別宮暖朗のレビュー一覧

  • 第一次世界大戦はなぜ始まったのか

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    安定の読みにくさです。この著者の文章はクセが強くて好き嫌いがはっきり分かれると思います。しかし私にとっては読ませる文章なので、別宮本は大抵目を通しています。

    第一次大戦は一見してよくわからない戦争です。サラエボ事件をきっかけにオーストラリアがセルビアに宣戦布告したが、この戦争はあくまで局地戦です。
    しかしその後なぜかロシアが総動員を発令する。セルビアはどの国とも攻守同盟は結んでいないにも関わらず。
    これに対してドイツが反応する。ロシアとともになぜかフランスにも最後通牒を突きつけ、挙句に宣戦布告する。
    しかしドイツ軍の飛び込んだ先はなぜかベルギーで、これになぜかイギリスが反応してドイツに宣戦布

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    2017年06月05日
  • 日本海海戦の深層

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    久しぶりに面白い本読んだ。
    司馬遼太郎の小説が史実と誤解され、乃木希典を筆頭に低い評価しかされない先人の名誉回復と(恐らく)歴史の真実の把握という意味で非常に良い本だと思う。
    小説の主人公の行動を元に戦略論や人生論を語るのは大間違い。要注意。
    2005年の本なので最新というわけではないが、初めて聞く話の連続。連結機雷にマハンと秋山の評価も面白い。関連本を読み直ししなくては。

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    2012年03月18日
  • 旅順攻防戦の真実 乃木司令部は無能ではなかった

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    近代史を知るには、軍事的知識が不可欠であることがよく分かる本。旅順攻防戦は無駄に兵士の命を犠牲にした愚かな戦いだったのか。否、塹壕戦では攻守ともに多大な犠牲を要する。その消耗戦に耐えた方が勝利者となる。 日露戦争と言えば、『坂の上の雲』が最も有名だが、司馬遼太郎の軍事的知識の欠如と思いこみ、乃木希典への私怨のようなものが、戦史の記述をゆがめてしまっている。『坂の上の雲』を読むのなら、本書も読まねばならない。

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    2011年01月26日
  • 旅順攻防戦の真実 乃木司令部は無能ではなかった

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     「乃木無能」論と言ったら、陸軍に恨み骨髄の元戦車兵著すところの国民的名作『坂の上の雲』だけれども、本当か。
     戦争体験のない我々は、戦争を対象化して捉えることが可能になるので、本書辺りを参考に要塞戦の目的とするところは何か、とか、当時の水準は那辺にあるのか、とか、詰まるところ今世紀に入って俄に解放された「戦後イデオロギの呪縛」抜きに考えることができるのである。

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    2009年11月03日
  • 旅順攻防戦の真実 乃木司令部は無能ではなかった

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     既に5,6回読んでいますが、再読。

     読めばすぐにわかりますが、本書の目的は司馬遼太郎による乃木評価への論駁です。目的というかそれがすべてと言っていい。
     そのため、ある個所では明確に、ある個所では暗黙裡に司馬遼太郎の言葉(『坂の上の雲』や『殉死』など)を引用して、それに対する反論が述べられます。

     司馬遼太郎に限らず、乃木への批判は旅順戦の当時からありました。戦中は乃木家に批判者が殺到したと聞きます(それがすぐに喝采に変わったという事実は、人間の「無責任さ」をよく表していますが)。
     要塞陥落に1年近くを要したことも朝野に漠然とした敗北感と反感をもたらしたと思います。しかし乃木批判の最

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    2020年08月25日
  • 誰が太平洋戦争を始めたのか

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    幻の近衛文麿・ルーズヴェルト会談
    近衛は相手の空気が読めない男
    時の外務省も世界情勢が全く読めなかった
    官僚の質的低下は顕著

    太平洋戦争開戦の意思決定過程 国策より省益
    結果責任は不明!
    政治決定の欠落による戦争開始・・・歴史家を当惑させる

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    2019年05月01日
  • 技術戦としての第二次世界大戦

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    主に日本陸軍批判本。定説と言われているのを否定したりと戦史を知ってる分楽しめるかもしれません。蒋介石軍、ソ連軍、アメリカ軍、英連邦軍との戦闘を比較し陸軍の組織的欠陥と兵器をあれこれ述べています。

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    2018年01月17日
  • 第一次世界大戦はなぜ始まったのか

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    第一次世界大戦の発端として、サラエボ事件は有名ですが、この一見小さな事件が、なぜあのような大きな戦争を起こしてしまったのか。第一次世界大戦が起こるまでの背景を、その重要な要素であるドイツの歴史的背景からサラエボ事件の詳細、外交官達のやりとりなどを中心に書かれています。
    事態は想像以上に複雑で、いちど読んだだけでは分かりにくく、またある程度の前提知識を要求されます。ちょっと難しいです。雰囲気だけでも頑張って読み通せば、この世界大戦は、だれも起こしたくなく、得もしなかった戦争だったのだと、改めて戦争の愚かさを感じずにはいられませんでした。争っている方々に言いたい、外から見たら喜劇ですよと。

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    2014年11月30日
  • 誰が太平洋戦争を始めたのか

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    誰が始めたのか?それを言ってしまうとミステリの落ちをばらしていしまうようで良心が痛むが、あえて言うなら「犯人」自体に目新しさはない。本書の目新しさは、東条英機というリーダーを輩出しその無責任ぶりが戦後も繰り返し批判される陸軍ではなく、主に海軍の責任を、それも太平洋戦争の開戦という点に絞って批判的に検討している点である。ハワイ作戦という手段に縛られ「何のために戦うのか」という戦争の目的や理念が置き去りにされたという指摘は一理あるといえる。
    数多くの歴史家の論を袈裟懸けにして断定的に議論を進める反面、論理の飛躍や見過ごせない矛盾も多い。(たとえば著者は緒戦での首都の炎上程度では国民の士気が阻喪する

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    2014年01月29日
  • 技術戦としての第二次世界大戦

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    各国の兵器を比較し技術戦の視点から戦争の敗因を分析している。そこから浮かび上がってくるのは、官僚統制の弊害であった。この本を読むと、一歩踏み込んだ視点が持てるようになると思う。

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    2011年09月18日
  • 誰が太平洋戦争を始めたのか

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     先の大戦等とも云うけれども、日米戦をどう考えるのかと云うことは、一旦国が滅んだのだから大変重要だと思うのだ。重要なのだが、時期が近いこともあって、歴史として充分に教訓なり未来に向けた改善点なりを見いだす以前に、イデオロギ的に利用され尽くしているようにも思う。
     別宮暖朗の論は、軍事学的に見て戦争の開始は動員から始まりこれだけ大きな歯車は動かし出すと止まりにくいのだという見解からスタートしている。その視点は重要で、個人の暴走を防ごうとして構築された「近代的」システムは、その動作に不可逆性を持っている、つまり動き始めた機関車は止められないという現実を充分に言い表していると思う。

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    2009年11月11日
  • 技術戦としての第二次世界大戦

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     日本の戦争については、マスコミの思考の方向性が異様に狭められており、一種の同調圧力が働いているが、その点についての論考は別に譲るとして、技術に視点を置いた本作は、『有坂銃』の兵藤二十八と『旅順攻防戦の真実』の別宮暖朗という、兵器と軍学については当代きっての論者の対談であり、技術に視点を置くことによってバイアスから逃れることを得ている。また、技術に視点を当てることによって当時の人々の考え方に迫ることができている。

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    2009年11月03日
  • 技術戦としての第二次世界大戦

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    真剣ミリオタしゃべり場

    第二次世界大戦における各国の技術と、戦略、戦術、ドクトリン、時代、地理、文化、文明、民族性諸々絡めて技術戦においてそれらがいかに機能し、技術戦がどう推移したのかの対談(駄弁り)。
    会話調の文体なので読みやすいです。

    #タメになる #深い #ほのぼの

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    2024年08月30日
  • 日本海海戦の深層

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    「「坂の上の雲」では分からない日本海海戦」というタイトルで出版された本の文庫版です。

    ただし、本書がとりあげているのは日本海海戦だけではありません。普墺戦争にともなっておこったリサ海戦や、米西戦争における海戦などに言及し、近代における海戦の発展を叙述したうえで、黄海海戦と日本海海戦における日本の勝利が、どのような歴史的文脈のなかで理解されなければならないのかという問題について考察をおこなっています。

    著者は、司馬遼太郎の『坂の上の雲』における叙述が、日本海海戦の真相と異なっていることを指摘し、歴史の真相を明らかにするというスタンスをとっています。ただ著者の司馬に対する批判は、いわゆる「司馬

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    2023年03月27日
  • 第一次世界大戦はなぜ始まったのか

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    シンプルな内容

    良くも悪くもないという感じでしょうか。第一次世界大戦に向かって進んでいく各国の思惑が分かりやすく記載されています。
    ただ、簡潔に記載されている部分が多いだけに、ある程度の予備知識がないと話がボヤける可能性はあるのかもしれません。

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    2016年10月18日
  • 第一次世界大戦はなぜ始まったのか

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    本書のタイトルは「第一次世界大戦はなぜ始まったのか」だが、Howは分かったがWhyは謎のまま。おそらく著者は分かっているのだろうが、頭の悪い私には読み解く力がなかった。

    とはいえ、本書の魅力は、外交の舞台裏、実務面が丹念に描き出されていることだと思う。外交官とは忍耐強くないとなれない職業だと痛感。

    経済にしろ政治にしろ、こういう細部を理解せずに新聞やニュース見てても、よくわからないままだ。

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    2015年08月13日
  • 誰が太平洋戦争を始めたのか

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    帯に開戦論の常識を覆すとあります。歴史には定説があります。太平洋戦争史は、良くも悪くも東京裁判を基準に論じられています。本書を読むと、別の視点から見ることができ、今までと見方が変わる部分もありました。
    例えば、一般的に真珠湾攻撃に先立ち開戦通告が遅れたことが問題とされていますが、本書によれば、「そものも国際法規によれば、戦争は自衛でしか開始できず、自衛とは攻撃を受けた場合の反撃である」とあります。この場合、通告の手順といった次元ではなく、前提として戦争開始の要件を満たしていなかったことになります。
     
     本書の見方が正しいのかはわかりませんが、発想の転換が図れるのでお勧めです。

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    2011年12月17日
  • 誰が太平洋戦争を始めたのか

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    誰が太平洋戦争を始めたのかという自らの問いへの回答として、巻末に結論として「太平洋戦争の真の作者は「ハワイ作戦」そのものである。作戦計画が勝手に暴走したのである。」としている。また、「一九四一年十二月の日本の指導者は、作戦がいかなる結果を招くかについて想像することすらせず、しどろもどろになりながら、世界戦争に飛び込んでいったのである。」 と締めくくっている。いまの政治家の言動にも当てはまる指摘ではないだろうか

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    2011年10月21日
  • 旅順攻防戦の真実 乃木司令部は無能ではなかった

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    司馬史観に侵されている私にとっては『坂の上の雲』『殉死』を読むかぎり、乃木希助将軍を「無能」「ダメ上司やん」「俺の会社にはいらん」的な印象をずっと持っておりましたが、やはり歴史認識は一方通行では駄目でして、まずは疑ってみる事が大事だと思いこの本書を選択したんですが、確かに筆者さんは軍事・兵法に詳しい方らしく、日露戦争当時の状況から的確に戦況を分析し、乃木将軍の判断は間違ってなかったよ~って説明してます。はい。
    んで、当の私は戦況を読めない上に地名も読めず(ルビふってよ、も~)どっちがロスケでどっちがナデシコジャパンなのかワケカメになってしまう時も時々ありましたが、とにかく筆者さんの言うと

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    2011年08月23日
  • 日本海海戦の深層

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    読後メモ。

    東郷もロジェスウェンスキーも戦えばバルチック艦隊が敗北することを予期していた。(主力艦の大口径砲数が決定的に違う)
    そのためロジェストウェンスキーはウラジオへの突破を現実的な目標としていた。

    日本周辺の3海峡のどこを通るかは石炭機関の航続距離の短さから対馬海峡にほぼ限定されていた。(他の海峡を通ろうとすると、日本近海で石炭輸送船から洋上積み替えしなければならない。もし、積み替え直前に日本側と会敵して石炭船を撃沈されたらウラジオにたどり着けない。)

    なんか作者は「坂の上の雲」をアラ探しを楽しんでいるような印象。

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    2010年08月11日