宮脇昭のレビュー一覧

  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    「働き方の哲学」(村山昇さん)に引用されていて興味を持った本。専門家ではない自分が読むのは時折苦労する内容もあった。しかし、とても面白くあっという間に読んでしまった。メーカーの総務的視点で捉えてみたり、昨今の政治家や公共団体の視点で考えてみたり…(私自身はどれにも当てはまらないが…笑)そんな想像をしながら読み進めると本当に考えさせられるし、素晴らしい取り組みだと思った。宮脇さんは今年でおそらく92歳。今も現役バリバリなようだ。一度お話を伺ってみたい。そう思わずにはいられない。「ホンモノの森」や、「ホンモノの人」という言葉には何故か刺さるものがある。これからの日本がどうあるべきか、世界はどうあるべきか、どんどん考えが膨らんでいき、「やれることからどんどん行動を起こしていこう!」と、奮起する。そのサイクルのエンジンでありモーターのような、パワフルで思慮深い方なんだろうな、と思った。
    この方がより永く活躍されることを祈ると共に、私自身も自分のできるところから手をつけていきたいと思った次第である。

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    2020年08月17日
  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    漠然と神社など宗教的な意味合いで考えていた「鎮守の森」だが、日本の生態に本来適合した森であるからこそ、神社などがまつられたと考えるのが正しそうだ。杉や松、檜など一見緑が多く見えるようであっても、これらは造られた森であり、その土地の持つ生命力は発揮するにいたっていない。近くの神社などの木々も見てみようと思う。神聖に感じるのは木々と土地がシンクロしているからに違いないのだ。

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    2013年08月21日
  • 鎮守の森 増補版

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    花粉症がひどくて、つい先日もパートナーに「昭和の人(主語デカい)って絶対、スギやヒノキを無計画に植えたやろ…人体への影響とか微塵も考えてなかったんとちゃうか」とこぼしていた。
    本書を読み解いていくと、やはりそうだったようで、引き続き先人たち(主語デカいパート2)を恨む運びとなった。

    「見ろ、この大地を。地球上に生命が誕生して39億年、巨大な太陽のエネルギーのもとに。人間活動によるプラスやマイナスの影響も加わった、〔中略〕本物の命のドラマが展開しているではないか」(P 31)

    著者は植物学者であり、防災や環境保全のための植林活動を推進されていた。端的に言えば、「森づくり」である。

    植林といっても、やみくもに苗を植えていくわけではない。
    その土地本来の緑が何なのかを徹底的に調べ、なるべく本来の森に戻していく。(「偽物」に限って見栄えが良いらしく、土地本来の緑の手がかりは、残っているかいないかのレベルなんだとか…) 本書ではその行為を「潜在自然植生」と呼んでいる。
    上記のスギやヒノキほかカラマツは、生育が速く木材として利用できるとして、戦後あちこちで造林された。その結果が花粉症だったり、(その土地本来の木ではないので)災害時に大ダメージを受けたりと、結局何のベネフィットももたらしていない。

    「今のイラクで人類最初の文明ができましたが、神話によると、最初の国をつくったギルガメシュという王がまず最初にやったことは森の神の殺害です。つまり、森の神様を殺して森の伐採の自由を得ることで文明ができた。人類の文明の運命を象徴的に表していますね」(P 222)

    タイトルの「鎮守の森」は、広く地霊を祀った森という意味も込められている。「鎮守の森」の言葉自体、植物生態学の世界で国際用語にもなっているというから驚きだ。
    日本も古来から木を伐採し生活の糧としてきたが、決して「皆殺し」はせず、その土地本来のふるさとの森を残してきた。しかし戦後日本で、「皆殺し」の対象外且つ土地本来の緑が残されている場所は、神社くらいだという。

    本書第二部では曹洞宗大本山の貫主(住職)板橋興宗禅師、第三部では哲学者の梅原猛氏との対談が掲載されている。第一部での活動レポートを小難しく感じたら、第二部での宗教面の話から先に読んでいくのもアリかも。
    人の手で森を復活させるには、人々の意識改革が必須である。環境問題や防災のためもそうだけど、森に対して普段から畏敬の念を抱くことが大切なのではないかという話が、ここでの主な議題だ。

    ただでさえ、信仰心というものが欠落していて無宗教化している日本。我々にとって森は救いであると同時に、木に宿った神々を意識できるとっておきの場所でもある。
    そんな森と我々の信仰心(つまり自然と寄り添う気持ち)を永続させるためには、著者が推進してきた正しい植林活動が必要なのである。

    森が荒む時は、日本人の心も荒む時…。宗教色が若干臭うタイトルだと思っていたが、日本人の精神と森って、やはり切っても切れない関係だったんだ。

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    2025年03月25日
  • 鎮守の森 増補版

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    本質、原理原則、理を見ようともせず生きることは、楽かもしれない。けれども、それは生きているというのだろうか。

    どうせなら学ぶこと、行動し続けることを忘れずに生きていたい。

    自然に永年、身を置いた人ならではの深遠な視点に触れた。

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    2024年12月14日
  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    ネタバレ

    <目次>
    プロローグ 三十年後の「ふるさとの森」に入ってみよう
    第1章   原点の森
    第2章   始まりは雑草から
    第3章   日本の森の真実
    第4章   木を植える
    第5章   ”宮脇方式”
    第6章   「天敵」と呼ばれた男
    第7章   いのちと森
    第8章   自然の掟
    エピローグ タブノキから眺める人間社会

    <内容>
    潜在自然植生。日本の場合、わかりやすく言うと「鎮守の森」。常緑広葉樹。照葉樹林ともいう。これを再度植えていくことで、日本の森や林は再生できる。災害にも強く、花粉症もなく、海に魚も戻る…。そういう地道な取り組みをしている、80歳過ぎの研究者で実践家、宮脇昭さんの半生記。

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    2020年08月03日
  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    若かりし頃、予算獲得もままならなかった頃からの転機と奮闘、そして鎮守の森をつくろう、という訴え。宮脇さんの実績は今更語るまでもないですが、師事したチュクセン教授の「お前はまだ人の話を聞くな。誰かが話したことの又聞きかもしれないぞ。お前はまだ本を読むな。そこに書いてあることは、誰かが書いたやつの引き写しかもしれないぞ。話はいつでも聞けるし、本はいつでも読める。大事なことは、部分的あるいは結論めいた話や本にあるのではない」という言葉が身に染みます。
    さて、植物は、「生理的な最適域」と「生態学的な最適域」を持っていて、これらは異なる。そして、生理的な最適条件から少し離れたところが、健全に生きていける生態学的な最適条件であると。これは植物だけでなく人間も含めた生物も、なのです。
    思い返せば、僕も、あの人もこの人も、生理的な最適域ばかりを求めてきたなあなんていう一方で、素敵な人は、そこから少し離れている、ような気がします。

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    2013年11月25日
  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    副題が本書の内容を的確に表現している。一般的な森が持つ働きを解説する内容でも、森の文化的・宗教的側面に重点を置いた内容でもない。宮脇氏が言うところの「ホンモノの」森が持つ力を、同氏の実践を基に植物生態学的に説明する内容である。
    少し著者の実績紹介に重きを置きすぎではないかとも思う一方 で、著者が常にフィールドワークを軸に現場主義を貫き、多くの関係者を巻き込んで行動し学術的成果をあげてきたことには素直に感服した。道を究めるとは正にこのこと、という感じである。生態系において植物は重要な役割を担うが、森林が国土の大部分を覆い、風土・文化にも影響を与えている日本では尚更である。20世紀の科学技術一辺倒の国土開発から転換すべきとする著者の意見には説得力があった。

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    2021年01月15日
  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    基本的な骨子は前に読んだ本(「三本の植樹から・・・」)と同じなんだけど、潜在自然植生と呼んでいる、その土地の本来固有の木々をポット苗の形で植え付けてやることで、下草などの群生も含めてより健全な・強い・持続可能な森をより早く作ることができるという教えです。

    こうして作った森は、阪神淡路や東北の震災でも、火災や津波にやられることもなくほぼ残った(例の奇跡の一本松のところは数万本のマツが根こそぎ流され、家を押しつぶしたりしたらしい)、という指摘には深い説得力を感じます。

    復興行政には首をかしげたくなる内容が多いですが、こういう合理的な方法をたくさん採用してもらいたいもんです。

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    2019年06月21日
  • 森の力 植物生態学者の理論と実践

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    御年85を超える植物生態学者、宮脇昭翁。植物生態学の権威であり、実践の場(植林活動)の最前線で活躍する人物。その探求心、行動力にはただただ脱帽。大学の大大大先輩の姿を見習って、自分もがんばらねばと思う。いつまでも現役でいてもらいたい。
    中学受験の文章や、中学国語の教科書に採択されるようになったが、もっと幅広く宮脇先生の研究と実践を多くの人に知ってほしい。

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    2013年08月02日