宮脇昭のレビュー一覧
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「働き方の哲学」(村山昇さん)に引用されていて興味を持った本。専門家ではない自分が読むのは時折苦労する内容もあった。しかし、とても面白くあっという間に読んでしまった。メーカーの総務的視点で捉えてみたり、昨今の政治家や公共団体の視点で考えてみたり…(私自身はどれにも当てはまらないが…笑)そんな想像をしながら読み進めると本当に考えさせられるし、素晴らしい取り組みだと思った。宮脇さんは今年でおそらく92歳。今も現役バリバリなようだ。一度お話を伺ってみたい。そう思わずにはいられない。「ホンモノの森」や、「ホンモノの人」という言葉には何故か刺さるものがある。これからの日本がどうあるべきか、世界はどうある
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花粉症がひどくて、つい先日もパートナーに「昭和の人(主語デカい)って絶対、スギやヒノキを無計画に植えたやろ…人体への影響とか微塵も考えてなかったんとちゃうか」とこぼしていた。
本書を読み解いていくと、やはりそうだったようで、引き続き先人たち(主語デカいパート2)を恨む運びとなった。
「見ろ、この大地を。地球上に生命が誕生して39億年、巨大な太陽のエネルギーのもとに。人間活動によるプラスやマイナスの影響も加わった、〔中略〕本物の命のドラマが展開しているではないか」(P 31)
著者は植物学者であり、防災や環境保全のための植林活動を推進されていた。端的に言えば、「森づくり」である。
植林とい -
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ネタバレ<目次>
プロローグ 三十年後の「ふるさとの森」に入ってみよう
第1章 原点の森
第2章 始まりは雑草から
第3章 日本の森の真実
第4章 木を植える
第5章 ”宮脇方式”
第6章 「天敵」と呼ばれた男
第7章 いのちと森
第8章 自然の掟
エピローグ タブノキから眺める人間社会
<内容>
潜在自然植生。日本の場合、わかりやすく言うと「鎮守の森」。常緑広葉樹。照葉樹林ともいう。これを再度植えていくことで、日本の森や林は再生できる。災害にも強く、花粉症もなく、海に魚も戻る…。そういう地道な取り組みをしている、80歳過ぎの研究者で実践家、宮脇昭さんの半生記。 -
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若かりし頃、予算獲得もままならなかった頃からの転機と奮闘、そして鎮守の森をつくろう、という訴え。宮脇さんの実績は今更語るまでもないですが、師事したチュクセン教授の「お前はまだ人の話を聞くな。誰かが話したことの又聞きかもしれないぞ。お前はまだ本を読むな。そこに書いてあることは、誰かが書いたやつの引き写しかもしれないぞ。話はいつでも聞けるし、本はいつでも読める。大事なことは、部分的あるいは結論めいた話や本にあるのではない」という言葉が身に染みます。
さて、植物は、「生理的な最適域」と「生態学的な最適域」を持っていて、これらは異なる。そして、生理的な最適条件から少し離れたところが、健全に生きていける -
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副題が本書の内容を的確に表現している。一般的な森が持つ働きを解説する内容でも、森の文化的・宗教的側面に重点を置いた内容でもない。宮脇氏が言うところの「ホンモノの」森が持つ力を、同氏の実践を基に植物生態学的に説明する内容である。
少し著者の実績紹介に重きを置きすぎではないかとも思う一方 で、著者が常にフィールドワークを軸に現場主義を貫き、多くの関係者を巻き込んで行動し学術的成果をあげてきたことには素直に感服した。道を究めるとは正にこのこと、という感じである。生態系において植物は重要な役割を担うが、森林が国土の大部分を覆い、風土・文化にも影響を与えている日本では尚更である。20世紀の科学技術一辺倒 -
Posted by ブクログ
基本的な骨子は前に読んだ本(「三本の植樹から・・・」)と同じなんだけど、潜在自然植生と呼んでいる、その土地の本来固有の木々をポット苗の形で植え付けてやることで、下草などの群生も含めてより健全な・強い・持続可能な森をより早く作ることができるという教えです。
こうして作った森は、阪神淡路や東北の震災でも、火災や津波にやられることもなくほぼ残った(例の奇跡の一本松のところは数万本のマツが根こそぎ流され、家を押しつぶしたりしたらしい)、という指摘には深い説得力を感じます。
復興行政には首をかしげたくなる内容が多いですが、こういう合理的な方法をたくさん採用してもらいたいもんです。