御輿哲也のレビュー一覧

  • 灯台へ

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     1927年発表、ヴァージニア・ウルフ著。孤島に住む夫人とその一家、彼らを取り巻く画家ら数人。第一部「窓」:明日灯台へ行くことを思いながら日が暮れ、夕餉の席で頂点に達する各人の心理的緊張を描写する。第二部「時はゆく」:擬人化した風や闇などに視点を据えつつ、それらに家が侵食されて廃墟と化していく過程を描く。第三部「灯台」:十年後、再び家に戻ってきたラムジー氏と子供達がようやく灯台に向かう。
     濃密な心理の流れだった。
     第一部:主観人物はころころと入れ替わり、特に夫人の存在感が他の登場人物の心理に及ぼす影響を精密に、詩的に、哲学的に描いている。静かな池に石を投げ入れて波紋が広がっていく様を眺めて

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    2014年12月27日
  • 灯台へ

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    とにかく描写が繊細。精神描写も情景描写も、繊細すぎて粘着質に感じるくらい。ウルフの言葉へのこだわりを感じるなあ。と言ってもウルフについてはほとんど無知で、精神を病んでいたとか自殺で亡くなっているとか、巻末の解説等を読んで知ったんだけど。
    二章の時間経過の表現はすごく好きだ。なんとなくガルシア・マルケスの「百年の孤独」を思い出した。
    「われらは滅びぬ、おのおの一人にて」後半から最後まで何度か繰り返されるけど、繰り返されるうちにこの一節が段々胸に響いて切ない気持ちになってくる。

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    2011年12月01日
  • 灯台へ

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    ネタバレ

    Xでよく見かける本。確かにおすすめされる理由がわかる。

    まず、女性作家という点だけで時代的に価値がある。ドストエフスキーもワイルドもみんな男性作家だし、当時の女性の立場を女性自身の視点で描いたというだけで大きな意味がある。

    この作品は「見られる性」としての女性を描いている。夫やその友人たちに見られていることを気づかないふりをしているが、意識していたり、男性が求めているものを分かっていながらも、それを渡さない男女の駆け引きだったり、なるほど。そういう瞬間がたくさんあるよねの連続。

    また、「女性」を超えて「ケアする側」の感情の揺れも細かく描かれていて、現代でも通じるリアルさがあると思う。誰か

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    2026年02月07日
  • 灯台へ

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    灯台へ行くという設定おもしろい。
    物語はアクションが起きるのではなく、思考の流れが主になる。めたんこたくさんの比喩表現があり、ある意味とてつもなく回りくどい。
    何個か好きな表現はあったが、個人的にはあまりピンとくるものは多くなかった。

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    2024年08月12日
  • 灯台へ

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    イギリスの作家ヴァージニア・ウルフの小説。
    時は1900年代初頭。そこに遠足に行くことを心待ちにしている幼い子供が明日は灯台に行けるのかを母に問うと、横から気難しい父親が「天気は、まず駄目だよ」と全否定し、幼心がショックを受ける場面から始まる。
    以降、複数の登場人物が他人をどのように知覚しているかを、イギリスの小説っぽく冗長に描く。著者は「(人の)生はつり合いよく整えられた一連の馬車ランプの光ではない。我々を取り巻いている半透明なかさ、luminous haloである。この定まららぬ、捉えがたい精神を書きあらことが小説家の仕事ではないだろうか?」と述べている。つまり、いつまで経っても変わらない

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    2024年03月25日
  • 灯台へ

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    津村のよみなおし世界文学の1冊。3部構成になっているイギリス文学である。最後が灯台へということであるが、最初の窓の1部から灯台がシンボルとして出てくる。アメリカ文学のように具体的な場面の連続ではなくて、考えが中心である。

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    2023年06月12日
  • 灯台へ

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    あらすじを追っていくこと、それを自分の経験や知識に照らして理解へ落とし込んでいくことが、いかに無意味かということを、この小説は教えてくれる。

    この作家は、とても自分の心の動きに敏感な人だったのだろう。
    人が人と視線を交わす。ただそれだけの刹那、どれほどの思索が交差するか。それをあますことなく文字にしたらこうなるのかもしれない。
    こんな小説、ほかに見当たらないのではないか。
    そしてまた、これほど内省に特化した小説もない。
    すでに100年も前にものされてしまっているのだから。

    自分という存在は、果たして一貫しているのか。
    それにさえ疑念が湧いてくるようだ。
    それでも作家は、人間の最後の希望の拠

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    2019年12月29日
  • 灯台へ

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    3月にある読書会課題本。「ある一家の十年」というタイトルでもよいような話。個人的にはあまり嵌らなかった。ストーリーにドラマチックな展開などは、ほとんどない。全体に詩的な雰囲気があり、しかもところどころに戦争の暗い陰がただよっていて、それが本書に独特の深みを与えていると思う。誰にでもお薦めできるものでもないが、一読をして損はしないと思う。

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    2018年03月01日
  • 灯台へ

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    読み終えるのになかなか時間がかかった。
    登場人物の間に張りつめた糸を手繰っていくような感覚。
    あるひとりの思考を辿っていると、それがいつの間にか他の人の思考につながっていて…時間の流れにそって漂う意識を言葉によってなぞっていく、不思議な体験だった。
    オールドミスのリリーが良妻賢母の権化ともいえるラムジー夫人に抱く複雑な感覚はわかるなぁ、と思いながら読んでいた。ぼんやりとした憧れと、お節介を少し疎ましく思う心と、愛し愛される人を「自分とは違う人種だ」と思いつつも羨む気持ち。
    二章の時間の流れの描写がとても好き。

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    2013年04月03日
  • 灯台へ

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    1章読むのにやたら時間がかかったけど、そこからさきはするりと読めた。
    つかみかけたと思ったら終わってしまったので、もう一度読み返そう。
    あえて言うならバンクス氏に萌えた。

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    2013年01月20日