野口恵子のレビュー一覧
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目次を見ただけで、いつもの自分の言葉遣いに思い当たるところが多々あり、どんな問題があるのかワクワクしながら読み進めた(ワクワクするところじゃないかもしれないけれど...)。
この本は、敬語の誤用例について、敬語の本来の使い方や意味を示しながら、どこがなぜ誤っているのかを教えてくれる。
面白いのは、どうしてそのような誤りをしてしまうのかという分析もなされているところだ。
言葉を使う人の心理だ。
だから、単純に言葉遣いの正誤に関する知識が得られるのにとどまらず、自分自身のコミュニケーションのあり方、他者に対する向き合い方も考えさせられた。
「よろしくお願いします」や「〜ればと思います」が丁寧な -
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先週、首相が「さ入れ」で答弁しているのを聞きました。映画の舞台挨拶付き上映会に行けば、壇上の大半の俳優が「○○役を演じさせていただきました」と言う。「させていただく」の多用が大嫌いな私はいつも、「“させていただく”言うとったらええっちゅうもんちゃうで」と怒りをおぼえていますが、これは文としては間違っているわけではない。呆れるのは「○○役をやらさせていただきました」というヤツです。
成人している著名人が公の場で「お母さんに教えていただきました」、あるいは親である有名人が自分の子どもの話をするときに「○○ちゃんに買ってあげた」などと言うのにも違和感があります。家柄もよろしいようなのに言葉遣いの教 -
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日本語教師による、敬語を中心とした「おかしな日本語」とコミュニケーションについての考察。
「〜させていただく」という言葉、自分でも結構使っている気がする。しかし、その言葉の意味をきちんと考えたことはなかった。「さ入れ言葉」は自分ではあまり使っておらず、人の「さ入れ言葉」には違和感を感じていたが、その理由まで考えたことはなかった。正しい敬語を使うためには、きちんと意味を理解することが重要だと感じた。
敬語については、学生のときに国語の授業で多少教わるが、実際に使う機会はそれほど多くはない。それ以上に聞く機会は少ない。こうした中では、影響力があるところで使われた誤った敬語が蔓延してしまうことは -
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著者は日本語・フランス語の教師
シンプルで正しい日本語とは何か。日本語教員として、初級から中級レベルの外国人学習者に教えるべき日本語がそれだという。
学習者はできるだけ正確に聞き取り、正確に読み取り、正確に話し、正確に書けるようになりたいのだと、あとがきで触れている。
日本語教員はそれに応えるべく知恵を絞り、何を教えるか教えないかを決めているそうだ。
そういう教師の書いた敬語に関する本は、日本人である自分にも耳が痛かった。
誤用の敬語が一般化している昨今。
バイト用語と言われる接客用語も、今や若い人だけでなく中年以上の人も使っているのに遭遇する。
「~で、よろしかったでしょうか」
「こち -
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[ 内容 ]
「~させていただく」という言葉に象徴されるように、現在、日本語の丁寧化という波が押し寄せている。
丁寧化はなぜ進んだのか。
時代や社会の動きとともに変化する日本語は、これからどう変化するのか。
日本語教師として、外国人の日本語学習者に、日本の大学生に日々接する著者が、敬語を中心とした“おかしな日本語”に着目し、日本語の本来の使い方、そして私たちのコミュニケーションのあり方を考える。
[ 目次 ]
第1章 させていただきたがる人々(「させていただく」は耳障りか 「させていただく」はだれに対して謙遜し感謝の意を表しているのか ほか)
第2章 現代敬語考-尊敬表現を中心に(私たちは八 -
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最後の方は、著者の現状への不満が書かれているようにも思いますが、前半の誤用については、日常で気になることがたくさんあり、よく書いてくださったと思いました。
時代によって言葉は変化し、自身も今風の言葉をその時々で使うことはあります。
一方で、敬語は年齢などの属性が異なる幅広い人に向けてのものであることから、「正しさ」に関して簡単に変わって良いとは思えません。
筆者が前半で指摘している「させていただく」の乱用は、なぜそう言う言い方が一般化したのか考察してみると面白そうです。ひとつは「自身の行動すべてに許可が求められる、周囲の不寛容性」、ひとつは「自身の行動への自信の無さ」、もうひとつは「自身の行