ポール・J・ザックのレビュー一覧
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サブタイトルにある「愛と共感の神経経済学」に惹かれ購入。社会や個人が幸福で繁栄の道をたどるのか、広い意味で貧しいままなのかを決めるのは、資源の有無や技術力、軍事力ではなく、互恵関係や信頼性だという。個人的経験に照らして考えても、不幸や出来事に見舞われている状況を見ると、それが映画であっても涙するし、一緒に成功を祝える仲間たちとは一生付き合いたいと思える。昨今求められるリーダー像もこう言った考え方に立脚しているものが多いのは、みな、薄々感じていたり求めていたりするからなのだろう。信頼性を構築するのに手っ取り早く実践できるのは、嬉しい時も悲しい時もハグ。フリーハグってなんじゃと思っていたけど、こう
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ネタバレ人間の道徳的な行動のカギはオキシトシンという化学伝達物質。平均的に女性の方が多い。
オキシトシンを増やすには、信頼を込めて人と接するだけでよい。それだけで相手はオキシトシンが急増する。
自然界では、環境からのシグナルによって、リラックスして安全な事がわかるとオキシトシンが急増する。
オキシトシンの分泌が促されると、今度は快感を生じさせるドーパミンとセロトニンが分泌される。セロトニンは不安を減らして気分をよくする効果があり、ドーパミンは目標志向行動や衝動、強化学習に関わっている。
「共感」はオキシトシンレベルの上昇と直結している。
信頼されるとオキシトシンレベルが上がり、より信頼される -
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「あなたは自分がしていることを堂々と母親に告げられますか?」
これはebayが他国に進出する時、倫理規定を考えた時に考え出した言葉である。はっとさせられる言葉である。
コンピュータはプログラムを忠実に実行するだけだが、ヒトは何らかの意図を持ち、複雑な行動を組み合わせて何らかの結果を生む。
海馬により短期記憶、睡眠により定着すると言われている記憶はいずれも過去のモノである。
各種ホルモンは未来の行動の方向性、意思決定の際のバイアスであると考える。これの異常が、うつ、発達障害などや影響しているのはもはや疑いは無いだろう。
本書が示すのは、我々の行動、特に他者へのいたわり、優しさの根源には、オキシト -
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人の信頼関係を、小さな分子(ペプチド)で、脳の中で信号を送る神経伝達物質と、血液中でメッセージを運ぶホルモンの両方の働きを持つ「オキシトシン」に着目して、どのような時にそれが分泌されるのか、あるいはそれを注入した場合にどのような影響を与えるのか等の実験から「愛と共感」との相関を導き出し、それこそが経済を繁栄に導くと説く。
共感あるいは信頼関係が経済活動にブラスに働くというのはパットナムの『哲学する民主主義』以降、定番とも言える言説ですが、ハグやマッサージのようなスキンシップあるいは宗教やダンスそして感動の物語でオキシトシンが分泌され共感と信頼に繋がるとの実験結果はとても新鮮で良かった。 -
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脳科学、生物学的な知見も含めた行動経済学に興味があり、新しい社会のモデルについて知りたくなり手に取る。
伝達物質のひとつである「オキシトシン」が信頼と共感を生み、資本主義に代わる新しい経済のあり方について研究の成果に基づいて説明している。
オキシトシンは女性ホルモンであり、他者からの信頼を得ることで一時的に自らもオキシトシンが増加することで、利他的で非合理的な行動をとるという。
公共財ゲームや信頼ゲームといった実験を重ねることで、特に愛情を受けて育った人、信仰の深い人は他人を信頼し幸福度が高いことが分かる。
しかし、進化の過程で人間は生存するために、知能をもった他の生物から生き延びるた -
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利己的な行動を取る人間が多くいる市場は、いずれ廃れてしまう。
一方、お互いを信頼し、向社会的行動を多く取る市場は繁栄する。なぜか?
ここで筆者は「善循環」という概念を提示して、この繁栄のメカニズムを説明している。
善循環とは、共感→道徳的行動→信頼→オキシトシンの分泌→共感とサイクルしていくメカニズムである。
人は他人に信頼されてると感じると、オキシトシンの分泌量が増える。
オキシトシンの分泌量が多いほど、より他人に共感するようになる。
より他人に共感するようになると、道徳的行動をとるようになる
道徳的行動をとることで、相手は自分を信頼する。
また、オキシトシンが分泌されることで、ストレ