大津栄一郎のレビュー一覧
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連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でも触れられた「古パン」(原題"Witches' Loaves"、劇中では「善女のパン」)も含む20の短篇を収録。
率直に言って、すごい。彼の作品のユーモアとペーソスはいわゆる小説っぽいものではない。自分を含むあらゆる生きた人間の内も外も知り尽くし、ささやかな日常を観察し続けて得られたような、そんなリアリティーがある。
「人の世は笑えん喜劇と笑える悲劇のよじれあい」(連続テレビ小説『おちょやん』より)という人生や人間の特徴をよく捉えた、素晴らしい作品だと思う。
お気に入りは「二十年後」、「ハーグレイヴズの一人二役」、「桃 -
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先日読んだ小川洋子さんのエッセイで、
彼女にとって短編小説の存在がどういったものであるか、
このように書かれていた。
「素晴らしい短編小説に出会うと、
自分だけの宝物にしたくなる。
小さいけれどしっかりした造りの宝石箱にしまい、
他の誰も知らない場所に隠しておく。」
そして、「何かの都合で立ち上がれなくなる位疲れてしまった時、
その宝物が役に立つ」と。
私にとっては、この一冊がまさにその宝物なのだと思う。
約一週間前、私達の住む国は大きな天災に見舞われ、
多くの人々が生命、財産、最愛の人を喪った。
そして今も連日、悲しみや不安を突きつけられるニュースが
流れ続けている。
「自分にとっ -
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『賢者の贈りもの』
あまりに有名な代表作。
『警官と賛美歌』
あえて一言で評すならば、徹底的な勧善懲悪。
こういった世界観を面白おかしく表現できるのがオー・ヘンリーの真骨頂だと思う。
『マモンの神とキューピット』
『賢者の贈りもの』を書く人間が書いていると思うと面白い。
世の中、金ですわ。
『献立表の春』
古風な恋愛小説。
私も含め、恋愛を文字で楽しむのが好きな人には大好物だと思う。
『緑のドア』
個人的に一番好き。
真の冒険者にはなれなくとも、並以上の冒険者ではありたい。
『馭者台から』
教訓話でも、感慨深い話でもない。ただオチでふふっとさせることに特化した作品。
酒は怖い。
『