は世間で目されている以上に残酷な真相に気付く。
◉アガサ・クリスティー賞殺人事件…諦めていた賞の授賞式、青年ーー三沢陽一は、憧れの推理作家・有栖川有栖と遂に対面を果たす。ところが、授賞式の会場のトイレで、その有栖川有栖が何者かに縊死され、三沢本人も容疑者になってしまう。次々と現れる容疑者達。果たして、刑事をして「叩いても何も出てこないほど白い」と言わしめる有栖川を殺したのは何者なのか?驚天動地のその動機とは?