岡崎勝世のレビュー一覧
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本著は一般的な世界史の解説書ではなく、「歴史学の歴史」ともいうべきもので、ヨーロッパ世界における各時代においてどのような歴史観が支配的であったのかについて時代を追いながら検証していく内容となっています。
我々が「歴史」というものを考える場合、ついつい現在を起点として過去を振り返るという態度に終始してしまいがちですが、その起点たる「現在」も数十年、数百年経てば「歴史」の一部になっていくわけです。
そんなこと考えてみれば当たり前なことなんだけど、けっこう見失いがちな視点でもあります。
例えば21世紀初頭に生きる我々の目から見た「古代ギリシャ時代」の捉え方と、古代、中世、近代に生きた人々の目から見た -
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聖書の記述に基づいて書かれた「普遍史(Universal History)」はいつから「世界史(World History)」となったのか。年代学そのものの歴史を辿る。それは、ヨーロッパの人々が世界をどう理解してきたかを辿るということ。
ローマ期には、"人類史6,000年間"の観念が定着し、年代には創成紀元が使われるようになる。
キリスト紀元は、もとは復活祭の日を決めるという教会行事上の必要から、525年に発生した。
聖書の記述と矛盾するエジプトや中国の歴史の古さの問題は、やがて年代学論争に繋がった。
18世紀頃には普遍史の息の根は止められ、世界史の叙述がなされるようになる -
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ネタバレヨーロッパ世界が世界史を著す過程について論じた本。著者の前著『聖書vs世界史』よりも一般向けの内容となっている。
古代には”アジア”、”ヨーロッパ”、”リビア”(アフリカ)という世界の三区分(ヘロドトス)、「人間の本性が同じである限り、過去に起きたことはまた将来にいつか起きる」という円環的な時間観念(トゥキュディデス)、自分たちの世界の外にはバルバロイや化物がいるという”化物世界誌”という思想体系が生まれる。この間には”自由”を享受するヨーロッパと専制君主に”隷属”させられているアジアという対比の構図が生まれ、後世に影響を与える。
ローマ帝国崩壊を経て中世には普遍史が確立し、ルネ