宮島明道のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一つの警察署の違う課で別々に事件が起こり近付きながらも独立して物語が進むモジュラー型小説。
文庫化されるにあたり改題された通り、刑事の境界線が大きな意味を持つ。
向こう見ずな正義感溢れる主人公と悪に堕ちながらもかろうじて警察としての矜持を持つ主人公の対比や、破滅に破滅を重ねながらも刑事としての矜持を持ちつつ物語が大きく左右に動きハラハラする展開などページを進める度にのめり込んでいった。
物語の軸は1つだけではない、全てがだんだんと収束をしていきやがて訪れるその結末はとても大きな驚きと衝撃が待っている。
願わくば続きが読みたい、ダークヒーローに魅力されてしまったようだ。 -
Posted by ブクログ
モジュラー型ミステリ。警察が複数の事件を同時に捜査したら一つにつながってた、みたいな形式のことだって。つまりモジュラー型とは警察小説に限るということらしい。刑事ドラマではよくある気がするのだけど。
ここからちょっとネタバレかも。
最初は小さな誤りだったのにどんどんドツボにはまっていってしまう。足がつかないように、末端の大学生をとりあえず庇えば良かったはずが・・どうしてこうなった。というかやっぱりそういう環境に身を置いていると、染まってしまうよなぁ。それに賭け麻雀で50万の借金は「小さな誤り」ではない気もする。
下っ端には比較的慕われているし、動画を消せと言ったり将来を考えろと怒りつけたり「まっとう」には見えたけど・・。中盤以降、なにかがうまくいっていない?ってわかった時、裏で糸を引いている奴にあっさり消されるのではないかハラハラした。堀尾が腕時計くれた件、あれ何の伏線?
あと、隠れ家に乗り込んできたホセが言ってたことや下村興業のカシラが殺された時にいた男女の話、監察の松野との会話などなど総合すると・・・?ええ?私は、為井編は為井目線で読んでいたけれど佐竹目線もあったらまた面白そう。どこもかしこも真っ黒やん。「内密に監視してくれ」て言われても、それが本当に正義由来のものなのか知る術なし。
馬場編は事件がてんこ盛り。車上荒らし、動画恐喝、ゲーセン盗難、内部パワハラなどなど・・ヒロイン&宇佐見のロマンスは、宇佐見の側にまだぜんぜんその気はなさそうだったことに好感。
ラストの大捕物は染井為人さんの悪い夏や滅茶苦茶を思い出して笑ってしまった。なんじゃこりゃ!Chaos! 永田がいつのまにか「墓石」とか呼ばれて投げ飛ばされるのも笑ったし笑笑
しっかし、最後まで読んでいろいろ考えてたら・・墓石、本当に「偶然に」あそこに居合わせただけなのか?それに警務課の50代の男ってさ?看守って警務課だよね?意外にもっとずっと細かい伏線があるのかも?など後に引く面白さでした。 -
Posted by ブクログ
小金井中央警察署を舞台に、正義感あふれる新人刑事・馬場みどりと、組織犯罪対策係の為井忠之。それぞれ異なる事件を追う二人の刑事が、やがて一つの真実へとたどり着く警察ミステリー。
序盤は作品の構成が掴めず少し混乱したが、馬場と為井、それぞれを軸にした物語だと分かってからは一気に読みやすくなった。人のために動く馬場と、自分を取り戻そうともがく為井。特に為井パートは先が気になり、「二人はどこで交わるのか」とページをめくる手が止まらなかった。
読後に振り返ると、二人は最初から正反対だったわけではなく、同じ方向を向いていたように思えた。しかし、少しずつ進む道がズレていき、気づけば「境界線」のこちら側と向こう側に立っていた。そのズレは決して劇的なものではなく、小さな選択の積み重ねだったのかもしれない。タイトルが示す意味を、静かに考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
「このミス」大賞グランプリ受賞作。「モジュラー型ミステリー×驚きの結末!」という鮮烈な謳い文句に惹かれて手に取りました。
異なる部署に所属する二人の刑事が、それぞれの場所で別の事件を追いながら、物語の終盤で鮮やかに一つの大きな事件へと繋がっていく―この構成が「モジュラー型」と呼ばれる所以だそうです。
描かれるのは、盗犯係で刑事3年目の馬場と、組織犯罪対策課でキャリアを重ねる中堅刑事・為井の二人。同じフロアに身を置きながらもこれまで交わることのなかった彼らは、正義感が強く真っ直ぐな馬場と、捜査対象との深い繋がりから次第に悪事に手を染めていく為井という、対照的な足取りをたどります。
物語が進むにつれて、それぞれの内側にある善悪や立場を分かつ「境界線」が徐々にあやふやになり、自分の立ち位置が知らず知らずのうちに変わっていく。特殊な世界の話でありながら、読んでいると「もしかしたら自分も、日々の選択の積み重ねでいつの間にかこちらの側に行ってしまうかもしれない」という、身近で生々しいリアルさを突きつけられます。
本格的な謎解きやパズル的なミステリー要素を期待すると少し異なるかもしれませんが、警察組織の泥臭さや、誰の心にも潜む危うさを描いた重厚な「刑事モノ」として、楽しめる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
二人の刑事、それぞれの視点で物語が進んでいくミステリー。
複数の事件が並行して描かれるモジュラー型の構成で、それぞれがどのようにつながっていくのかを追いながら読む面白さがあった。
途中、やや展開が急に感じられるところや、最後まで残された謎もある。それでも、ばらばらに進んでいた出来事が終盤に向けて一つの方向へ収束していく感覚は楽しめた。
そして最も印象に残ったのは、題名にもつながる「境界線」の描き方だった。
「今回だけなら」「これくらいなら」という一度の判断は、その瞬間には大きな一線を越えたようには見えない。しかし、その小さな例外を認めたことによって、次第に刑事として守るべき境界線そのものが曖昧になっていく。
境界線は、ある日突然越えてしまうものではなく、ほんの少しずつ位置をずらしながら見失っていくものなのかもしれない。
事件の真相を追うミステリーとしてだけでなく、職務や正義の中でどこに線を引くのかという点も印象に残る作品だった。