神立尚紀のレビュー一覧
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25篇の戦争とその人生の記録。
これだけの深い内容を語られること、記憶からお辛くなったりされて話して頂くのが難しいものもあったでしょう。
それぞれ戦争への関わりは違えど、どんな戦闘に参加してどのような終戦迎え、その後どう生きたか大変よくまとめられています。
それぞれは短く読みやすいですから、気になる方のものはじっくりと読まれると良いでしょう。
3隻の船に乗員された方のお話があり、そうして散っていく船に乗り合わせた縁もこの方の人生を後押ししてくださっていたらいいなと思いました。
大きな出来事や歴史書だけでなく、こうした本から若い人たちが何かを感じ考え日本を良い国にしてくれたらと願います。 -
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太平洋戦争が終わって、今年で70年を迎えました。終戦時の指導者達は40歳以上とすると、ほぼお亡くなりになり、兵士として戦争に参加した最年少の方々が20歳程度とすると、現在ご存命として90歳程度。生きた証言を得られるのはもうあとわずかです。
私の祖父は技術者として参加していましたが、5年ほど前に亡くなりました。今から思うともっと戦争の話を聞いておけば良かったと後悔しています。
この本は、ずっと興味を持っていた「零戦」という日本の生んだ最高傑作である戦闘機を軸に、太平洋戦争を見た本で、多くの生き残りの証言が散りばめられていた、読み応えのある本でした。
また、この本の特徴として、ゼロ戦が参加し -
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長らくハードカバー版を積読状態にしていましたが、
先日文庫版が出たのを機に、ようやく手に取ってみました。
解説に『永遠の0』の百田さんと、なんとも豪華な感じです。
ちなみに百田さん、神立さんの別の著書である『零戦 最後の証言』、
こちらを一番の参考にして『永遠の0』を書いたとのこと。
そう仰っているだけに、非常に読み応えがありました。
『永遠の0』に感じるものがあった方であれば、オススメです。
主人公は、進藤三郎さんと鈴木實さんのお二人。
この二人の零戦パイロットの戦前、戦中、戦後の物語を軸にして、
大東亜戦争に対する普通の日本人の感性が綴られていきます。
ノンフィクションではあり -
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かつて零戦の搭乗員になれることは栄誉であり誇りであった。エリートの証でもあった。
この本にはエースパイロットの活躍を通して、零戦の栄光の歴史が綴られている。
ある意味、彼らの戦い方は刀での一騎討ちに近い。戦闘機同士のドッグファイトは戦闘機の性能と、それを使いこなせるだけの高い操縦技術が必要となる。そしてそれに優れている方が勝つ。
そこだけみればF1レースと変わらない。お国のためなどそっちのけで、腕っぷしの強さを試す喧嘩のようなところがある。武術と言い換えてもいい。撃ち落とすのは戦闘機であって搭乗員ではない。パラシュートで脱出した搭乗員は攻撃しないとの暗黙のルールもある。
ラバ -
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戦前・戦後のカメラ(主としてレンズではなく、カメラ本体)の歴史を新書の厚さにまとめた良書。
戦前は、太古からのカメラの歴史から、ドイツの有名なライカとツァイスの二大カメラメーカーが製品を販売し、ドイツが敗戦国となったときにアメリカがツァイスの技術者を東ドイツから西ドイツに移送したとかのエピソードなども含めて紹介している。
また、戦後はNIKONとキャノンが技術交流があったほのぼのした時代から、朝鮮戦争でNIKONが圧倒的な技術力を見せつけてスタンダードになることや、キャノンがそれに追いつき追い越せとマウントが次々に変更しながら、追いかける様子が描かれている。このほか、アメリカのインスタント -
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この前に読んだ「知覧からの手紙」と逆の立場で「特攻兵器」を扱ったものを読んでみたくて、この本を手にした。
これは、特攻兵器である「桜花」のアイディアを海軍に提唱し、以降「桜花をつくった男」として戸籍を失い、自分の名前を変えてまでも生きた男の話である。
実に奇遇なことに、カミカゼ特攻で亡くなった多くの若い兵士達と、特攻兵器をこの世に産み出した開発者達の間には共通点がある。「知覧からの手紙」の中で、最も心に深く刻まれた事実は、「代々よい家柄の人や、金持ちはうまく特攻から回避し、特攻に赴くのは若い志の高い人達」ということである。
本書のドキュメンタリーの対象である大田正一も決して裕福でもない、 -
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物語は、中国大陸上空で零戦の初空戦を指揮下進藤三郎少佐。
オーストラリア上空でイギリスの誇る戦闘機「スピットファイア」を相手に一方的勝利を収めつづけた鈴木實中佐のふたりを軸に書かれている。
実際に零戦に搭乗した者、特攻として出撃したもののさまざまな事情で戻ってきた者。
生き残った人たちが語る戦争は、やはり生々しい。
いまさら思い出したくないという人も多かったようだ。
ただひたすらにインタビューに答えてくれる人たちに真摯に向き合った結果が、この1冊には詰まっている。
第7章では坂井三郎を取り上げている。
彼には自著した「大空のサムライ」という作品がある。
何故ここで坂井三郎を神立さんが取り上げて -
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ゼロ戦搭乗員の証言をまとめた神立氏によるノンフィクション。昨年2016年は日本が真珠湾攻撃を実行して75年目の節目でした。この年、その真珠湾攻撃に参加した唯一存命でおられたゼロ戦搭乗員の方がお亡くなりになり、もはや直接の体験として我々の世代がお話を聞くことはできなくなりました。著者の神立氏は、次々と天命を全うされ亡くなられてゆく搭乗員の方の証言を少しでも残そうと取材を重ね、何冊もの著作を残されています。悲惨な戦争体験を直接聞くことが次第に困難になって来る今の時代にこそ、このような著書を通じて戦争がどのようなものなのかを知ることが必要ではないかと思います。ゼロ戦搭乗員を美化することもなく、等身大
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ネタバレ特攻の父と呼ばれた大西という人と、副官として仕えた門司さん、たたき上げで零戦特攻隊員の角田さん、を中心に、「特攻」について書いている。「特攻」の経緯など史実の解説や、インタビューから得られた門司さん、角田さんの「特攻」への関わり、思いや、8月16日に自殺した大西さんについて、事実と関係者からの証言などから、「特攻の真意」を導きだしている。
戦争に関する本、それも日本のものは、若い時からほとんど読んだことがなく、そのため、たまに読むたびに、新しい知識が得られて面白い。
"海軍の制度上、撃墜などの戦果確認には准士官以上の「見認証書」が、戦死者が出た場合はやはり准士官以上の「現認証明書