荻野文子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これまでに読んだ新書2冊に関しては、やや学術書のような硬さが読んでいて感じられたのだが(それでも面白かったけど)、本書に関してはテレビ番組を元にしているだけあって、説明はとても丁寧で、分かりやすさを重視して書かれているようだ。
原典からは特定のテーマに偏らずにバランスよく選ばれている印象で、恐らく本書を読めば『徒然草』の大まかな雰囲気は感じられるだろうし、現代語版の教科書といってもよいのではないかと思う。
ちなみに本書の初版は前述の新書2冊よりも古いが、序段の「つれづれ」の解釈をこちらも単純に「退屈」としていない点は、やっぱりねという感じでなかなか興味深かった。 -
Posted by ブクログ
【目的】
「徒然なるままに」の考え方が気になったから
【印象的な言葉】
愚痴はセーフ、悪口はアウト
世間話自体ではなく、世間話を「無益なことだと分かっていない」ことが問題
吉凶は人によるものであって、日によるものではない
品格とは、知性と感性を兼ね揃えた人が発する「調和の美しさ」
完璧でないものにも美さがある
前後のプロセスや、目には見えないもの
完璧を願うからこそ、完璧でないことを嘆くことに美しさを見出せる
完璧でないことを否定的に捉えるとではなく、美しく昇華する
誠実さ=人間らしさ
自然で、矛盾を抱えている
察しの美学と謙遜の美徳
ただ、自然体であるべき
相反する2つの視点 -
Posted by ブクログ
2021年 28冊目
私にとって自己啓発本は読者や人々を一般化することに抵抗感があり、敬遠していました。しかし徒然草は今から約700年前のエッセイ。現代と似通う人々の有り様は、人間として生きていく上での普遍性を問われているようです。人のみっともなさ、愚かさを斬って斬って、斬りまくる兼好の随筆と筆者荻野さんの文体が痛快です。
悩み苦しむ自己を受容しろ、というような一節がありました。仏法の教えらしく救われるものでしたが、決して内省を辞めろというものではありません。世間から敬われるゴリッパな人間になれというものでもないと思います。醜い感情を認め、反省しながら自律を目指す姿勢が美徳だと解釈してい